オーストラリア出身のヴォーカリストであり、卓越したヴァイオリニストでもあるサラ・オレイン (Sarah Àlainn)。彼女の音楽に初めて触れる方の中には、フィギュアスケートの演目「Fantasy On Ice」でその歌声を知ったという方も多いかもしれません。
今回紹介するのは、2017年に彼女のデビュー5周年を記念してリリースされた、初のアナログレコード「Eternalist」です。
Sarah Alainn - Eternalist
Universal Music - UCJY-9001

私が彼女に興味を持ったのは、その華やかな歌声だけでなく、経歴を知ったことからでした。Wikipediaのプロフィールを見て、ビックリしました。
オーストラリア・シドニーで生まれ育つ。母は日本人音楽家。
5歳よりヴァイオリン教育を受ける。シモン・ゴールドベルクの高弟ペリー・ハートに6歳より学ぶ。ハートの死去まで(2000年)教育を受け続け、彼女の最後の弟子であった。13歳からワンダ・ウィウコミルスカの指導を受ける
参考: サラ・オレイン – Wikipedia
特筆すべきは、このブログでも度々取り上げているヴァイオリニスト、ワンダ・ヴィウコミルスカ (Wanda Wiłkomirska) に師事していたという事実です。ヴィウコミルスカは、20世紀を代表するポーランドの名手。まさに「天才少女」と呼ぶにふさわしい、輝かしいキャリアです。
同世代には、ヴァイオリンとピアノの両方で国際コンクールを制覇したユリア・フィッシャー (Julia Fischer) のような逸材も存在します。もちろん、純粋なクラシックの土俵で両者の技術を比較することは単純ではありませんが、サラ・オレインには、クラシックで培った確かな技術を基盤に、ジャンルを横断する独自の表現世界があります。いつか、彼女のヴァイオリンに完全に焦点を当てた作品も聴いてみたいですね。
本作は限定生産盤のため、現在は入手困難な状況です。しかし、幸いなことにTidalをはじめとするストリーミングサービスでほとんどの楽曲を聴くことができます。
実際に針を落としてみると、その音質の素晴らしさに驚かされます。近年のアナログプレスとしては最高レベルに近い、非常に優秀な録音です。アナログならではの温かみのあるサウンドと見事に融合し、深い癒やしを与えてくれます。
ただ一つ、個人的に非常に残念だったのは、「Fantasy On Ice」がこのレコードに含まれていなかったことです。この音質で収録されていれば、と惜しまれます。
とはいえ、本作がサラ・オレインというアーティストの多面的な魅力を凝縮した、素晴らしい作品であることに疑いはありません。レコードは廃盤となっていますが、彼女の音楽の入り口として、まずはベストアルバムやストリーミングでその世界に触れてみることを強くお勧めします。
レコードは廃盤なので、別の作品を紹介します。
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