
「イエロー・レーベル」の愛称で知られるDeutsche Grammophon(ドイツ・グラモフォン)。1898年創設、世界最古の現存するレコードレーベルであり、クラシック音楽の録音において最も重要なレーベルの1つです。
最初に断っておくと、グラモフォンのSACDにDSD録音のものはないと思います。PCM 48kHz/24bitや96kHz/24bitなどで録音・編集した上で、最後にDSD変換してSACDを制作しています。
ただ、PCMマスターであっても、CD層とのクオリティ差は十分に感じられます。大手レーベルならではの名演奏・名録音が揃っていることもあり、紹介することにしました。
なお、グラモフォンは現在SACDの新規リリースを行っていません。高音質ストリーミングやPCMハイレゾの販売環境が整い、SACDというパッケージにこだわる必要がなくなったのでしょう。
ドイツ・グラモフォンとは
1898年、エミール・ベルリナーによってドイツ・ハノーファーで設立されました。ベルリナーはレコード盤とグラモフォン(蓄音機)の発明者であり、まさに録音の歴史そのものがこのレーベルから始まったといえます。
カラヤン、バーンスタイン、アバド、アルゲリッチ、ムター。クラシック音楽の歴史を彩る演奏家たちが名を連ねてきました。
録音技術の面でも先駆的な存在です。1946年には磁気テープによる録音をいち早く導入。1983年にはカラヤン指揮によるR・シュトラウスの「アルプス交響曲」で、クラシック初のCDをリリースしています。1970年代にはマルチトラック録音も積極的に採用し、時代ごとに最先端の技術を取り入れてきました。
現在はユニバーサル ミュージック グループの傘下にあります。近年はOriginal Sourceシリーズとして、1970年代の4トラック・マスターテープからオールアナログでリマスターしたLPの再発も行っており、話題を集めています。
レコードについては別の記事で詳しく紹介しています。

ドイツ・グラモフォン おすすめSACD 10選
すべてPCM録音です。
動画はこのレーベルとは直接関係ありませんが、音源の紹介として掲載します。
Helene Grimaud - Credo
DG – 474 869-2

グラモフォン移籍後初の録音。
ベートーヴェンと現代作曲家のジョン・コリリアーノ、アルヴォ・ペルトという不思議な組み合わせです。
独奏と、合唱団・オーケストラが加わる作品もありバラエティに富んでいます。クラシックに興味がなかった時期でしたが、オーディオ界隈で話題になっていたのでリアルタイムで購入しました。
アルバムタイトルにもなっている最終曲「クレド」は、音の洪水で破綻なく再生するのがとても難しい曲です。
PCM96kHz/24bit録音
Martha Argerich & Mikhail Pletnev - Prokofiev: Cinderella Suite, Ravel: Ma mere l'oye
DG – 474 8682

連弾の作品を多く残すアルゲリッチですが、相手として最も実力的に均衡しているのがこのミハイル・プレトニョフとの作品です。
明瞭度が高く、静から動への移行する空気感がよく分かります。プロコフィエフ「シンデレラ」の最終曲は、ピアノ作品としては低域のエネルギーがかなり入った録音で、再生能力を測る指標になり得る曲です。
PCM96kHz/24bit録音
Lang Lang - Rachmaninov: Piano Concerto No. 2, Rhapsody on a Theme of Paganini
DG - 477 5499

ラン・ランによるラフマニノフのピアノ協奏曲2番とパガニーニの主題による狂詩曲。ゲルギエフ指揮、マリインスキー劇場管弦楽団。
パガニーニの主題による狂詩曲が好きで、今でもよく聴く作品です。
ラン・ランの躍動感ある演奏とオケの一体感がいい。
現在の最新録音と比べると少し混濁した感じも受けますが、何よりも生き生きとした演奏が魅力です。狂詩曲は変奏ごとにトラックが細かく分かれているため、かつてはギャップレス再生対応の確認用としてもよく使っていました。
PCM96kHz/24bit録音
Mikhail Pletnev - Prokofiev: Piano Concerto No. 3, Rachmaninov: Piano Concerto No. 3
DG – 477 060-2

ミハイル・プレトニョフのラフマニノフ ピアノ協奏曲3番、プロコフィエフ ピアノ協奏曲3番。ロストロポーヴィチ指揮、ロシア・ナショナル管弦楽団。
超絶技巧の代名詞のようなラフマニノフの3番ですが、テクニックが前面に出ていないというか、技術が高すぎるのかパッと聴くと何も凄くない普通の演奏に感じます。細部までよくコントロールされた知的な演奏です。この演奏に慣れると他の人の作品の粗がよく分かります。
録音も同様で、派手さはないですが破綻もなくバランスのよい録り方をしていると思います。
PCM48kHz/24bit録音
Hilary Hahn - Bach: Violin Concertos
DG – 474 639-2

ヒラリー・ハーンによるバッハのヴァイオリン協奏曲。
どんなオーディオシステムで聴いても一定水準の音質で聴こえる優秀録音です。SACDのリファレンスとして持っていて損はありません。
クレジットを見ると96kHz録音ですが、ハイレゾ販売はなぜか192kHzになっています。
PCM96kHz/24bit録音
Anna Netrebko - Opera Arias
DG - 474 640-2

アンナ・ネトレプコによるオペラ・アリア集。ジャナンドレア・ノセダ指揮、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、ウィーン国立歌劇場合唱団。
声楽はほとんど聴かないジャンルですが、ネトレプコは声に力と色気があります。いろいろな意味でゴージャスな作品です。
クレジットの表記がないため録音フォーマットは不明です。
John Eliot Gardiner - Holst: The Planets, Grainger: The Warriors
DG – 471 634-2

古楽器中心に活動しているガーディナーによるホルストの「惑星」。惑星は数えきれないほど録音が多いので、その中で際立った何かがある作品ではないですが、明瞭度は高く録音は良いほうだと思っています。
小気味よく少しテンポが速すぎるように感じる部分と、ゆったり聴かせようとする部分の対比が印象的です。
派手さはないですが、ホールトーンが十二分に感じられる作品。
録音フォーマットは不明。
Esa-Pekka Salonen - Le Sacre du Printemps
DG – 477 6198

エサ=ペッカ・サロネンは、とりあえず買っておけば間違いない指揮者の1人だと思います。
1曲目、ムソグルスキー「はげ山の一夜」の冒頭からすごいエネルギーの塊に圧倒されます。グラモフォンのSACDとして最もデモ映えする作品の1つ。
Gilbert Kaplan - Mahler: Symphony No. 2
DG – 474 594-2

キャプランは、マーラーの2番しか振らない指揮者として有名です。
音楽的教育を受けていなかった氏は、マーラーの2番の虜になり、指揮することを夢見て30代でショルティに師事。40代で自費によるコンサートを実現し、そこで評判になり演奏のオファーが来るようになりました。
このウィーン・フィルとの録音は、私財で購入したマーラー自筆譜をもとにした新校訂版キャプラン版です。細部までコントロールされた緻密な演奏。録音のレベルも非常に高いです。
Pierre Boulez - Mahler: Symphony No. 3
DG – 474 298-2

オーディオ的な聴き方をしていると、マーラーの交響曲が手元にどんどん増えていきます。
ブーレーズは熱い演奏ではなく、客観的に淡々と仕事をする印象。安定感のある演奏です。ウィーンフィルの力も大きいと思いますが。
以上10枚紹介しました。
SACDの世界はまだまだ奥深く、他のレーベルにも素晴らしいディスクが数多く存在します。 以下の完全ガイドで、その世界のさらなる魅力に触れてみてください。

Roon
SACD
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