英国のクラシック専門レーベル(ハイペリオン)からおすすめのSACDを10枚紹介します。
今回のSACDレーベル特集はイギリスのHyperion編です。
ハイペリオン・レコード(Hyperion Records Limited)は、クラシック音楽を専門とするインディペンデント・レコードレーベルである。
ハイペリオン」という社名は、ギリシア神話に登場するティーターンの一人、ヒュペリーオーンにちなんでいる。ジョージ・エドワード・ペリー(「テッド」という愛称で広く知られている)によって、1980年に設立された。
ハイペリオン・レコード - Wikipedia
同レーベルは全体のカタログ数に対して、決してSACDは多くありません。
近年はレーベルサイトからハイレゾのファイル購入も可能です。
参考: Hyperion Records
優れたピアノ作品が多く、また、現時点でTidalやQobuzでは聴けないレーベルなので、必然的に購入頻度が増えています。
通常CDでもお勧めしたい作品はたくさんあるので、機会があれば紹介したいと思います。
【レーベル別SACD特集】Hyperion(ハイペリオン)編
同レーベルはSACDの比率は決して多くはありません。SACDで縛ると偏ったアーティストになってしまいますがご了承ください。
Angela Hewitt - Bach: The English Suites
Hyperion – SACDA67451/2
アンジェラ・ヒューイットはハイペリオンを代表するピアニストで、たぶん、同レーベルでは一番SACDをリリースしています。多くのレパートリーがありますが、やはりバッハのスペシャリストというイメージが強いです。
デビュー時はDGからレコードもリリースしていましたが、キャリアの多くはハイペリオンからです。
同郷のグールドとはかなり異なる、穏やかで包み込まれるような演奏です。
該当動画が見つけられなかったので、デビュー時の演奏を貼っておきます。
Angela Hewitt - Rameau Keyboard Suites
Hyperion – SACDA67597
同じく、アンジェラ・ヒューイットによる、ラモーのクラヴサン曲集です。
バッハと同世代のラモーは、和声の理論を熱心に研究していました。音楽におけるハーモニーの重要性を取り上げた第一人者ともいえます。
同世代のバッハとラモーを同じピアニストで比較するのも面白いと思います。
Florestan Trio - Debussy, Faure & Ravel; Piano Trios
Hyperion – SACDA67114
フロレスタン・トリオは95年に結成され、わずか5年でロイヤル・フィルハーモニック協会室内楽賞を受賞した、実力のあるトリオです。
多くのレパートリーがありますが、本作はドビュッシー、フォーレ、ラヴェル。
演奏同様、録音も細部まで緻密です。
Stephen Hough - Rachmaninov: Piano Concertos, Paganini Rhapsody
Hyperion – SACDA67501/2
スティーブン・ハフは大好きなピアニストの1人です。
ラフマニノフのピアノ協奏曲は新旧様々な録音が存在しますが、全曲録音となるとそれほど多くないと思います。
人気のある2番、3番でも、変にエモーショナルな感じにならず、確かな技術がありとても忠実な演奏です。
また、録音も地味に聴こえるかもしれませんが、全体の調和がとれていてバランスが良いです。
個人的にラフマニノフのピアノ協奏曲全集としては1番手に推奨します。
廃盤ですがSACDで持っていたい1枚。
Marc-Andre Hamelin - Shostakovich: Piano Concertos Nos. 1 & 2, Shchedrin: Piano Concerto No. 2
Hyperion – SACDA67425
マルカンドレ・アムランは、フランス系カナダ人のピアニスト。
いわゆる超絶技巧系に属すると思います。
同レーベルに無数の録音がありますが、SACDは数えるほどしかありません。
アムランによるショスタコーヴィチのピアノ協奏曲2つとシチェドリンの協奏曲2番です。
技巧が冴えわたるまさに名人芸と言える演奏です。
ピアニストとしてショスタコーヴィチの録音経験を持つリットンが指揮を務めています。
この作品が発売された2003年当時、レーベルオフィシャルから、"One of our records of the year !"と強力に推薦されていました。
Marc-Andre Hamelin - Brahms: Piano Concerto No. 2, Four Piano Pieces
Hyperion – SACDA67550
もう1枚アムランを。
ブラームスのピアノ協奏曲2番と、4つの小品を取り上げています。
協奏曲2番は、交響曲と協奏曲の原理を室内楽のように融合させたもので、ブラームスのピアノ作品の集大成ともいわれています。先に紹介したスティーブン・ハフのラフマニノフ全集と同じ、リットン&ダラス響のコンビです。
この曲を代表する名演奏、名録音だと思います。
動画は収録CDとは別のものですが、参考までに紹介します。
Stephen Layton - Arvo Part: Triodion
Hyperion – CDA67375
ピアノ作品が圧倒的に多いハイペリオンですが、宗教音楽、合唱作品も多くの録音があります。
スティーヴン・レイトンと、レイトンの創設した合唱団"ポリフォニー"によるアルヴォ・ペルトのトリオディオン。
発売当時、グラモフォン賞2004の合唱部門賞初め、BBCミュージック・マガジンの年間TOP20を受賞など高い評価を獲得しています。
アルヴォ・ペルトの別作品ですが、動画も紹介しておきます。
Ilan Volkov - Janacek: Eternal Gospel, Excursions of Mr Broucek
Hyperion – SACDA67517
ヤナーチェクの管弦楽作品集。
有名な、シンフォニエッタ、イェヌーファなどではなく、馴染みのない作品ばかりを取り上げています。
私にはほぼ初見のものばかりでした。
イラン・ヴォルコフ指揮、BBCスコティッシュ響。
Mark Elder - Holst: Planets
Hyperion – SACDA67270
お馴染みのホルスト、惑星です。
この曲楽曲された当時はまだ発見されていなかった、冥王星をコリン・マシューズが書き加えたものも演奏されています。
惑星自体は無数に録音があるので、それらと比べると少し分が悪い感じはありますが、このレーベルでは珍しい録音だと思いますので取り上げます。
Andrew Litton - Ives: Symphonies Nos. 2 & 3, General William Booth Enters Into Heaven
Hyperion – SACDA67525
アンドルー・リットン、ダラス交響楽団によるアイヴズの交響曲。
同レーベルで交響曲のSACDはほとんどないと思います。
アイヴズはアメリカ人として、最初に国際的な名声を得た作曲家の一人です。リットンはアイヴズの全集録音をしています。別作品で(SACDA-67540)1番と4番のSACDもリリースしています。
現代音楽の作曲家のイメージが強いですが、あまり違和感なく聴けると思います。
以上10枚紹介してみました。