SACDの高音質な音源をパソコンに取り込みたい方必見。本記事では、SACDリッピングが可能なブルーレイプレーヤーの一覧と、具体的なリッピング手順を詳しく解説します。
SACDリッピングについて
SACDはコピーガードにより、通常のPCでは取り込むことができません。しかし、特定のブルーレイプレーヤーを使用することで、高音質なリッピングが可能です。
ただし、対応機種は全て生産終了モデルとなっています。中古市場での入手も年々困難になってきていますので、興味のある方はお早めの入手をおすすめします。
SACDリッピングの3つのメリット
- 再生環境の自由度が広がる
SACDプレーヤーの生産終了や故障に備え、ネットワークプレーヤーやDSD対応の再生ソフトで音源を楽しめるようになります。 - より高音質な再生が可能に
一部のSACDシングルレイヤー盤を除き、SACD音声はDST圧縮されています。DSFでリッピングすることで、非圧縮DSD音源として取り込むことができます。 - 保管が容易に
デジタルデータとして保存できるため、ディスクの劣化や損傷を気にせず長期保存が可能です。
これらのメリットにより、大切なSACDコレクションを将来にわたって楽しむことができます。
SACDリッピングできるブルーレイプレーヤー一覧
ブルーレイを使ったSACDリッピングは、下記フォーラムで話題になりました。
参考: SACD Ripping using an Oppo or Pioneer? Yes, it’s true!
下記のモデルがリッピングできるそうです。
事実関係は保証できませんのでご了承ください。
Arcam
FMJ UDP411 (日本未発売)
FMJ CDS27 (日本未発売)
Cambridge
Azur 752BD
CXU
Electrocompaniet
EMP3 (日本未発売)
DENON
DBT-3313UD and 3313UDCI * ARMv7 AutoScript version
Marantz
UD7007
MSB Technology
Universal Media Transport V
Signature UMT V
Oppo
BDP-103 and 103D
BDP-105 and 105D
Pioneer
BDP-80FD (日本未発売)
BDP-160
BDP-170
Primare
BD32 MkII
Sony
BDP-S390 (日本未発売)
BDP-S490 (日本未発売)
BDP-S590
BDP-S4100 (日本未発売)
BDP-S5100
BDP-S790 (日本未発売)
BDP-S6200 *ARMv7 AutoScript version
BDP-S7200 (日本未発売) *ARMv7 AutoScript version
YAMAHA
BD-S677 (日本未発売)
SACDリッピング方法
機種により設定は異なります。
PC側の事前準備
FAT32でフォーマットし、短いラベル名にする
ブルーレイプレーヤーの設定
プレーヤー側の事前準備
有線/無線は問いません。IPアドレスを確認してメモします。
固定IPにした方が便利だと思います。
プレーヤーにはUSBデバイスをつながないこと
クイックスタートをON
自動再生はオフに
以下はモデルによって操作方法が異なります。
A1neo & A2neo
- プレーヤーの電源を入れ、USBフラッシュドライブを挿入。
- トレイが自動的に開きます。
- 10秒以内にディスクをトレイに置く。
- プレーヤーは特別なモードになり、フロントパネルに「OFF」または「LOAD」と表示されます。
- ISOリッピングが開始され、ディスクの回転音とUSBフラッシュドライブのLEDが点灯します。
- リッピングが終了すると、ディスクは排出されます。
- 電源を切ります。
A3 & A6
- SONYプレーヤーはSLEEP MODE(=電源を切る)で、
DENON、MARANTZ、PIONEERプレーヤーはONのままにし(=AWAKE MODE)、USBメモリーを挿入する - トレイが自動的に開きます。
- 10秒以内にディスクをトレイに置くと、トレイは自動で閉じます。
- ISOリッピングが開始されます。ディスクの回転音とUSBフラッシュドライブのLEDの動作を確認してください。
- リッピングが終わり次第、ディスクが取り出されます。
A4 & A5
- プレーヤーの電源を入れ、USBフラッシュドライブを挿入します。
- トレイが自動的に開きます。
- 10秒以内にディスクをトレイに置く。
- ISOリッピングが開始されます。ディスクの回転音とUSBフラッシュドライブのLEDの動作を確認してください。
- リッピングが終わり次第、ディスクが取り出されます。
A1-archaic、A2-archaic、A6-archaic
「クイック起動」オプション[=スリープモード]がない、またはIRコマンドを無視するモデル
- プレーヤーの電源を入れ、USBフラッシュドライブを挿入します。
- トレイが自動で開きます(スロットインドライブはガラガラというノイズを出すだけです)。
- ディスクを10秒以内にトレイの上に置くと、トレイは自動で閉じる(スロットドライブメカニズムの場合は、空のイジェクトを試みるガラガラ音が聞こえたらすぐにディスクをスライドさせてください)。
- ディスクが認識されるまで待ち、STOPボタンの直後にPLAYボタンを押す。
- プレーヤーのオンスクリーンディスプレイメニューからSACDチャンネル出力設定(2CH <-> MultiCH)を変更します(30秒以内)。
- ディスクの回転音とUSBメモリーのLEDの点灯を確認してください。
- リッピングが終わり次第、ディスクが取り出されます。
リッピングを開始する
CドライブにSACDというフォルダーを作ると仮定します。
先ほどのフォルダーにsacd_extractをダウンロードし、解凍します。
解凍したsacd_extract.exeファイルを保存。
参考: https://www.videohelp.com/software/sacd-extract
事前準備で作成したフォルダーに移動。
今回はCドライブにsacdというフォルダーを作成しましたので、コマンドプロンプトに下記のように入力。
cd C:\sacd
次に、フォルダー内のsacd_extract.exeを起動します。
