[Muza SX 1992] エルジュビェタ・アダムヤク (Elzbieta Adamiak)

ポーランドの「Poezja śpiewana(歌われる詩)」という、詩の朗読に音楽を乗せる芸術的なジャンルを代表する女性シンガーソングライター、エルジュビェタ・アダムヤクのデビューアルバムです。

学生時代からその才能は高く評価され、本作でその評価を不動のものにしました。

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Elzbieta Adamiak - Elzbieta Adamiak

Muza - SX 1992

SX1992

彼女はフォークグループ「Nasza Basia Kochana」にも参加していましたが、本作はソロアーティストとしての個性が際立つ内容です。録音された1980年は、ポーランドで社会運動「連帯」が生まれた激動の時代。しかし、彼女が歌うのは社会的なメッセージではなく、あくまで内省的でパーソナルな詩の世界です。この静かな知性が、当時の他の作品とは一線を画す魅力になっています。

音楽的には、フォークを基調としながら、ジャズやボサノヴァの要素が洗練されたアレンジで加えられています。ピアノのヴウォジミエシュ・ナホルニーを筆頭に、バックを固めるのはポーランドジャズ界の第一人者ばかり。彼らの卓越した演奏が、本作の音楽的な深みを確固たるものにしています。

国営レーベルであったMuzaのレコードは、音楽性と音質の双方で安定感があることで知られています。本作も、同国のロックやジャズの名盤を数多く手掛けた一流のエンジニアが録音を担当しており、東欧圏のレコードの中でも特に質の高いサウンドを誇ります。

楽器の生々しい質感と温かみのあるボーカルは、オーディオ的観点からも聴きどころです。ジャケットが薄い点も含め、東ドイツの「Eterna」に通じる質実剛健な魅力があります。

レコードの入手は比較的容易で、非英語圏の女性ボーカル作品や、ジャズを背景に持つ上質なシンガーソングライター作品を好む方には、おすすめできる内容です。

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