
SACDの音源をPCやNASに取り込んで、RoonやVolumioで再生したい。でもCDのようにPCのドライブでは読み取れない。
SACDのリッピングには、対応するブルーレイプレーヤー(実機)が必要です。この記事では、対応する全機種のリストと、機種ごとのリッピング手順を解説します。
SACDリッピングの全体像
必要なものは3つです。
- 対応するブルーレイプレーヤー(実機)
- リッピング用スクリプトを入れたUSBメモリ
- データを受け取るPC(AutoRip方式ならPCは不要)
USBメモリをプレーヤーに挿し、SACDディスクをセットし、PC側のソフトで抽出を開始する。これだけです。抽出されたデータはDSDファイル(またはISO)としてPCに保存されます。
なぜPCソフトだけではできないのか
SACDにはPit Signal Processingという独自のコピーガードがあり、PCのBlu-rayドライブではデータを読み取れません。CDリッピングとは根本的に仕組みが違います。
そこで、特定のブルーレイプレーヤーのファームウェアの仕組みを利用します。USBメモリ経由でスクリプトを読み込ませ、プレーヤーをファイルサーバー化することで、ネットワーク越しにDSDデータを抽出できるようになります。
foobar2000などの再生ソフトでSACDを扱うことはできますが、それはリッピング済みのDSFファイルやISOファイルを再生するためのものです。foobar2000だけでSACDディスクからデータを取り出すことはできません。
PS3は使えないの?
過去には初期型PS3を改造する方法もありましたが、該当する本体の入手が極めて困難で、故障率も高いため現実的ではありません。ブルーレイプレーヤーの中古入手をおすすめします。
おすすめのプレーヤーと選び方
対応機種はすべて生産終了品のため、中古市場での入手が前提です。入手性・価格・操作の簡単さを総合すると、次の3台がおすすめです。
Pioneer BDP-160
SACDリッピングの定番機。ネット上の情報量が最も多く、トラブル時にも対処しやすい。後継機BDP-170より中古価格も手頃です。
Sony BDP-S6200
中古の流通量が多く、見つけやすい一台。製造ロットによる制限もなく、安心して購入できます。
Denon DBT-3313UD
オーディオメーカーらしい作りのモデル。リッピング用途だけでなく、ディスクプレーヤーとしての音質にもこだわりたい方に。
中古で探す際の注意点
一部のSony機は、初期製造ロットのみリッピングが可能です。後期ロットではスクリプトが読み込まれません。該当するのは以下の3機種です。
- Sony BDP-S6700
- Sony UBP-X800 / UX80
- Sony UHP-H1
型番末尾に「M2」が付く機種(UBP-X800M2等)は完全に非対応です。確実性を重視するなら、上記おすすめ3台のようにロット制限のない機種を選んでください。
対応BDプレーヤー 全機種リスト
海外フォーラム(HiFi Haven)での検証により、4K UHD対応機を含む新たな機種でもリッピングが可能であることが確認されています。以下のリストはこれらの最新情報を反映しています。
| モデル | 発売年 | 国内流通 | 定価 | 中古で探す |
ArcamCDS27 | 2015 | 未発売 | - | |
ArcamUDP411 | 2015 | 未発売 | - | |
Azur 752BD | 2013 | OPEN | 楽天 | |
CambridgeAzur 751BD | 2012 | OPEN | ||
CambridgeCXU | 2015 | OPEN | ||
DenonDBT-3313UD | 2012 | 120,000円 | Amazon | |
DenonDBT-1713UD | 2012 | OPEN | Amazon | |
ElectrocompanietEMP 3 | 2013 | 未発売 | - | |
UD7007 | 2012 | 150,000円 | Amazon | |
MarantzUD5007 | 2012 | OPEN | ||
MSBUniversal Media Transport V | 2015 | 950,000円 | ||
MSBSignature UMT V | 2015 | 1,650,000円 | ||
BDP-93 | 2010 | OPEN | ||
BDP-95 | 2011 | OPEN | 楽天 | |
BDP-103 | 2012 | OPEN | Amazon | |
BDP-103D | 2013 | OPEN | Amazon | |
