Volumioの設定方法を網羅的に解説。初心者向けの基本設定から、Raspberry Piを使用する上級者向けの詳細設定まで幅広くカバー。Volumioの魅力を最大限に引き出すための情報が凝縮されています。音楽ストリーミングの可能性を広げたい方必見の内容です。
正式にVolumio 3がリリースされました。
3の設定をまとめてみたいと思います。
3は無料プランと有料プランがあります。
有料プランで魅力的な機能はTIDAL Connectくらいですね。
無料プランでも特に問題ないですが、アカウントを作ってログインしないとプラグインがインストールできなくなりました。
VOLUMIO PREMIUM
All open features plus:Use Volumio Premium on up to 6 devices
Multiroom Sync Playback
Manifest User Interface
Automatic Sync of Personal items
Remote connection to up to 6 devices
Native TIDAL and Qobuz integration
TIDAL Connect
CD Playback and Ripping
Bluetooth Audio Playback
Highresaudio.com Integration
Digital and Analog Inputs Playback
Music and Artists Credit Discover
現在の環境
ハードウェア: Raspberry Pi 3 Model B+
DAC: i2s接続 Audiophonics I-Sabre ES9028Q2M
NAS: Synology DS712+(Roonサーバー兼用)
再生アプリ: Roon、たまにSpotify Connect
Volumioの概要と選択肢
Volumioとは
Volumioは、音楽愛好家のために設計された高性能な音楽用のOSです。
主な特徴は以下のとおりです
- Raspberry PiやPCにインストールできる無料のソフトウェアで、高品質な音楽ストリーミングプレーヤーに変身させることができます。
- ビットパーフェクトなオーディオ再生のために最適化されたシステムで、MP3からDSDまでのあらゆるファイル形式に対応しています。
- スマートフォン、コンピューター、タブレットから直接コントロールできる直感的なユーザーインターフェースを備えています。
- マルチルーム再生、AI搭載の検索機能、CDの再生やリッピング、Chromecast対応デバイスやSONOSへのストリーミングなど、多彩な機能を提供しています。
- 無料版と有料のプレミアム版があり、プレミアム版ではさらに高度な機能が利用可能です。
- Volumioは、高音質にこだわる音楽ファンのために開発された、使いやすくて機能豊富な音楽再生システムです。
公式のハードウェア、Rivo、Primoについて
Volumioは、各自がRaspberry PiなどをはじめとしたPCに、I2S DACおよびUSB-DACなどと組み合わせて使いますが、設定がわからない人のために、公式のハードウェアも登場しました。
Rivo - ミュージックストリーマー(トランスポート)
Rivoは、音楽ストリーミングにおいて最高のパフォーマンスを発揮するデジタルミュージックプレーヤーです。その主な特徴は以下の通りです:
- 純粋なデジタルサウンド: 専用のエラー修正と再クロック技術により、DACに最も純度の高いUSB信号を提供し、音楽を忠実に再現します。
- 多彩なストリーミングサービス対応: Spotify、Tidal、Qobuzなどの主要な音楽ストリーミングサービスに対応し、ネットワークドライブやインターネットラジオからも音楽を再生できます。
- 高い互換性: あらゆるDACやアンプに対応し、ハイレゾフォーマットで音楽をストリーミング。最適化されたデジタル信号が、純粋で自然な音を保証します。
- 高度な電源設計: 回路ごとに専用の電源が割り当てられ、フィルタリング機能がノイズを低減。安定した高性能を実現します。
- 簡単なセットアップ: iOSやAndroidのVolumio公式アプリを使い、数分で設定が完了します。
- イタリア製の高品質: すべての製品がイタリア、フィレンツェで設計・組み立てられています。
- Roon対応: Roon Ready認証により、Roonとのシームレスな統合が可能です。
Rivoは、シンプルかつ高品質な音楽再生を追求するユーザーに向けた製品で、最高の音楽体験を提供します。
Primo - DAC内蔵プレーヤー
Volumio Primoは、オーディオファン向けに設計された高品質なネットワークプレーヤー兼ストリーマーです。以下はその主な特徴です:
- 高性能DAC内蔵: SABRE DAC(ESS 9038Q2M)を搭載し、I2S接続によりデジタル入力と連動して、ハイファイサウンドを実現します。これにより、音楽の細部まで忠実に再現されます。
- 多彩なストリーミング対応: Spotify、Tidal、Qobuzなどの人気音楽サービスに対応しており、ネットワークドライブやローカルドライブ、インターネットラジオからも音楽を楽しむことができます。
- 洗練されたデザイン: 最新のRed Dot賞を受賞したデザインで、アンチマグネティックアルミニウムのシャーシにダークウッド調のフロントパネルを採用し、優れた美観を提供します。
- 簡単なセットアップ: iOSやAndroidのVolumio公式アプリを使って数分でセットアップが完了します。初心者でも手軽に使用できる設計です。
