
Volumioは、Raspberry Piなどにインストールして使える音楽再生専用のOSです。無料で使えて、Spotify ConnectやRoon Readyにも対応しています。
この記事では、Volumioの基本的な設定方法からプラグインの活用、そしてRaspberry PiをSSHでカスタマイズして音質を追い込むためのコマンド集までをまとめています。2025年11月にリリースされたVolumio 4の変更点も解説します。
Volumioの始め方
Volumioを始めるには、大きく分けて2つの方法があります。
公式ハードウェア ー おすすめはPrimo Plus
Volumioには複数の公式ハードウェアがありますが、個人的におすすめしたいのはPrimo Plusです。
ESS ES9039Q2Mをデュアルモノ構成で搭載し、アナログ・デジタルそれぞれに専用のリニア電源を備えています。XLRバランス出力とプリアンプモードがあるので、パワーアンプやアクティブスピーカーに直結できます。Roon Readyにも対応済みです。
この記事の後半で紹介するように、私もRaspberry Pi + I2S-DACの構成でUSBやHDMIなど不要な機能をSSHで停止し、音楽再生に特化した環境を作っています。Primo Plusは、そのコンセプトを製品レベルで実現したものといえます。自作のカスタマイズに手間をかけたくない方は、これ1台で完結します。
公式の紹介動画はこちらです。
Raspberry Piでの自作
自分だけの音楽サーバーを構築する過程を楽しみたい方には、Raspberry Piでの自作がおすすめです。この記事の後半では、自作Volumioを使いこなすためのSSHコマンドを詳しく紹介します。
私もI2S-DACを組み合わせた構成で使っています。
ハードウェア: Raspberry Pi 3 Model B+
DAC: I2S接続 Audiophonics I-Sabre ES9028Q2M
NAS: Synology DS720+
再生アプリ: Roon、たまにSpotify Connect

I2S DACで検索すると色々見つかります。
Volumio 4の主な変更点
2025年11月、Volumio 4がリリースされました。見た目はほぼ変わりませんが、内部は大幅に刷新されています。公式では変更点が分かりづらいので、ここで主要なポイントをまとめます。
Volumio 3からのOTAアップデートはできません。SDカードへのクリーンインストール(再フラッシュ)が必要です。
基盤の刷新
- ベースOSがDebian Bookwormに移行。カーネル、MPDともに最新版に更新され、セキュリティやドライバの対応範囲が広がりました。
- Raspberry Pi 1 / Pi Zeroのサポートが終了。必要なバイナリが提供されなくなったためです。
- プラグインは初日から全対応。Volumio 3リリース時にプラグインの対応が遅れた反省を踏まえ、既存プラグインはすべてリリース初日から利用できます。プラグインAPIも拡張されました。
ユーザーが体感できる改善
- NVMeストレージにネイティブ対応。読み込み性能が大幅に向上しました。
- Bluetoothスタックが完全に書き直され、低遅延化と互換性が向上しました。Bluetoothスピーカーへの音声送信やリモコン操作にも対応しています。
- USB CDドライブの静音再生に対応。多くのドライブで再生中のノイズが解消されました。
- 大規模ライブラリの処理が改善。最新版MPDの採用により、1万トラック超のライブラリでも安定して動作します。
- USB DACの互換性が拡大。Direct DSD対応のDACを自動認識するようになりました。
- 新しいVolumioアプリ(iOS / Android)との連携により、ネットワーク接続の安定性が向上しています。
SSHカスタマイズへの影響
ほとんどのSSHコマンド(USB停止、HDMI停止、LED消灯など)はVolumio 4でもそのまま使えます。ただし、オンボードオーディオの無効化コマンドが変更されています。詳しくは後述のSSHコマンド集で、3.x系と4.x系の両方の方法を紹介します。
無料プランと有料プランの違い
Volumioは基本的な再生機能を無料で利用できます。CD再生やストリーミングサービスのネイティブ連携などが必要な場合は、有料プラン(Volumio Premium)も用意されています。
| 機能 | 無料プラン | 有料プラン (Premium) |
| 基本再生 | ||
| ファイル再生 (FLAC, DSD等) | ✔ | ✔ |
| NASからの再生 | ✔ | ✔ |
| Webラジオ | ✔ | ✔ |
| AirPlay再生 | ✔ | ✔ |
| プラグインストア利用 | ✔(無料アカウント登録が必要) | ✔ |
| ストリーミング | ||
| Spotify Connect | ✔(プラグイン経由) | ✔(プラグイン経由) |
| TIDAL Native連携 | ✘ | ✔ |
| Qobuz Native連携 | ✘ | ✔ |
| TIDAL Connect | ✘ | ✔ |
| Qobuz Connect | ✘ | ✔ |
| 高度な機能 | ||
| マルチ・ルーム同期再生 | ✘ | ✔ |
| CD再生&リッピング | ✘ | ✔ |
| Bluetooth入力(音声受信) | ✘ | ✔ |
| 音楽・アーティスト情報表示 | ✘ | ✔ |
| AI機能 (Supersearchなど) | ✘ | ✔ |
| 利用台数 | 1台 | 最大6台 |
無料プランでもSpotify ConnectやRoon Readyとして利用できます。
Web UIでの基本設定
Volumioの基本的な設定は、PCやスマートフォンのブラウザからアクセスできるWeb UIでほぼすべて完結します。この操作方法は、自作版・公式ハードウェア版のどちらでも共通です。
オーディオ出力設定(Playback Options)
最も重要な設定項目です。ここで、どのデバイスから音を出すかを決定します。USB-DACや、使用するI2S-DACの機種名を選択します。
多くのI2S-DACがドライバーなしで対応しています。

