ストラヴィンスキー「春の祭典」のレコードは無数に存在しますが、録音の優秀さで語られる盤は限られます。
デッカのショルティ盤(SXL6691)と並んで高く評価されているのが、EMIのムーティ盤です。ショルティ盤はXRCDやステレオサウンド企画のSACDなど複数回再発されていますが、ムーティ盤のLPやSACDでの再発はタワーレコード企画が初めてではないかと思われます。ここではオリジナルLPとタワレコSACDを比較します。

Riccardo Muti - Stravinsky: The Rite of Spring
EMI - ASD3807
Tower Records - TDSA267

1978年10月、フィラデルフィアの旧メトロポリタン歌劇場での録音です。プロデューサーはChristopher Bishop、エンジニアはMichael Grayが担当しています。
オリジナルのUK盤はモノクロ切手レーベル(ED3)で、初出のマトリクスは2/1と思われます。1/1は確認されておらず、流通しているのは2/1もしくは2/2のようです。カラー切手の2版では異なるマトリクスが存在する可能性もあります。
タワレコのSACD(TDSA267)と比較すると、春の祭典に関してはダイナミックレンジが狭く感じられ、レコードと比べると頭打ちの印象を受けます。マスターテープの劣化が原因かもしれませんが、両者の差は大きいです。
なお、タワレコのSACDにはカップリングとしてムソルグスキー「展覧会の絵」も収録されています。
Riccardo Muti - Mussorgsky: Pictures at An Exhibition
EMI - ASD3645

こちらも旧メトロポリタン歌劇場での録音で、1978年3月の収録です。オリジナルは同じくモノクロ切手レーベルで、マトリクスは2/2が確認されています。春の祭典ほどではありませんが、優秀録音と言えます。
展覧会の絵はユキム企画でLPが再発されたことがあります。当時、春の祭典ではなくこちらが選ばれたことに意外感を覚えたリスナーもいたようです。
SACDとの比較では、展覧会の絵の方がレコードとの差は小さく、SACDも健闘しています。レコードの方が優位ではあるものの、がっかりするほどの差ではありません。
参考: ストラヴィンスキー: バレエ音楽「春の祭典」、ムソルグスキー: 組曲「展覧会の絵」(ラヴェル編)<タワーレコード限定>