
オーディオ用スイッチングハブって必要?
「ネットワークスイッチ1台に数万円も払う価値は本当にあるのか?」
ネットワークオーディオやストリーミング再生が主流となった今、多くのオーディオファイルがこの疑問に直面しています。安価な汎用ハブで十分ではないか、という声も聞こえてきます。かつて私も同じ疑問を抱き、その答えを求めて「Silent Angel N8」を導入しました。

Silent Angel N8導入前は、一般的なNETGEAR製のスイッチで、電源交換や、内部のノイズ対策などをして使っていましたが、明らかに改善されました。
そもそもオーディオ用スイッチングハブはなぜ音質に効くのか?3つの基本原則
オーディオ用スイッチの議論では、「デジタルデータは0と1なのだから、伝送経路で音は変わらないはずだ」という意見が必ず出てきます。これはある意味正しく、そしてある意味間違っています。
データ自体は化けませんが問題は、データを送受信する過程で発生する「電気的ノイズ」と「時間軸の乱れ(ジッター)」にあります。
原則① 問題はデータではなく「ノイズ」
一般的なPC用スイッチングハブは、データの確実な伝送を目的としていますが、ノイズ対策は二の次です。
ハブ内部のCPUや電源回路は、高周波ノイズの発生源です。このノイズがLANケーブルを通じて、DACやネットワークプレーヤーに侵入し、S/N比を悪化させ、微細な音楽情報のマスキングや、音のざらつきの原因となります。
オーディオ用スイッチは、このノイズの発生を抑制し、他の機器への影響を遮断 (アイソレーション) する効果が期待できます。
原則② 音の輪郭を決めるのは「クロック」
デジタルオーディオは、アナログ信号を一定時間ごとに区切って数値化 (サンプリング) する技術です。
この「時間を区切る」役割を担うのが「クロック」です。クロックの精度が低いと、サンプリングのタイミングが微妙に揺らぎます。これが「ジッター」と呼ばれる現象です。
ジッターの多いデジタル信号は、音像の輪郭をぼやけさせ、空間表現を曖昧にし、高域の透明感を損ないます。オーディオ用スイッチは、一般的なハブが使う安価な発振器とは比較にならないほど高精度なクロック (例えば、温度補償型水晶発振器 TCXO) を搭載し、このジッターを低減させることを目指しています。
原則③ すべての土台となる「電源」の品質
オーディオ機器にとって電源の品質が重要であることは常識ですが、それはスイッチングハブも例外ではありません。
多くのオーディオ用スイッチは、ノイズの少ない電源の供給に注力しています。一般的なスイッチング電源は小型で高効率ですが、構造上スイッチングノイズが発生しやすいという欠点があります。対して、リニア電源はノイズが少ない反面、大型で高価になりがちです。
オーディオ用スイッチでは、高品質な医療グレードのスイッチング電源を採用したり 、内部に徹底したノイズフィルターを設けたり、あるいは外部の高性能リニア電源へのアップグレードパスを用意することで、クリーンな電力を供給し、機器全体のパフォーマンスを向上させています。
Silent Angel N8が「入門機の定番」である理由
市場には数多くのオーディオ用スイッチが存在しますが、その中でSilent Angel N8が「入門機の定番」として推奨されるのには、明確な理由があります。それは、単に価格だけではありません。
N8は高級機の「心臓部」で使われている
実は、このSilent Angel N8の心臓部である基板は、より高価なNuPrimeの「Omnia SW-8」やEnglish Electricの「8Switch」で採用されているものと全く同じものです。
この事実は、オーディオ専門の海外フォーラムで、競合メーカーであるUpTone Audioのオーナーによっても認められている、公然の秘密です。
参考: Which company manufactures this Ethernet switch for the other?
N8を製造するThunder Data社がこの基板を開発し、自社ブランド製品「Silent Angel N8」として市場に投入すると同時に、NuPrimeやEnglish Electricといった他社にOEM供給しています。
これは何を意味するのでしょうか?
つまり、N8を選ぶことで、これらの高級機と同じ、クロック回路や、ノイズアイソレーションなどのコアが技術の恩恵を受けることができます。
NuPrimeやEnglish Electricの製品は、より剛性の高いアルミ削り出しの筐体や、付属品のLANケーブルなどで付加価値をつけていますが、基本的な設計は、このN8がベースになっています。
この一点だけでも、N8が単なる廉価版ではなく、「基準機」としての価値を持つことが分かります。
Silent Angelとは?
Silent Angel(サイレントエンジェル)は、Thunder Data社が開発したオーディオ機器ブランドです。
QNAPからスピンアウトしたメンバーが興した会社で、ネットワークオーディオ向け製品を製造しています。
創設者のDr. Huang JianとChorus Chuangは、ハードウェアとソフトウェアの開発に特化したエンジニアで、この分野で数々の特許を持っています。
従来のオーディオ向けスイッチは、汎用品の電源を変更したり、筐体やクロックの強化などが主流で、最初からオーディオ用途向けに作られているモデルは少数です。
同社ではラズベリーパイ向けの専用Linuxディストリビューションをはじめとしてソフトウエアの開発もできることも強みの1つです。
参考: VitOS for Raspberry Pi 4 Model B
Roonコアと独自設計のOS「VitOS」の切り替えもできるミュージックサーバーもリリースしています。
N8の主な仕様と特徴
発売前から海外では話題になっていました。
オーディオグレードのスイッチとしてはお手頃だったので発売開始と同時に導入しています。
ノイズ対策、良質なクロック、医療用グレードのスイッチング電源と要所は押さえています。
主な仕様としては
・クロックにはカスタマイズしたTCXO(精度0.1ppm)を採用。
参考: Silent Angel N8
・電源回路およびクロック回路にノイズ対策。電気回路は17dB、クロック回路は20dBのノイズ除去を実現。
・内部回路のEMI対策として、EMIアブソーバー(EMI吸収シート)を底面に装着。
・医療用グレードの低ノイズ電源アダプターが付属。
音質について
それまではネットギアのモデルをノイズ対策したり、QoSの設定変更をして使用していました。
入れ替えてみた印象としては、音に躍動感と広がりが出ました。
Silent Angelは、低ノイズにこだわった仕様ですが、SNの大幅な改善よりも音場の広がり、スケール感の向上を感じました。
SNに関しては、NETGEARでもノイズ対策はアレコレ相当やっていますので、もともと低いせいかもしれません。
また、医療用のACアダプターはなかなか優秀です。
iFi audioのiPowerあたりだと、取り換える意味が無いと感じました。
一般的な5Vの外径5.5mm/内径2.1mmの仕様なので、アナログ電源など、変更も容易です。
ポートは全てギガビット対応です。
専用電源も発売されました。
5V出力を2系統備えています。
使用上の注意点
本体は特に熱くなりませんので、24時間電源を入れっぱなしで問題ありません。
8つのイーサネット端子の内、ルーターからの入力はポート1につなぎます。
他の端子につないでも普通に使えますが、メーカーの指示に従ったほうが良いと思います。