手順としてはI2S DACをONにし、DAC Modelの中から該当製品を選びます。I2S DACはDSD Nativeには対応していないので、DSD over PCMを選択してください。
この設定はMPDおよびUPnP再生時に有効ですが、Roonの場合はRoon側で別途設定する必要があります。
音楽ライブラリの設定(Sources)
PCやNASなどのネットワーク上にある音楽ファイルを、Volumioに認識させるための設定です。Roonを使う場合はRoon側で管理するため、この設定は不要です。
ここでは、NASの共有フォルダを追加する手順を例に解説します。
- Web UIの左メニューから「設定(Settings)」→「Sources」を開きます。
- 「ネットワークドライブの追加(Add New Drive)」をクリックします。
- 以下の項目を入力します。
- 別名(Alias): 表示用の名前(例:
My Music) - NAS IPアドレス: NASのIPアドレス(例:
192.168.1.10)。NAS側で固定IPにしておくのがおすすめです。 - パス(Path): 音楽ファイルの共有フォルダ名(例:
Music) - ファイル共有タイプ: 通常は「CIFS」を選択します。
- ユーザー名 / パスワード: NASのアクセス認証情報を入力します。
- 別名(Alias): 表示用の名前(例:
- 「保存(Save)」をクリックすると、NASへの接続が行われます。
- 音楽ライブラリのトップページで「ライブラリを更新(Update Library)」を実行すれば完了です。
プラグインとサービス連携
Volumioの大きな魅力は、プラグインによる機能拡張です。Volumio 3以降、プラグインのインストールにはMyVolumioの無料アカウント登録が必要です。

Spotify Connect
インストール済みプラグインの中にVolumio Spotify Connect2が表示されるので、ONにして設定を開きます。ビットレートを320kbpsに設定して保存すれば完了です。


Spotify Connectでは、スマホは選曲用のリモコンとして機能するだけなので、スマホを閉じてもそのまま再生が続きます。ギャップレス再生にも対応しています。
なお、高級機器でもSpotifyのボリュームで音源自体の音量を変えてDACへ送る製品があります。音質面ではSpotify側のボリュームを固定にして、DAC以降で音量調整する方が有利です。
現在のファームウェアでは、Spotify、UPnP、Roonのうち、いずれかを再生中の場合は停止してから別の方法に切り替える必要があります。