BDP-105 | 2012 | OPEN | Amazon | |
BDP-105D | 2013 | OPEN | Amazon | |
UDP-203 [4K] | 2016 | OPEN | Amazon | |
OppoUDP-205 [4K] | 2017 | OPEN | 楽天 | |
PioneerBDP-80FD | 2014 | 未発売 | - | |
PioneerBDP-140 | 2012 | OPEN | ||
BDP-150 | 2012 | OPEN | Amazon | |
BDP-160 | 2013 | OPEN | Amazon | |
PioneerBDP-170 | 2014 | OPEN | Amazon | |
| Pioneer BDP-440 | 2012 | 未発売 | - | |
PioneerBDP-450 | 2012 | OPEN | Amazon | |
| Pioneer BDP-53FD(北米) | 2013 | 未発売 | - | |
MCS-FS232 | 2014 | 未発売 | - | |
PioneerBD32 MKII | 2014 | 700,000円 | ||
SonyBDP-S590 / BDP-BX59 | 2012 | OPEN | Amazon | |
SonyBDP-S790 | 2012 | 未発売 | - | |
SonyBDP-S5100 / BDP-BX510 | 2013 | OPEN | Amazon | |
SonyBDP-S6200 / BDP-BX620 | 2014 | OPEN | Amazon | |
SonyBDP-S7200 | 2014 | 未発売 | - | |
SonyBDP-S6500 / BDP-BX650 | 2015 | OPEN | Amazon | |
SonyBDP-S6700 * | 2016 | OPEN | Amazon | |
SonyUBP-X800 / UX80 [4K] * | 2017 | OPEN | Amazon | |
YamahaBD-S677 | 2014 | 未発売 | - |
リッピングの準備
2つのリッピング方式
リッピングには「ネットワーク方式」と「AutoRip方式」の2つがあります。迷ったらネットワーク方式を選んでください。
| ネットワーク方式(推奨) | AutoRip方式 | |
| 保存先 | PC(ネットワーク経由) | USBメモリ(直接書き込み) |
| PCの要否 | 必要 | 不要 |
| 出力形式 | DSF / DFF / ISO | ISOのみ |
| 日本語メタデータ | 問題なし | エラーになる場合あり |
| 向いている人 | 大量にリッピングしたい方 | PCが苦手な方 |
ネットワーク方式のスクリプト対応表
ネットワーク方式で使用するスクリプト(AutoScriptフォルダ)は、プレーヤーの機種によって異なります。HiFi HavenフォーラムのPost #25から、該当するスクリプトをダウンロードしてください。
| スクリプト名 | 対応機種 |
| Pioneer-Sony | Sony BDP-S390, S490, S590, S4100, S5100 Pioneer BDP-160, BDP-170, BDP-80FD Yamaha BD-S677 |
| OPPO-Cambridge | Oppo BDP-103, 103D, 105, 105D Cambridge Azur 751BD, 752BD, CXU Arcam CDS27, UDP411 Electrocompaniet EMP 3 MSB UMT V, Signature UMT V Pioneer BD32 MKII |
| OPPO BDP-9x | Oppo BDP-93, 95 Denon DBT-1713UD Pioneer BDP-140, 150, 440, 450 Marantz UD5007 |
| Sony BDP-S6200用 (ARMv7) | Sony BDP-S6200 / BX620, S7200 Denon DBT-3313UD |
| Sony BDP-S790用 (ARMv7) | Sony BDP-S790 Marantz UD7007 |
| Sony BDP-S6500用 (ARMv7) | Sony BDP-S6500 / BX650 Sony BDP-S6700 * |
| Sony UBP-X800用 (ARMv7) | Sony UBP-X800 / UX80 * |
