
イタリアの高音質レーベル、fone(フォネ)。1983年にジュリオ・チェーザレ・リッチによって設立された、こだわりの強いオーディオファイル・レーベルです。
現在もSACDのリリースを続けており、近年はアナログレコードも積極的に制作しています。レコーディングからマスタリング、プレスまでを自社で一貫して行っている点も特徴です。
fone(フォネ)とは
録音されたすべてのトラックは演奏されたそのままの状態で聴こえる ー これがfoneの基本ポリシーです。編集や加工は一切行わず、演奏空間の響きをそのまま記録するという姿勢を貫いています。
録音には1947年、1949年製のNeumann U47、U48、M49といった真空管マイクを使用。これらはかつてAbbey Road StudioでBeatlesの録音に使われ、RCAのLiving Stereoシリーズでも活躍したマイクロフォンです。AD/DAコンバーターにはdCS、レコーダーにはPyramixを採用し、すべての録音でアナログ・マスター(Ampex ATR 102など)とDSDマスターの2系統を同時に制作しています。
録音場所にも強いこだわりがあります。教会、劇場、古い邸宅のサロンなど、作品が本来演奏されていた空間を選んで録音するのがfoneの流儀です。
DXDやDSD256で録音するレーベルが増えている中、foneは現在もDSD64録音を採用しています。NativeDSDでのダウンロード販売もDSD64です。
また、独自技術のSignoricci CDも注目に値します。DSD技術を使ってPCMレイヤーの情報量を通常CDより20%増やすという手法で、SACDのCD層にも同じ技術が適用されています。
fone おすすめSACD 10選
クラシックとジャズが中心のレーベルですが、ジャズのほうに良作が多い印象です。
前半5枚がクラシック、後半5枚がジャズです。
Gile Bae - Bach: Goldberg Variations
fone – SACD223

オランダ出身のピアニスト、ガイル・ベによるゴルトベルク変奏曲。彼女の記念すべき最初の録音です。
Neumann U47とU48による録音。レコードでもリリースされています。速いテンポの演奏で、響きが少ない分、細部の描写がよく分かります。
Salvatore Accardo - Paganini: 24 Capricci
fone – 2SACD032

サルヴァトーレ・アッカルドは同レーベルの看板アーティストの1人で、相当数のリリースがあります。どれを取り上げるか悩みましたが、パガニーニの24のカプリースを選びました。
1度目のRCA盤(1962年)、2度目のDG盤(1977年)に続く3度目の録音(2002年)です。通常はカットされる「リトルネッロ」もすべて演奏した完全全曲録音。
最初の12曲はクレモナ市から提供されたストラディヴァリ「イル・クレモネーゼ」(1715年)、残りの12曲はフランチェスカッティのストラディヴァリ「ハート」(1727年)で演奏されています。
Rocco Filippini - Bach: Six Cello Suites
fone – 2SACD125

イタリア出身のチェリスト、ロッコ・フィリッピーニの2度目となる無伴奏チェロ組曲全曲録音。
ピエール・フルニエに師事し、1964年にはジュネーブ国際コンクールで優勝。1968年にはマリアーナ・シルブ、ブルーノ・カニーノとともに「ミラノ三重奏団」を結成、1992年には「アッカルド四重奏団」の創設メンバーにもなっています。
この録音ではアナログ・レコーダーとDSDレコーダーの2台で同時録音していますが、SACD盤はDSDマスターから制作されています。響きは抑えめで、オーソドックスな演奏。
Mariella Devia - Mozart
fone – 9830 SACD

イタリアのソプラノ歌手、マリエッラ・デヴィーアによるモーツァルト作品集。1997年の録音で、当時40代後半の全盛期にあたります。
後にコンバックからXRCDとしても再販されました。
Agostino Orizio - Locatelli: Sei Introduttioni Teatrali Op. IV
fone – 004 SACD

バロック期に活躍したピエトロ・アントニオ・ロカテッリの作品集。明るくて親しみやすい曲です。
foneはオケよりも楽器の個の質感に強みがあるレーベルだと思いますが、この作品はオケ全体の一体感がうまく表現されていて、細部が気になりません。
Peo Alfonsi & Salvatore Maiore - Alma
fone – SACD147

ペオ・アルフォンシ(ギター)とサルヴァトーレ・マイオーレ(コントラバス)のデュオ作品。他にもいろいろと共演作があります。
収録曲はそれぞれが作曲したオリジナル。ナイロン弦の柔らかい音色が心地よいです。
Andrea Castelfranato - Duende Live
fone – SACD215

イタリアのギタリスト、アンドレア・カステルフラナートによるライブ録音。アコースティックギターとナイロンギターを弾き分けています。
オリジナル曲に加えて、マイケル・ジャクソンやビージーズなどのポピュラーソングのメドレーも収録。ライブ録音でも編集は一切行っていません。
Rita Marcotulli - Koine
fone – SACD183

イタリアのジャズピアニスト、リタ・マルコチュリの2021年作。作曲も歌もこなすマルチ・アーティストです。
前衛的実験音楽のような要素も多く含んでいて、ピアノがメインの作品ではありません。混沌としていて、統一感がないようであるような、映画のサントラのようなイメージ。さすがにこのアルバムは編集・加工を行っていると思います。
Eleonora Bianchini & Enzo Pietropaoli - Dos
fone – SACD142

ペルージャ出身のジャズ・シンガー、エレオノーラ・ビアンキーニと、エンツォ・ピエトロパオーリ(コントラバス)によるシンプルな作品。
レッド・ツェッペリン、ビートルズ、レディオヘッドなどの楽曲を含むカバー集。伸びやかな女性ボーカルとベースラインは、オーディオチェック用途にも向いていると思います。
Enzo Pietropaoli Quartet - Yatra Vol. 3
fone – SACD151

Vol. 1、2も良作ですが、Vol. 3が録音・内容ともにお勧めです。
まず、普通に楽曲として良い。完全に好みです。
ブラー、トム・ウェイツ、ジャニス・ジョプリンなどのカバーも完全に自分たちの世界観で表現していて、元曲にしばらく気づきませんでした。ベースラインを前面に出すわけでもなく、それぞれのパートがうまく絡み合っています。
以上10枚紹介しました。
SACDの世界はまだまだ奥深く、他のレーベルにも素晴らしいディスクが数多く存在します。 以下の完全ガイドで、その世界のさらなる魅力に触れてみてください。

Roon
SACD
コメント