SoundCloud
SoundCloudはドイツ発の音声共有サービスで、ここでしか聴けない音源があります。無料で利用可能です。
Volumioで使うにはAccess Tokenの取得が必要です。ブラウザのDeveloper Tools(F12)を開き、ネットワークタブのXHRフィルターで通信を監視した状態でSoundCloudにサインインします。検索窓に「token」と入力すると該当する通信が表示されるので、レスポンスからaccess_tokenの値をコピーしてください。
あとはVolumioのプラグイン一覧からSoundCloudをインストールし、取得したTokenを入力すれば再生できます。

UPnP再生
VolumioはデフォルトでUPnPに対応しています。設定 → ソース にあるUPnPレンダラーがONになっていれば、UPnP対応アプリから操作できます。
LuminやLinnアプリでTIDALを利用する場合にはBubbleUPnP Serverが必要ですが、セットアップがやや面倒です。Volumioの有料プランに加入すれば、単体でTIDALやQobuzの再生ができます。
日本でのTIDAL契約については、下記ページで詳しく紹介しています。

Roon Bridge
プラグインからRoon Bridgeをインストールするだけで、VolumioをRoonのOutput(Roon Ready)として使えます。

Roonの高度なライブラリ管理と、Volumioの手軽さを両立できる組み合わせです。Roonについては、下記の記事で詳しく解説しています。

FusionDSP
パラメトリックイコライザーなど、高度な音質調整を可能にするプラグインです。部屋の音響補正などに活用できます。
Amazon Musicについて
2026年4月現在、VolumioはAmazon Musicに対応していません。開発側はAmazon SDKの取得を発表していますが、具体的なリリース時期は未定です。
SSHコマンド集 — 不要な機能を停止して高音質化
ここからが、この記事の核となるセクションです。Raspberry Pi版VolumioをSSHでカスタマイズし、不要な機能を停止することで音質の向上を図ります。私自身の備忘録も兼ねて、詳細に記録しています。
以下の設定項目は、Raspberry Pi 3 Model B+での設定方法です。他のハードウェアでは手順が異なる場合があります。
DACへはI2S接続、音源はLAN経由でNASから読み込んでいるため、USBは使用していません。USB、HDMI、Bluetoothの停止やLED消灯などにより、ノイズ源を減らして音質向上を狙います。
SSHの利用許可
最初にこの作業をしないとSSHでアクセスできません。Volumioが起動した状態で、ブラウザから以下のURLにアクセスします。
volumio.local/dev/