| Oppo UDP-203/205用 | Oppo UDP-203, UDP-205 |
準備するもの
- SACDリッピング対応BDプレーヤー
- USBメモリ(FAT32またはNTFS、MBRパーティション必須。GPTでは認識されません)
- ネットワーク方式の場合:PC(Windows / Mac / Linux)+ LANケーブル
- AutoRip方式の場合:大容量USBメモリ(ISOデータは最大約4.7GB)
⚠ 注意:USBメモリ上のフォルダ名は「AutoScript」固定です。フォルダ名を変更したり、中のファイルを開いたりしないでください。キー入力が一つでもあるとスクリプトが壊れます。
PC側のソフトウェア(ネットワーク方式のみ)
ネットワーク方式では、PC側に以下の2つが必要です。同じフォルダに配置してください。
- sacd_extract(抽出エンジン)ー ページ最下部の「Assets」からOS別にダウンロード
GitHub - EuFlo/sacd-ripper(Releases) - SACDExtractGUI(操作画面)ー 別途Javaが必要
GitHub - setmind/SACDExtractGUI
sacd_extractはコマンドラインツールですが、単体での使用は推奨されていません。SACDExtractGUIを通じて実行することで、ディスクのセクター数や抽出の進捗、エラーの詳細がリアルタイムで表示されます。コマンドラインだけではこれらの情報が見えず、問題が起きた際の原因特定が困難になります。
リッピングの実行手順
ネットワーク方式

プレーヤーをファイルサーバー化し、PCのSACDExtractGUIで抽出する方法です。ISO形式で保存しておけば、後から任意の形式に変換できます。
PC側の準備
1. sacd_extractとSACDExtractGUIを同じフォルダに配置する
ダウンロードしたsacd_extract(OS別の実行ファイル)と、SACDExtractGUI(iso2dsd_gui.jar等)を同じフォルダに入れます。フォルダの場所はデスクトップでも構いませんが、中のファイルを分散させず、すべて一箇所にまとめてください。
macOSでは、sacd_extractを右クリック→「開く」で一度起動し、セキュリティの例外を許可しておく必要があります。
2. プレーヤーのIPアドレスを確認する
プレーヤーをLANケーブルでルーターに接続し、プレーヤーの設定画面からネットワーク情報を開きます。「192.168.1.xx」のような数字がIPアドレスです。スマートフォンのネットワークスキャンアプリ(Fingなど)でも確認できます。
3. SACDExtractGUIを起動し、設定する
iso2dsd_gui.jarをダブルクリックで起動します(Javaが必要)。画面上部の設定項目を以下のように入力してください。
- Server ー プレーヤーのIPアドレスを入力(例:192.168.1.100)
- Port ー 「2002」のまま変更不要
- Format ー ISOで保存する場合は「ISO」、DSFで直接保存する場合は「DSF(DSD)」を選択
- Area ー 2chステレオのみなら「Stereo」を選択。マルチチャンネルも必要なら「Multi-Ch」
ISOで保存しておけば、後からDSFやDFFなど任意の形式に変換できます。ストレージに余裕があればISO保存がおすすめです。
リッピングしたファイルはSACDExtractGUIと同じフォルダに保存されます(保存先は変更できません)。完了後に音楽フォルダへ移動してください。
プレーヤー側の操作
メーカーや世代によって、スクリプトを読み込ませる操作が異なります。お持ちの機種から該当するパターンを確認してください。
パターン1:Sony 前期モデル(電源ボタンで閉じてスリープ)
スクリプト:Pioneer-Sony
該当:BDP-S390, S490, S590, S4100, S5100
- 設定で「クイックスタート」をONにする。
- 電源を入れ、USBメモリを挿入。トレイが自動で開く。
- ディスクをセットし、「電源OFF」ボタンでトレイを閉じる(開/閉ボタンは使わない)。
- ディスプレイが完全に消灯するまで待つ。
- SACDExtractGUIの「Execute」ボタンをクリック。
パターン2:Sony BDP-S6200 / S7200(電源OFF状態から開始)
スクリプト:Sony BDP-S6200用(ARMv7)
該当:BDP-S6200, S7200
- 設定で「クイックスタート」をONにする。
- 電源OFFの状態でUSBメモリを挿入。プレーヤーが目覚め、トレイが開く。
