この記事は、オリジナル盤鑑定の全体像を解説した【完全ガイド】クラシックレコード・オリジナル盤の見分け方の一部です。
名盤と呼ばれる作品は、再発を繰り返しています。
何も考えずに中古レコードを買って、それがオリジナルの初版ということはほぼありません。
店やオークションでも2版、3版や、リシュー盤をオリジナル盤と表記していることは良くあります。
単純に間違っているのか、理解していないのか、悪意があるのかは分かりませんが、知識を持っておくことは大事です。
最近はリシューでも良くできた作品も増えてきたと思います。
英Decca、EMI(HMV)、Columbiaのラベルについて
勝手に英国3大レーベルと思っているデッカ、EMI(HMV)、コロムビアのラベルを紹介します。
機会があればこれらの派生シリーズや、他レーベルも紹介したいと思います。
なお、英国以外でも同一作品は多数リリースされていますが、英国と比較しクオリティーが落ちる事が多々あります。
英Decca SXLシリーズ
ED1-4の表記は、単純にそのレコードの初版のことをED1、2版をED2…と明記するレコード屋もあります。
Blue Back Borderついて
初期のSXL2000番台前半の作品のみ存在します。
ジャケット裏が青く囲われている作品です。このジャケットの場合、例外なくED1です。

個人的には、このBlue Back Borderにこだわりはありません。
これだけ年代が経ってしまうと、ジャケットとレコードが意図的に入れ替わっていることもあります。
初版の判断は、あくまでもレコードのラベルとマトリクス番号で行うのが賢明だと思っています。
ED0(左上にORIGINAL RECORDING BY)外溝

SXL2000番代の極初期の作品で、ED1 ORIGINAL RECORDING BYで溝が外側にある作品があります。
レコード屋によってはED0と表記するところもあります。
Blue Back Borderよりもさらに希少です。
ED1(左上にORIGINAL RECORDING BY)

SXLシリーズはSXL2001から始まる2000番台、SXL6001から始まる6000番台があります。2000番台の全てと6000番台前半のレコードがこれに該当します。
自分のコレクションで最後のED1はアバドのメンデルスゾーン、交響曲3&4番(SXL6363)です。
ED2(左上にMADE IN ENGLAND 外側に深溝)

ED2が初版の作品としては、カラヤンのドヴォルザーク交響曲8番(SXL6169)、バックハウスのブラームスピアノ協奏曲(SXL6322)等があります。
ED3(左上にMADE IN ENGLAND 内側に溝)

ED3までをラージデッカ、ワイドバンドと呼んでいます。
ED3が初版の人気作品としては、フリューベックのアルベニス、スペイン組曲(SXL6355)、ロストロポーヴィチのシューベルト、アルペジオーネ・ソナタ(SXL6426)等があります。
おそらく1960年代までがこのED3となり、70年からED4が始まると思います。
ED4(ナローバンド)UKプレス

SXL6000番台中盤からこれが初版です。
ナローバンド、スモールデッカ等と呼ばれています。
ED4が初版の人気作品としては、チョン・キョンファのバッハ無伴奏(SXL6721)、ショルティのストラヴィンスキー、春の祭典(SXL6691)等があります。
また、途中からオランダプレスに移行します。
このオランダプレスをED5と表記するレコード屋もあります。
ED5(ナローバンド)オランダプレス

ナローバンドの作品の後半はプレスがオランダに移行します。
まだこの時代はアナログ録音です。
英EMI(HMV) ASDシリーズ
ED1(ホワイト ゴールドニッパー)

ASD251から575までがこれに相当するそうです。
クラシックのレコードで最もレアな作品の1つとして有名なジョコンダ・デ・ヴィートによるモーツァルト ヴァイオリン協奏曲(ASD429)は1度は聴いてみたいです…。
ED2(セミサークル)

ASD3桁台後半から、ASD2251から始まる4桁台前半はこれが初版です。
このデュプレのエルガーチェロ協奏曲(ASD655)が3桁の最後です。
ED3(カラー切手)

この辺からややこしくなります。
ASD2400番台あたりからこれが初版となる作品があります。
ED4(モノクロ切手 白枠)

切手がモノクロになります。
これもASD2400番台から初版が存在します。
ED5(カラー切手 白枠)

また、カラー切手に戻ります。
レーベルに白枠がある場合は、モノクロが先です。
これが初版となるのは、ASD3000番台後半からです。
ED6(新ニッパー)

レコード屋によっては、2ndセミサークルと記載する場合もあります。
ASD3000番台後半の1部の作品でこれが初版になるようです。
英Columbia SAXシリーズ
ED1(ブルー/シルバー)

SAX2252からスタートし2500番当たりまでが該当します。
レオニード・コーガンの一連の作品など、数十万円で取引されている物も少なくありません。私には一生縁が無いと思いますが…。
ED2(セミサークル)

2000番台後半、5000番台はこれが初版です。
ED3(音符)

これが初版になる作品は無いと思います。
1枚も持っていないので、この画像のみwebから拝借しました。
気が向いたら加筆・修正もしたいと思います。また、間違いがあれば、ご指摘頂けると幸いです。
クラシックレコードのオリジナル盤が持つ魅力と、簡単な見分け方をまとめました。ぜひ、あなたのコレクション鑑定にご活用ください。

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