.\sacd_extract -i 192.168.x.xx:2002 -P -I
192.168.x.xxはブルーレイプレーヤーのIPアドレスです
デフォルトではISOファイルで保管されますが、下記コマンドを追加することでDSFのステレオで保存するなど、設定を変更できます。
Usage: sacd_extract [options] [outfile]
-2, --2ch-tracks : Export two channel tracks (default)
-m, --mch-tracks : Export multi-channel tracks
-e, --output-dsdiff-em : output as Philips DSDIFF (Edit Master) file
-p, --output-dsdiff : output as Philips DSDIFF file
-s, --output-dsf : output as Sony DSF file
-I, --output-iso : output as RAW ISO
-c, --convert-dst : convert DST to DSD
-C, --export-cue : Export a CUE Sheet
-i, --input[=FILE] : set source and determine if "iso" image,
device or server (ex. -i192.168.1.10:2002)
-P, --print : display disc and track information
作成したフォルダー内(Cドライブのsacd)にISOファイルが保存されます。
lightMPDやfoobar2000(要プラグイン)などISOファイルをそのまま再生できるソフトも存在しますが、通常はDSFやDSDIFFに変換する必要があります。
SACD ISOをDSFファイルに変換する
SACD ISOファイルの処理の仕方は別ページで説明しています。
DSFファイルのタグ編集
SACD ISOファイルに変換した後は、Mp3tagでタグ情報の編集ができます。こちらに詳しく紹介しています。
リッピングは違法?
SACDをWindows PCでリッピングできますか?
SACDはコピーガードが採用されていますので、PCで取り込みはできません。
日本国内において、SACDリッピングは違法なのでしょうか?
平成24年通常国会、著作権法改正における改正法Q&Aで以下のような解説がされています。
問6-1 暗号方式を技術的保護手段の対象とすることにより,どのような規制が強化されるのでしょうか。(第2条第1項第20号等関係)
(答)
DVD等に用いられる暗号方式の保護技術を新たに技術的保護手段の対象とすることにより,第30条第1項第2号において,私的使用目的であっても,技術的保護手段の回避により可能となった複製を,その事実を知りながら行う場合には複製権侵害となり,民事上の責任(損害賠償など)を負うこととなります。ただし,刑事罰はありません。
なお,技術的保護手段の用いられていないCDを私的使用目的で複製すること(例えば,携帯用音楽プレーヤーに取り込むこと)は,著作権侵害とはなりません。
一方,第120条の2において,
・暗号方式による技術的保護手段の回避を可能とする装置又はプログラムの譲渡等を行った者(第1号)
・業として公衆からの求めに応じて当該技術的保護手段の回避を行った者(第2号)
に対しては,3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し,又はこれを併科することとなります。
なお,第120条の2に規定する罰則については,非親告罪となっており,公訴を提起するために著作権者の告訴は必要ありません。問6-2 今般の法改正により,技術的保護手段の対象となる保護技術とはどういうものなのか教えてください。(第2条第1項第20号関係)
参考: 著作権等の技術的保護手段に係る規定の整備
(答)
今般対象となる暗号方式の保護技術とは,コンテンツ提供事業者が映画などのコンテンツを暗号化することにより,機器での試聴や複製をコントロールする技術であり,現在,DVDやBlu-ray Discなどに用いられています。
具体的には,記録媒体用のCSS(Content Scramble System)やAACS(Advanced Access Content System),機器間伝送路用のDTCP(Digital Transmission Content Protection)やHDCP(High-bandwidth Digital Content Protection),放送用のB-CAS方式などが挙げられます。
SACD自体がコピーガードされているコンテンツであることを考えると、リッピングは限りなく黒に近いと思います。
ただし、SACDプレーヤーのアナログ出力から録音したり、PCMに変換してデジタル出力したものを録音するのはコピーガードが無いという観点から問題なさそうです。
念のため、このコンテンツを作成する前に文化庁に問い合わせました。
- SACDリッピングは違法なのか?
- リッピングが違法な場合、その方法を公開することも違法なのか?
残念ながら回答はもらえませんでした。
方法を公開することもNGであると分かった場合、このコンテンツは非公開にします。
日本でのSACDリッピングは法に触れる可能性があるので、自己責任でお願いします。
SACDリッピング まとめ
- WindowsやMacでSACDをリッピングすることはできない
- 特定のブルーレイプレーヤー(例:BDP-170, BDP-160)を使用してISOファイルを抽出可能
- 対応しているブルーレイプレーヤーも旧機種のみなので、中古市場で確保する必要がある
- PCにSACDを取り込む際は、専用のハードウェアとソフトウェアの組み合わせが必要
- SACD rippingの手順には、USBメモリの準備、AutoScriptファイルのダウンロード、ブルーレイプレーヤーの設定が含まれる
- リッピングしたISOファイルは、DSFやDSDIFFなどの一般的なDSD形式に変換する必要がある
- SACDリッピングは法的にグレーゾーンであり、日本国内では自己責任で行う必要がある