- 多様な接続オプション: バランスおよびシングルエンドのアナログオーディオ出力、デジタルSPDIF同軸出力、HDMIポート、USBポートを搭載し、幅広い接続オプションを提供します。
- 優れた処理性能: 高性能なAmlogicクアッドコアプロセッサ(1.9GHz)と2GBのRAMを搭載しており、Volumio OSの高速かつ効率的な動作をサポートします。
- Roon対応: Roon Ready認証を受けており、Roonとのシームレスな統合が可能です。
Volumio Primoは、オーディオシステムに高度なDAC機能とストリーミング機能を追加したいユーザーに最適で、コンパクトながらも高品質な音楽体験を提供します。
Raspberry PiでVolumioを使う場合の設定方法
以下の設定項目は、Raspberry Pi 3 Model B+での設定方法です。他のPCだと違う場合があります。
2024/5/20現在 Volumio version: 3.661
mpdとカーネルのバージョン
mpd version: 0.23.5
カーネル: 6.1.69-v7
SSHの利用許可
最初にこの作業をしないとSSHでアクセスできません。
Volumioをインストールしたラズパイが立ち上がった状態で
webブラウザで
volumio.local/dev/
と入力するとSSHアクセスの可否が設定できます。
SSH ENABLEをクリックします(赤で囲った部分)。
SSHについては省略しますが、RLoginというソフトを使用しています。
SSHでログインする場合は下記の通りです。
ホスト名: volumio.local
ログイン: volumio
pass: volumio
事前準備
これをやっておかないと各種設定でつまずくことがあります。
#最新状態にアップデート
volumio@volumio:~$ sudo apt-get update
I2S DACでDSD再生をするための設定
私が使用しているES9028Q2Mの場合、以前はDSD再生するのにはひと手間必要でしたが、今のバージョンではI2S DACの一覧にあるAudiophonics I-Sabre ES9028Q2Mを選択するだけでDSD128まで簡単に再生できるようになりました。
多くのI2S-DACが独自にドライバーを当てなくても対応しています。
手順としてはI2S DACをONに、DAC Modelの中から該当製品を選びます。
I2S DACはDSD Nativeには対応していませんので、DSD over PCMを選びます。
この設定はMPDおよびUPnP再生時に有効ですが、Roonの場合はRoon側で別途設定する必要があります。
次に再度SSHでアクセス
#alsamixerの設定
volumio@volumio:~$ sudo alsamixer -Dhw
フィルターカーブの設定ができます。お好みでどうぞ。
各種サービスへの対応 - Amazon Music、Spotify、SoundCloud、UPnP、Roon
現在、私が利用しているサービスは、Spotify、SoundCloud、UPnP、Roonです。
事前準備
Volumio 3から、プラグインをインストールする際にMyVolumioのアカウントを取得する必要があります。
Spotify
簡単に対応できるようになりました。
インストール済みの中にVolumio Spotify Connect2表示されますので、ON アクティブにして設定を選択。
ビットレートを最高の320にしてSave。
知らない間にギャップレスにも対応しました。
高級機器でもSpotifyのボリュームで音源の音量自体を可変してDACへ送ってしまう機器も多いです。
これは音質的にかなりデメリットです。
本来はSpotify側のボリュームを固定で、それ以降のDACやプリ側で音量を調整するべきです。
これで、Spotify Connectできます。
Spotify Connectの場合、スマホはあくまでも選曲で利用するだけなので、スマホを閉じてもそのまま再生できます。
現在のファームウェアでは、Spotify、UPnP、Roonの中でどれか再生していると、それを停止しないと他の再生はできない仕様になっています。
後から選択した再生方法で上書きできるようになると最高なのですが、この辺は高級オーディオ機器でもできないものも多いので仕方が無いですね。
SoundCloud
SoundCloud(サウンドクラウド)は、ドイツのベルリンに拠点を置くSoundCloud Limitedが運営する音声ファイル共有サービスです。
ここでしか聴けない音源があるので、使っています。
無料で利用できます。まずは、アカウント登録をします。
オフィシャル: SoundCloud
Volumioで使用するためには、Token Keyを取得する必要があります。
以下、Firefoxを使った取得方法で説明します。他のブラウザでも基本は同じです。
- まず、SoundCloudのサイトにアクセスします。
サインインしない状態で、F12ボタンを押し、Developer Toolsを起動します。
ネットワークタブ→XHRを選択。また、右の歯車マークをタップし、永続ログを有効にします。
- この状態で、サインインします。
検索窓で、tokenと入力します。
応答ボタンを押すと、該当したaccess_tokenのkeyが表示されますので、コピーします。
- SoundCloudのプラグインをインストール
Volumioのプラグイン一覧の中にあるSoundCloudのプラグインをインストールします。
- Access Tokenを入力
事前に取得したaccess_tokenのkeyを入力します。
AirPlayで飛ばすよりは音が良いです。
Luminアプリを使ったUPnP再生
VolumioはデフォルトでUPnPに対応しています。
