イタリアの高音質レーベルfone(フォネ)の作品からおすすめのSACD10枚を紹介します。
今回はイタリアのFoneレーベルです。
同社は現在もSACDのリリースを続けるレーベルの1つで、近年はアナログレコードも積極的に制作しています。
レコーディング、マスタリングからプレスまでを自社で行っています。
(近年のレコードは日本プレスが多いです。)
SACDのリリースも比較的早く取り組んでおり、現在も新譜の多くはSACDです。
また、DSDを使ってPCMレイヤーを認識させることで、通常CDより20%も多い情報を読み込むことを実現したSignoricci CDという技術を有しています。わかるようで良くわからない技術です…。
Signoricci CD
The aim of my work, exhausting and passionate, has always been that of bringing to the final support the maximum possible quality, all the times closer to the original master, in order to recreate with the different listening systems, the emotion that we feel when the "REAL" music is in front of us.
After 25 years from the birth of the CD, I do believe that much more can be done to achieve this objective. The Signoricci CD is my contribution and is part of my evolution relatively to the digital domain, with the use of the DSD technology.
I have developed this system to realize the PCM layer from DSD, the Signoricci CD has a quality enhancement of 20% with respect to the conventional CD, this is a strong incitement to continue on this path.
The same technology is also used for the CD layer of the SACD.
In synthesis, the Signoricci CD contains more details, more information; you can appreciate a more realistic sound environment, more correct tone colors, a more detailed reconstruction of the sound scene.
録音されたすべてのトラックは演奏されたそのままの状態で聴こえる。というポリシーの元、編集加工を行わないというこだわりの強いレーベルです。
また、最近はDXDやDSD256で録音しているレーベルも多い中、いまだにSACDのフォーマットであるDSD64録音です。Native DSDのサイトでも販売されているフォーマットはDSD64です。
レーベル別SACD特集 - Fone編
クラシックとジャズが中心です。
このレーベルはクラシックよりもジャズに良作が多い印象です。
前半5枚がクラシック、後半5枚ががジャズの作品です。
Gile Bae - Bach: Golberg Variations
fone – SACD223
オランダ出身のピアニスト、ガイル・ベによるゴルトベルク変奏曲。
彼女の記念すべき最初の録音です。
ノイマンU47とU48の真空管マイクによる録音。同作品はレコードでもリリースされています。
早いテンポの演奏。響きが少ない分、細部の描写が良く分かる録音です。
Salvatore Accardo - Paganini: 24 Capricci
fone – 2SACD032
サルヴァトーレ・アッカルドは、同レーベルの看板アーティストの1人で、相当数のリリースがあります。どれを取り上げるか悩みましたが、パガニーニの24のカプリースを選びました。
1度目のRCA盤(1962年)、2度目のDG盤(1977年)に続く、アッカルド3度目となる「パガニーニ:24のカプリース」の録音(2002年)です。通常はカットされる“リトルネッロ”もすべて演奏した完全全曲録音。
最初の12曲はクレモナ市から提供されたアントニオ・ストラディヴァリのバイオリン「イル・クレモネーゼ」(1715年)で、残りの12曲はフランチェスカッティ・フォン・アントニオ・ストラディヴァリのバイオリン「ハート」(1727年)で演奏されています。
Rocco Filippini - Bach: Six Cello Suites
fone – 2SACD125
イタリア出身のチェリスト、ロッコ・フィリッピーニの2度目となる無伴奏チェロ組曲全曲録音。
ピエール・フルニエに師事し、1964年にはジュネーブ国際コンクールで優勝。
1968年にはヴァイオリニストのマリアーナ・シルブ、ピアニストのブルーノ・カニーノとともに「ミラノ三重奏団」を結成、1992年には「アッカルド四重奏団」の創設メンバーとなり、さまざまな分野で活躍しています。
この録音ではアナログ・レコーダーとDSDレコーダーの2台で録音していますが、このSACD盤は、DSDレコーダーによるマスターから作成されています。
響きは抑えめで、オーソドックスな演奏。
Mariella Devia - Mozart
fone – 9830 SACD
イタリアのソプラノ歌手、マリエッラ・デヴィーアによるモーツァルト作品集。
97年の録音。録音当時、彼女は40台後半の全盛期です。
同作品は後にコンバックからXRCDとして再販もされています。
Agostino Orizio - Locatelli: Sei Introduttioni Teatrali Op. IV
fone – 004 SACD
バロック期に活躍したピエトロ・アントニオ・ロカテッリの作品集。明るくて親しみやすい曲です。
同レーベルはオケよりも楽器、個の質感の良さが特徴だと思います。
小編成の方が優れた作品が多い印象ですが、この作品はオケ全体の一体感が良く表現できていて、細部が気になりません。
Peo Alfonsi & Salvatore Maiore - Alma
fone – SACD147
ペオ・アルフォンシ(ギター)と、サルヴァトーレ・マイオーレ(コントラバス)のデュオ作品。
他にもいろいろと共演作はあります。
収録曲はそれぞれが作曲したオリジナル。
ナイロン弦の柔らかい音色が心地よいです。
Andrea Castelfranato - Duende Live
fone – SACD215
イタリアのギタリスト、アンドレア・カステルフラナートによるライブ録音。
アコースティックギターと、ナイロンギターを弾き分けています。
オリジナル曲に加えて、マイケル・ジャクソン、ビージーズなどのポピュラーソングのメドレーも収録。
他の作品と同様、ライブ録音でも編集は一切行っていません。
Rita Marcotulli - Koine
fone – SACD183
イタリアのジャズピアニスト、リタ・マルコチュリの2021年作。
作曲も歌もこなすマルチ・アーティスト。
本作は、前衛的実験音楽のような要素も多く含んでいて、ピアノがメインの作品ではないです。
混沌としていて、統一感が無いようであるような、映画のサントラのようなイメージでしょうか。
さすがにこのアルバムは編集、加工を行っていると思います。
Eleonora Bianchini & Enzo Pietropaoli - Dos
fone – SACD142
ペルージャ出身のジャズ・シンガー、エレオノーラ・ビアンキーニと、エンツォ・ピエトロパオーリ(double bass)によるシンプルな作品。
レッド・ツェッペリン、ビートルズ、レディオヘッドなどの楽曲を含むカバー集。
伸びやかな女性ヴォーカルと、ベースラインはオーディオチェック用途にも向いていると思います。
Enzo Pietropaoli Quartet - Yatra Vol. 3
fone – SACD151
Vol.1、2も良作ですが、Vol. 3が録音、内容ともにお勧めです。
まず、普通に楽曲として良いです。完全に好みです。
ブラー、トム・ウェイツ、ジャニス・ジョプリンなどのカバー?も完全に自分たちの世界観で表現しています。元曲にしばらく気づきませんでした。
ベースラインを全面的に出すわけでもなく、それぞれのパートがうまく絡み合っています。
以上10枚紹介しました。