UpTone Audio - EtherREGEN 徹底解説【Gen2情報も】

UpTone Audio - EtherREGEN

UpTone Audio社のEtherREGENは、「オーディオ用スイッチングハブ」というカテゴリーの中でも、特に独自の設計思想を持つ製品です。

多くの製品が既存のスイッチをベースに改良されるのに対し、EtherREGENは音質に影響を及ぼすノイズを体系的に低減するためにゼロから設計された、まさに「オーディオデバイス」と呼ぶべきアプローチを採っています。

核心技術「ADIM™」の解説から実際の使用感、10Mクロックとの連携による効果、そして開発中の後継機「EtherREGEN Gen2」の情報まで、EtherREGENを網羅的に紹介します。

目次

EtherREGENの核心 ー なぜ「ただのスイッチ」ではないのか?

EtherREGEN 技術背景

EtherREGENの価値を理解する上で最も重要なのが、その独自の設計思想です。一般的なオーディオ用ハブが既存のスイッチに高品位な電源やクロックを追加する「改良品」であるのに対し、EtherREGENは高コストな6層基板を用いてゼロから設計されています。

独自の分離技術「ADIM™」

その核心となるのが、独自の分離技術「ADIM™(Active Differential Isolation Moat)」です。これは基板上に物理的な「堀(Moat)」を設け、上流(Aサイド)と下流(Bサイド)を電気的に完全に分離する技術です。ADIM™は、データ伝送に伴うクロック位相ノイズがグラウンドに漏洩することを根本から防ぎ、上流のノイズからオーディオ機器を完全に切り離します。

このアーキテクチャこそ、EtherREGENが他の製品との大きな違いを生み出している点です。

10Mクロックとの連携と音質傾向

EtherREGENのポテンシャルは、高精度な外部10MHzクロックと組み合わせることで、さらに引き出すことができます。システム環境によって効果は異なりますが、私の環境で10Mクロックを導入したところ、音質は明確に向上しました。

以前使用していたSilent Angel N8と比較すると、雑味や付帯音が整理され、S/N比が向上することで、静寂の中から音楽がより滑らかに立ち上がる印象を受けました。ADIM™による分離の効果が、クロックの精度向上と相まって音に表れていると感じます。

私がEtherREGENに興味を持つきっかけとなったのが、クロックの技術的背景を解説した記事の参考文献でもある、John Swenson氏の論文でした。氏がEtherREGENの主要な設計者の一人であることを知り、その理論が製品にどう反映されているのかを確かめたいという思いから、購入に至りました。

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10Mクロック自体の選び方や効果については、以下の記事で網羅的に解説しています。

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EtherREGENの使いこなしと、音質の変化


EtherREGEN

私の環境における接続構成

導入前は、同カテゴリーで広く使われているSilent Angel N8を使用していました。N8はコストパフォーマンスに優れた製品ですが、EtherREGENの設計思想、とりわけADIM™による電気的な完全分離という点に惹かれ、入れ替えました。両製品の違いについては、N8の記事も参照してください。

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メーカーはルーターとプレーヤーの間に本機を挟む構成を推奨していますが、私の環境ではルーターからEtherREGENに接続し、AサイドにNASやPC、そして電気的に完全に分離されたBサイドにオーディオプレーヤーを接続しています。

BサイドのLANポートは、高周波ノイズの発生を抑えるため、あえて通信速度を100Mbpsに制限した設計となっています。ここには、スリーエム製の4芯タイプのイーサネットケーブルを使用しています。

Aサイド側にはすべてBaaske社のアイソレーターMI1005を使用し、Bサイド側は直接イーサネットケーブルを接続しています。

運用上のポイント ー アースと「熱」について

本機はBサイド側にアース端子を備えていますが、これはAサイド側とのみ導通しています。私の環境ではAサイドの機器はLANアイソレーターを介しているため、アースは接続していません。

特筆すべきは本体の発熱です。内部の低ノイズレギュレーターが高品質な電源を供給し続けている証拠でもあり、私が運用している全てのオーディオ機器の中で最も熱くなります。メーカーはこれを仕様と公表しており、24時間365日の連続稼働でもトラブルは経験していませんが、設置には風通しの良い場所を選ぶのが賢明です。

クロック入力の仕様と、私の電源環境

本機の外部10MHzクロック入力は、デフォルトでは75Ω仕様ですが、オーダー時に50Ω仕様を指定することも可能です。どちらが良いというわけではなく、使用するマスタークロックの出力インピーダンスに合わせることが重要です。私が使用している個体は50Ω仕様です。また、本機は使用するクロックケーブルによる音質の違いにも敏感だと感じます。

電源には標準付属品ではなく、GaN(窒化ガリウム)技術を採用したアダプターを使用していますが、私の環境では電源変更よりも、高精度な外部10MHzクロックを追加した際の方が音質への影響は大きいと感じました。

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SFPポートの活用について

本機のAサイドにはSFPポートが搭載されていますが、メーカーはこれを必須のアップグレードとは推奨していません。EtherREGENは、その核心技術であるADIM™によってRJ45接続でも十分な電気的絶縁を実現しているため、無理に光接続を導入する必要はない、というのがその理由です。

私も現状はSFPを使用していません。

後継機「EtherREGEN Gen2」の最新情報

初代EtherREGENは数々の賞を受賞し、5年間で3,500台以上を販売した後に生産を完了しました。現在、UpTone Audioはその後継機となる「EtherREGEN Gen2」の開発を進めています。判明している主な強化点は以下の通りです。

  • Bサイドのギガビット対応:初代では100MbpsだったBサイドが、Aサイド同様ギガビットに対応します。
  • クロック性能の向上:さらに低ジッターのクロックシンセサイザーと、外部10MHzクロックのための高性能な正弦波-矩形波変換器を搭載します。
  • 拡張性:光接続ユーザーのために、BサイドにもSFPケージが追加されます。

開発は継続されていますが、出荷時期は現時点で未定です。初代からの有償アップグレードは、回路・ケースが全く異なるため受け付けない方針とされています。

まとめ

UpTone Audio EtherREGENは、ネットワークオーディオにおけるスイッチの重要性を広く知らしめた、貴重な一台です。

音楽ストリーミングサービスはもちろん、NASなどに保存したローカルファイルを再生する場合においても、スイッチのようなネットワーク機器の見直しは、システム全体の音質を底上げする上で非常に有効です。ADIM™による完全な電気的分離と、外部クロックとの連携による音質向上の幅広さは、この価格帯において他に類を見ない特徴です。

UpTone Audio - EtherREGEN
画像
総合評価
( 4.5 )
メリット
  • ゼロから設計された独自の分離アーキテクチャ
  • 核心技術ADIM™による上流ノイズからの電気的絶縁
  • 外部10MHzクロック入力によるアップグレード性
  • 高品質な低ノイズ電源レギュレーターを多数搭載
デメリット
  • 本体が高温になるため設置場所に配慮が必要
  • Bサイドが100Mbpsに制限されている(初代機)
  • 生産完了。後継機(Gen2)の登場が予定されている
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