- ディスクをセット(トレイは自動で閉じる)。
- 「電源OFF」ボタンを押し、スタンバイに戻す。
- SACDExtractGUIの「Execute」ボタンをクリック。
パターン3:Sony 後期・4K対応(スリープ不要)
スクリプト:Sony BDP-S6500用 / Sony UBP-X800用(ARMv7)
該当:BDP-S6500, S6700*, UBP-X800* (*初期ロットのみ)
- 電源ケーブルを挿す(まだ電源ボタンは押さない)。
- USBメモリを挿入してから電源ON。
- トレイが開いたらディスクをセットし、通常のCLOSEボタンで閉じる。
- SACDExtractGUIの「Execute」ボタンをクリック。
パターン4:Oppo / Cambridge / Arcam等(アウェイク方式)
スクリプト:OPPO-Cambridge / OPPO BDP-9x / Oppo UDP-203/205用(機種により異なる)
該当:Oppo BDP-93〜UDP-205 / Cambridge Azur 751BD, 752BD, CXU / Arcam等
- 設定で「自動再生」と「自動再開」をOFFにする。
- 電源を入れ、USBメモリを挿入。トレイが開く。
- ディスクをセットし、通常のOpen/Closeで閉じる。
- SACDExtractGUIの「Execute」ボタンをクリック。
パターン5:Pioneer / Denon / Marantz / Yamaha(Play&Stop方式)
スクリプト:機種によって異なる(上記スクリプト対応表を参照)
該当:Pioneer BDP-140〜170, 440, 450, 80FD / Denon DBT-1713UD, 3313UD / Marantz UD5007, UD7007 / Yamaha BD-S677
- 設定で自動再生・レジュームをOFFにする。
- 電源を入れ、USBメモリを挿入。トレイが開く。
- ディスクをセットし、「PLAY」ボタンでトレイを閉じる。
- 数秒再生されたら「STOP」ボタンを押す。
- SACDExtractGUIの「Execute」ボタンをクリック。
連続リッピング時の注意
6〜7枚連続でリッピングするとプレーヤーのRAMが限界に達し、「Port 2002に接続できない」等のエラーが出ます。USBメモリを抜き、電源ケーブルを抜き差し(ハードリセット)すれば復旧します。
AutoRip方式(PC不要)
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PCを使わず、USBメモリに直接ISOを書き込む方法です。スクリプトを入れたUSBメモリを挿してディスクをセットすると、自動的にリッピングが始まり、終了するとディスクが排出されます。手軽ですが、日本語メタデータのディスクではエラーが出ることがあります。

AutoRip用のスクリプトはネットワーク方式とは別のファイルです。機種ごとに使用するスクリプト(A1neo〜A6等)が異なります。詳細な手順と対応表はHiFi Havenフォーラムを参照してください。
HiFi Haven - Rip SACD with a Blu-ray player(AutoRipスクリプト配布ページ)
リッピング後の作業
ネットワーク方式で出力形式をDSFに設定した場合、リッピングしたファイルはそのまま再生できます。AutoRip方式で作成されたISOファイルは、DSFに変換すると便利です。

DSFファイルのタグ(アーティスト名、アルバム名、ジャケット画像など)はMp3tagで編集できます。

まとめ
SACDのリッピングは、対応するブルーレイプレーヤーさえ手に入れば、あとはUSBメモリとPCだけで完結します。
迷ったら、Pioneer BDP-160かSony BDP-S6200を探してください。どちらもロット制限がなく、情報量も多いため、初めてでも確実にリッピングできます。
※スクリプトの対応情報はHiFi Havenフォーラム(Post #25)の内容に基づいています。
SACDの世界はまだまだ奥深く、他のレーベルにも素晴らしいディスクが数多く存在します。 以下の完全ガイドで、その世界のさらなる魅力に触れてみてください。
Arcam
Arcam
Cambridge
Cambridge
Denon
Denon
Electrocompaniet
Marantz
MSB
MSB
Oppo
Pioneer
Pioneer
Pioneer
Pioneer
Pioneer
Sony
Sony
Sony
Sony
Sony
Sony
Sony
Sony
Yamaha