オーディオ用ノイズフィルターの効果を、Entech Noise Analyzerで数値化して比較。コトヴェールやGreenwaveなど6製品を検証し、音質改善効果を解説。
ノイズフィルターの効果を数字化し、オーディオ用途でも使えるか検証
電源ノイズ測定器を入手するに至った経緯
能率の高いスピーカーを使っていることもあり、時間帯によってスピーカーからブーンというノイズが出ていることがあります。
機器から出ているノイズと、電源起因のノイズの切り分けがしたいと思い、ノイズ測定器、Entech Noise Analyzerを導入しました。
ノイズ測定器は色々なメーカーから出ていますが、日本国内で流通しているものを知りません。
英国ISOTEK社による、Mains Noise Analyserを使ったデモは有名です。実は両社は同じグループなので、自社製品が良くなる結果は当然とも言えます。
このMains Noise Analyserは価格が高いので個人で買うにはハードルが高いです。
一度借りて自宅でテストしたことがあります。
ノイズ対策しているコンセントだと簡単に0(ノイズ無し)判定が出せてしまうので導入を見送りました。
そこで古い製品ですが、Entech Noise Analyzerを導入しました。
この製品の良いところは、感度調整ができる点です。
つまみを回すと感度が変わりノイズのレベルが変わります。
絶対的なノイズ量を調べるというよりも、相対的な判断をするための製品です。
使い方は簡単。
つまみを回し、ノイズのレベルが100前後になるように調整します。
次に比較対象、例えばノイズフィルターや別のコンセント、機器の電源のON/OFFなどした時の数字の変化を確認します。
米国のShunyata Researchがデモで使っていた記事を見て興味を持ちました。
参考: Florida 2019: The Shunyata Research Noise Reduction Experiment
リンク先でも書かれている通り、Entechは既に廃業していますので、このテスターは新品で購入できません。
古い製品ですが、一定の評価基準にはなると思います。
現在入手できるノイズ測定器はGreenWaveがおすすめ
現在新品で購入できるノイズ測定器としては、GreenWaveのEMIメーターがあります。
クリーン電源の種類 各方式のメリット・デメリット
クリーン電源は大きく分けるとフィルター方式とリジェネレータ方式、あとはバッテリー方式があります。
それぞれメリットとデメリットがあります。
フィルター方式
Entech Noise Analyzerなどノイズを数字化する測定器は、ノイズ量を見ているので、フィルタータイプの効果を確認するのに適しています。今回比較している製品はすべてフィルター方式です。
ノイズを取ることを目的としていますが、本来の音楽情報まで削ってしまう場合もあります。
PCやデジタル製品に使っても音痩せなど気になる場合は、オーディオに関係ない家電製品などに使う方法があります。
リジェネレーター方式
リジェネレーター方式は、波形をきれいにする目的で、パワー感や映像の色が鮮やかになるような効果がありますが、基本的にノイズ除去能力は期待できません。測定上はノイズが増えるものがほとんどです。
バッテリータイプ
バッテリータイプは、既存の電源環境の影響を受けないことが最大のメリットです。
これもインバーターノイズで、測定上のノイズ量は増えるケースが多いです。
また、バッテリー容量が減ると、基準の電圧よりも下がる傾向があります。
ノイズフィルターの効果を測定する
オーディオ機器に給電しているコンセントは全てノイズ対策済みのため、まったく関係ない部屋のコンセントを使って実験します。
- まず、何もしていない状態でノイズの数字を100前後に合わせます。
- この状態から、ノイズフィルターを各種追加した状態の変化を調べます。
測定結果
あくまでもEntech Noise Analyzerを私の家で計測した結果であり、この結果がノイズフィルターの優越を決めるものではありません。参考値としてご覧ください。
Panasonic - PLC用ノイズフィルター BL-PST15
測定結果96.6
普段はコードレス掃除機の充電器、寝室のスマホ充電器などに使用。