webブラウザからの設定で、設定 → ソース にあるUPnPレンダラーがONになっていれば、Luminアプリで再生できます。
“LuminやLinnのアプリが使える”=”OpenHome”=”TidalとQobuzが使える”と思っていましたが、Volumioの場合はLuminやLinnで動かすことはできますが、ストリーミングはそのまま利用できません。
LuminやLinnでTidalを使う場合にはBubbleUPnP Serverが必要です。
Synologyの場合、最新のDSM7は標準でBubbleUPnP Serverに対応していません。
解決方法はありますが、面倒なのと、自分の環境でUPnP再生をすることがほぼ無くなってしまったのでインストールはしていません。
また、Tidal、Qobuzは日本では正式に対応していません。
そのため海外から申し込めない場合は、VPNソフトを利用して海外から申し込んだように偽装して契約する必要があります。
私はこのやり方で申し込みしましたが、Qobuzは契約が難しくなったようです。
Tidalはサイトが日本語表記に変わったりしていますので、近い将来正式に日本も対応するかもしれません。
Roon
プラグインからRoon Bridgeをインストールするだけです。
現在はSynology DS712+をUPnPおよびRoonサーバーとして利用しています。
5000強のアルバムがありますが特にストレスなく使用できています。
Roonについては、別記事で紹介しています。
Amazon Music HD - 現時点では非対応
VolumioもAmazon Music HDへの対応を表明していますが、多くのメーカーがそうであるように、Amazon側の要求やレスポンスの遅さに対しての対応に難儀しているようです。
将来的にはプレミアムプランで対応する可能性は十分ありますが、まだ先になりそうです。
We finally have been authorized by Amazon to have their SDK. So, the works to integrate Amazon Music can start. This however is quite a long work, and it won’t be released until the second half of 2023. We will keep you posted on the progress
不要な機能の停止
DACへはI2S接続、音源はLAN接続でNASから読み込んでいますので、USBは使っていません。
また、HDMIやBluetoothの停止、ランプ消灯などで音質の向上を図ります。
USBの停止
#事前準備
volumio@volumio:~$ apt-get install python build-essential git device-tree-compiler gcc-4.9 g++-4.9
volumio@volumio:~$ sudo apt install libusb-dev
volumio@volumio:~$ sudo wget http://www.gniibe.org/oitoite/ac-power-control-by-USB-hub/hub-ctrl.c
volumio@volumio:~$ gcc -O2 hub-ctrl.c -o hub-ctrl -lusb
volumio@volumio:~$ sudo cp -a hub-ctrl /usr/local/bin
sudo nano /etc/rc.localで下記コメントを追加
#USB off
sudo hub-ctrl -b 1 -d 2 -P 2 -p 0; /bin/sleep 2; sudo hub-ctrl -b 1 -d 2 -P 3 -p 0;sudo hub-ctrl -b 1 -d 2 -P 4 -p 0; sudo hub-ctrl -b 1 -d 2 -P 5 -p 0
exit 0の上に書き込まないと反映されません
再起動すると反映されます。
コマンドで確認することも可能です。
volumio@volumio:~$ sudo hub-ctrl -v
デフォルトの状態
Port 1: 0000.0503 highspeed power enable connect
Port 2: 0000.0100 power
Port 3: 0000.0100 power
Hub #1 at 001:002
INFO: individual power switching.
WARN: Port indicators are NOT supported.
Hub Port Status:
Port 1: 0000.0503 highspeed power enable connect
Port 2: 0000.0100 power
Port 3: 0000.0100 power
Port 4: 0000.0100 power
Hub #2 at 001:001
INFO: ganged switching.
WARN: Port indicators are NOT supported.
Hub Port Status:
Port 1: 0000.0503 highspeed power enable connect
USBオフにした場合
Port 1: 0000.0503 highspeed power enable connect
Port 2: 0000.0100 power
Port 3: 0000.0100 power
Hub #1 at 001:002
INFO: individual power switching.
WARN: Port indicators are NOT supported.
