シベリウスの優秀録音を探しているときに出会った1枚です。
嶋護氏のディスクガイドや、The Absolute Sound: TAS Super LP List(通称TAS)でも選ばれている作品です。
Charles Groves - Sibelius: The Tempest
EMI - ASD2961
クラシックにおいて、DECCAやRCA、Mercuryと比べるとEMIの音質は1ランク落ちる印象は否めませんが、その手のリストを眺めるとランクインしている物も多く存在します。カタログ数が膨大ですし、名演が多いレーベルですので無視する訳にはいかないと思いますが…。
クレジットをみると、プロデューサーはおなじみのクリストファー・ビショップ。
バランスエンジニアにスチュアート・エルザム。以前に紹介したフレモーのオルガン協奏曲も彼の手によるものです。
エルザムは同レーベルにおいて一番手のエンジニアでは無く、スタジオTWOシリーズだったり、録音場所も地方都市の作品が多かったようですが、いわゆるオーディオ的な作品ではなく、自然さを売りにしたエンジニアだったようです。
TASにおいても、”particularly natural, as opposed to hi-fi spectacular sound”のマークがついています。
劇付随音楽テンペストは、晩年の作品でシェイクスピアの舞台のために34曲を作り、そこから演奏用組曲を出版しました。
オリジナルの34曲の公演ではなく、このレコードは後者のほうです。
有名なフィンランディアなどと比べると録音も少ないですね。このレコードで初めて聴きました。
客観的に全体を見渡すようなイメージで、シベリウスの持つクールなイメージにあっていると思います。シェイクスピアの作品に対しては分かりません。
確かに誇張感が少なく、風のように吹き抜けるような低域です。音数が多いときに混濁感が少ないのはエルザムの技量によるところなのかもしれません。