「SSH ENABLE」をクリックして有効化します。SSHクライアントにはRLoginなどが使えます。

SSHログイン情報:
ホスト名: volumio.local
ログイン: volumio
パスワード: volumio
事前準備
各種設定の前に、パッケージ情報を最新にしておきます。
volumio@volumio:~$ sudo apt-get updateUSBの停止
事前準備として、hub-ctrlをインストールします。
volumio@volumio:~$ apt-get install python build-essential git device-tree-compiler gcc-4.9 g++-4.9
volumio@volumio:~$ sudo apt install libusb-dev
volumio@volumio:~$ sudo wget http://www.gniibe.org/oitoite/ac-power-control-by-USB-hub/hub-ctrl.c
volumio@volumio:~$ gcc -O2 hub-ctrl.c -o hub-ctrl -lusb
volumio@volumio:~$ sudo cp -a hub-ctrl /usr/local/binsudo nano /etc/rc.local で下記を追加します。exit 0の上に書き込んでください。
#USB off
sudo hub-ctrl -b 1 -d 2 -P 2 -p 0; /bin/sleep 2; sudo hub-ctrl -b 1 -d 2 -P 3 -p 0;sudo hub-ctrl -b 1 -d 2 -P 4 -p 0; sudo hub-ctrl -b 1 -d 2 -P 5 -p 0再起動後、以下のコマンドで確認できます。
volumio@volumio:~$ sudo hub-ctrl -vUSBオフが成功していれば、Hub #1のPort 2〜4のステータスが 0000.0000(power表示なし)に変わります。
HDMIの停止
sudo nano /etc/rc.local で下記を追加します(exit 0の上に)。
#hdmi stop
sudo /opt/vc/bin/tvservice -oWi-Fi、Bluetooth、LEDの停止
ACT LED(緑)、PWR LED(赤)の消灯と、Wi-Fi・Bluetoothの無効化です。
sudo nano /boot/config.txt で下記を追加します。
# Disable the ACT LED
dtparam=act_led_trigger=none
dtparam=act_led_activelow=off
# Disable the PWR LED
dtparam=pwr_led_trigger=none
dtparam=pwr_led_activelow=off
# turn wifi and bluetooth off
dtoverlay=pi3-disable-wifi
dtoverlay=pi3-disable-btWi-Fiの停止確認は、以下のコマンド結果にwlan0が表示されなければ成功です。
volumio@volumio:~$ ip link showEthernet LEDの停止
Pi 3+とPi 4ではイーサネットLEDも消灯できます(Pi 3では不可)。
事前準備:
volumio@volumio:~$ wget -O llctl "https://drive.google.com/uc?id=0B-6zmEDJwxZEbmJkU3g2MlhMQWs&export=download"
volumio@volumio:~$ chmod +x llctlsudo nano /boot/config.txt に下記を追加します。
# Disable Ethernet LEDs
dtparam=eth_led0=14
dtparam=eth_led1=14オンボードオーディオの無効化
Raspberry Piにはヘッドフォンやオンボードオーディオなど複数の出力がありますが、I2S-DACだけを使う場合は不要です。無効化の方法はVolumioのバージョンによって異なります。
Volumio 3.x系の場合
volumio@volumio:~$ sudo nano /etc/modprobe.d/raspi-blacklist.conf以下を入力して保存します。
blacklist snd_bcm2835Volumio 4.x系の場合
4.x系ではカーネルが変更されたため、上記の方法では効果がありません。代わりに以下の手順で対応します。
volumio@volumio:~$ sudo nano /boot/cmdline.txt改行せずに、既存の文章の最後に半角スペースを入れてから以下を追記します。
module_blacklist=snd_bcm2835,vc4確認方法(共通)
再起動後、以下のコマンドで確認します。
volumio@volumio:~$ cat /proc/asound/modules無効化前は以下のように表示されます。
0 snd_bcm2835
1 snd_bcm2835
2 snd_soc_i_sabre_q2m
無効化後はI2S-DACだけが残ります。
0 snd_soc_i_sabre_q2m
その他のSSHコマンド
MPDバッファーサイズの変更:
volumio@volumio:~$ sudo nano /etc/mpd.conf以下の値を任意で変更できます。
audio_buffer_size "2048"
buffer_before_play "10%"
alsamixerの設定:
volumio@volumio:~$ sudo alsamixer -Dhwシステム情報の確認:
# カーネル確認
volumio@volumio:~$ uname -rv
# MPDバージョン確認
volumio@volumio:~$ mpc version
# 温度確認
volumio@volumio:~$ sudo vcgencmd measure_temp
# 電圧確認
volumio@volumio:~$ sudo vcgencmd measure_volts
# CPU周波数確認
volumio@volumio:~$ sudo vcgencmd measure_clock armよくある質問
VolumioとRoonの違いは何ですか?
Volumioは「音楽専用OS」、Roonは「ライブラリ管理・再生体験ソフト」です。VolumioをRoonの再生先として連携させることも可能で、両者は競合するだけでなく協調して使うこともできます。
Amazon Musicは使えますか?
2026年4月現在、公式には対応していません。SpotifyやTIDAL、Qobuzなどを利用するのがおすすめです。
Raspberry PiでI2S-DACを使うメリットは?
主に2つのメリットがあります。
- 信号の純度が高い:I2S接続は音楽データとクロック信号を分離して伝送できるため、ジッターを原理的に低減できます。
- ノイズ源を回避できる:基板から直接信号を取り出すため、USBのバスパワーや信号線を経由しません。
I2S-DACでDSD256の再生はできますか?
Raspberry Pi本体のハードウェア仕様により、I2S経由でのDSD256以上のネイティブ再生はできません。I2S-DACで楽しめるDSDは、DSD128までが実質的な上限です。
DSD256以上を再生したい場合は、I2S-DACではなく対応したUSB-DACを接続する必要があります。
Volumio 3から4へのアップデート方法は?
OTA(自動アップデート)には対応していません。SDカードにVolumio 4のイメージを書き込む、クリーンインストールが必要です。
Roon
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