Hub Port Status:
Port 1: 0000.0503 highspeed power enable connect
Port 2: 0000.0000
Port 3: 0000.0000
Port 4: 0000.0000
Hub #2 at 001:001
INFO: ganged switching.
WARN: Port indicators are NOT supported.
Hub Port Status:
Port 1: 0000.0503 highspeed power enable connect
HDMIの停止
sudo nano /etc/rc.localで下記コメントを追加
#hdmi stop
sudo /opt/vc/bin/tvservice -o
exit 0の上に書き込まないと有効になりません。
WIFI、BluetoothとACT LED、PWR LEDの停止
ACT LEDが緑色、PWR LEDが赤です。
sudo nano /boot/config.txt で下記コメントを追加
# Disable the ACT LED
dtparam=act_led_trigger=none
dtparam=act_led_activelow=off
# Disable the PWR LED
dtparam=pwr_led_trigger=none
dtparam=pwr_led_activelow=off
# turn wifi and bluetooth off
dtoverlay=pi3-disable-wifi
dtoverlay=pi3-disable-bt
#WIFIの確認
下記コマンド結果にwlan0が表示されなければ停止されています。
volumio@volumio:~$ ip link show
Ethernet LEDの停止
PI3では(多分)できませんでしたが、PI3+とPI4はイーサネット(LAN) LEDも消灯できます。
#事前準備
volumio@volumio:~$ wget -O llctl "https://drive.google.com/uc?id=0B-6zmEDJwxZEbmJkU3g2MlhMQWs&export=download"
volumio@volumio:~$ chmod +x llctl
sudo nano /boot/config.txt に下記内容を追加
# Disable Ethernet LEDs
dtparam=eth_led0=14
dtparam=eth_led1=14
ヘッドフォンなど不要なオーディオ出力の無効化
ラズパイ自体にはヘッドフォン、HDMIなど複数のオーディオ出力がありますが、使わないので無効化します。
volumio@volumio:~$ cat /proc/asound/modules
0 snd_bcm2835
1 snd_bcm2835
2 snd_soc_i_sabre_q2m
ここでいうと使っているのは
2 snd_soc_i_sabre_q2m
だけです。
#オンボードオーディオを無効化
volumio@volumio:~$ sudo nano /etc/modprobe.d/raspi-blacklist.conf
下記コマンドを入力して保存
blacklist snd_bcm2835
再起動してもう一度確認。
volumio@volumio:~$ cat /proc/asound/modules
0 snd_soc_i_sabre_q2m
その他SSHでよく利用するコマンド
#バッファーサイズの変更
root@volumio:~# sudo nano /etc/mpd.conf
以下の値を任意で可変
# MPD Internal Buffering ###############
audio_buffer_size “2048”
buffer_before_play “10%”
########################################
#alsamixerの設定
volumio@volumio:~$ sudo alsamixer -Dhw
#現在のカーネル確認
volumio@volumio:~$ uname -rv
#MPDバージョン確認
volumio@volumio:~$ mpc version
#温度確認
volumio@volumio:~$ sudo vcgencmd measure_temp
#電圧確認
volumio@volumio:~$ sudo vcgencmd measure_volts
#周波数確認
volumio@volumio:~$ sudo vcgencmd measure_clock arm
Volumio まとめ
- Volumioは高性能な音楽用OSで、Raspberry PiやPCを高品質な音楽ストリーミングプレーヤーに変換
- Volumio3は無料版と有料のPremium版があり、プラグインのインストールにはアカウントが必要
- 基本設定はvolumio.localからアクセス可能なウェブインターフェースで行う
- SSH設定はvolumio.local/dev/から有効化可能(volumio sshの基本)
- I2S DACでのDSD再生設定が簡略化され、多くのDACで対応可能に
- Spotify、SoundCloud、UPnP、Roonなど多様な音楽サービスにプラグインで対応
- Volumio Premiumでは、TIDALやQobuz統合、CD再生・リッピング機能などが追加
- 公式ハードウェアのRivo(ストリーマー)とPrimo(DAC内蔵プレーヤー)も登場
- Raspberry Piでの詳細設定:USB、HDMI、WiFi、Bluetooth、LEDの無効化で音質向上
- I2S DACによっては、alsamixerを使用したフィルターカーブ設定など、高度な音質調整が可能
- SSHを使用した詳細設定:バッファサイズ変更、カーネル確認、温度・電圧モニタリングなど
- Amazon Music HDは現時点で非対応だが、将来的な統合が計画中
- Volumioは、初心者から上級者まで幅広いユーザーに対応する柔軟で高性能な音楽再生システム
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