OEM製品について
NuPrime - Omnia SW 8やEnglish Electric - 8Switchは、Silent AngelからOEM供給された商品です。
内容を見る限り、筐体と脚回り、付属のLANケーブル以外の違いが見いだせません。
オーディオメーカーが採用するスイッチのベースになっているモデルと捉えると安心できますね。
値段を比較してもコスパの良いオーディオ用スイッチです。
高級LANケーブルよりも安いスイッチですが、ケーブルよりもスイッチングハブの変化の方が分かりやすいです。
Silent Angel - N8 まとめ
Silent Angel N8は、以下のような方に、おすすめします。
- ネットワークオーディオの音質を本気で改善したいが、何から手をつければ良いか分からない人
N8は、汎用ハブからの交換で音質向上を実現する、最初の一歩としておすすめです。 - 「オーディオ用スイッチは高すぎる」と感じているが、その効果には興味がある人
10万円を超える上級機のコア技術を搭載しながら、比較的手の届きやすい価格を実現しています。 - 一度導入したら長く使い続けられる、発展性のある製品を求めている人
N8は、電源のアップグレードをはじめとする様々な拡張性を秘めており、オーディオシステムの成長と共に、その性能を高めていくことができます。

- 高精度クロック:カスタマイズされたTCXO(精度0.1ppm)を採用し、正確な信号タイミングを実現
- 優れたノイズ対策:電源回路で17dB、クロック回路で20dBのノイズ除去を実現し、クリアな音質を提供
- EMI対策:底面にEMIアブソーバー(EMI吸収シート)を装着し、内部回路の電磁干渉を軽減
- 高品質電源アダプター:医療用グレードの低ノイズ電源アダプターが付属し、安定した電源供給を確保
- 音質向上:ユーザーレビューによると、分離感や低音の表現が大幅に向上し、様々なジャンルの音楽で効果を発揮
- 汎用性:クラシック、ジャズ、ポップスなど、幅広いジャンルの音楽で効果を実感できる
- 価格設定:オーディオグレード製品としては妥当だが、一般的なネットワークスイッチと比べると高価
安ハブとの相違点は音質のみだと思いますが、その音質は確かに素晴らしいです。
私も「ハブ程度でそんなに変わるか…?」と半信半疑だったのですが、入れてみたら音の濁った感じが消え(正確には、今まで満足していた音は実は濁っていたと気づかされた)非常にクリアな音になりました。デザイン面で言うと、高級感のある黒筐体に控えめな緑のアクセスランプがたくさん光っててかっこいいです。
買う前はハブに5万出すなんて…と思ってましたが、5万の価値は十分にあると感じました。
引用元: 価格コム
バッファローから変えて音が良くなったかといわれると
引用元: 価格コム
正直分かりません。
環境次第では音が良くなるみたいなので
お手軽な値段ではないけど、試してみる価値はあると思います。
ゲーム用ハブから何処まで高音質化するのか懐疑的だったのですが好奇心にかられて導入したところ、一聴して分かるレベルの高音質化をしました
引用元: 価格コム
以前から超高額なハブは繋げるだけでシステムの音質が良くなると言われていますが、このハブも繋ぐだけでネットワークを利用していなくても音が良くなりました
ノイズレベルが下がり音の分離も良くなりましたから、理屈は分かりませんがアースか何かが関係しているのかもしれません
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