今回の測定結果は誤差の範囲内で気休め程度ですが、定格1500Wまで対応しているので、以前は100Vのエアコンにも使用してました。
ELECOM - 電源タップ雷サージ対応 KT-180
測定結果74.7
左右から2口給電でき、サージ対策もできるので重宝します。
扇風機や、除湿器、その他オーディオ以外の家電系にはこれを大量使用しています。
コトヴェール - ノイズ・雷サージプロテクタ SFU-005-3P
測定結果10.1
古くからオーディオでも使えるノイズフィルターとして一部では定評のある製品です。
特徴としては、3PIN/2PINどちらでも使用ができ、3PIN接続時はコモンモードノイズの低減ができることです。
我が家は、オーディオコンセントのアースは独立していないので、他の家電のアースの影響を低減するために、1F/2Fの便座のウオッシュレット、冷蔵庫は本製品を通じてアースを接続しています。
また、オーディオ用でも比較的副作用が少ないと思います。
現在は4系統あるオーディオ用コンセントのうち3系統はこの製品を使用しています。
サージプロテクト機能もあり。
欠点は5Aまでしか対応していないこと、スイッチングの比較的大きい電力の製品を繋ぐと、本体が唸ることです。
- 多用途性:3PIN/2PINどちらでも使用可能
- コモンモードノイズ低減:3PIN接続時に効果を発揮
- 幅広い用途:オーディオ機器から家電製品まで使用可能
- 音質向上:S/N比の改善、クリアネスの向上を実現
- 副作用が少ない:オーディオ用途でも安心して使用可能
- サージプロテクト機能:雷などによる急激な電圧上昇から機器を保護
- 電流容量:5Aまでの対応で、大型機器には不向き
- ノイズ発生:大電力のスイッチング電源機器接続時に本体が唸る可能性
- 効果の個人差:使用環境や接続機器によって効果に差が出る可能性
確かに変化あり
音質面の効果が感じられなくても雷サージ対策なり何かしら使えるかと試しに購入、
アナログアンプ(iFi pro iCAN)用として電源タップ-ACアダプタ間に追加してみた
型落ちの付属品とはいえ元々ローノイズ電源なのでどうかな?と思っていたが、体感できる位に変化はあり
プラシーボも多少あるかもしれないが籠り感が減り、膜が1枚剥けたようなクリアネスの向上を感じる
あまり沼に嵌りたくはないが、DAC用にもう1台は買っておこうかなと思う
抜群の効果
プリメインアンプ用のオーディオ用電源タップと壁コンセントの間に挟んで使用。
ボリュームを普段では不必要なほど上げてみると流石にノイズが乗るがそれでも十分過ぎるほどに静か。
既に割とクリーンだと思っていた音の薄い皮が一枚剥けたかのよう。結果的にフラット、何の装飾もない裸のままの音源がスピーカーから出てくる印象。
アンプのクセだと思っていた音色傾向はどうやらノイズによる解像度の低下によるものだったらしい。以前より立ち上がりがよくクリーンに音楽が鳴った。聴き飽きない素直な音である。
地味だが確実に良好な変化があり、それなりのアクセサリーを揃えて最後の切り札的に導入するとかなりの効果を得られると思う。
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追加
使用し始めて二ヶ月ほど。
ふとしたことから電源タップを介さず
プリメインアンプから直接このプロテクタに電源を刺し音を出してみた。
結果的に電源タップに使用した時と比較にならないほどの低域の量感と突き抜けるように広がる音場、音源が見違えるほどの豹変であった。
特に内臓DACから出力するデジタル音源に効果テキメンで、耳に刺さる帯域のピーク感がなくなり繊細で音の輪郭や空気感が弾けんばかりに鳴っている。ハイエンドではないにしろ、それなりの環境で聴いているつもりだったがまだ聴こえていなかった音に気付かされる。しかし耳は以前より疲れない。
アンプのポテンシャルがフルに発揮され爆音まで行かずともスピーカーが朗々と鳴る圧を感じられ、その様はまるで伸び伸びとベストコンディションを維持しているアスリートのよう。
アンプの買い替えを検討している方には是非とも一度試していただきたい。いまいち効果が実感出来ない方もアンプから直で電源に繋いでみて欲しい。
Amazonより引用
TDK - ノイズフィルタ ANF-106
測定結果6.6
かなり古い製品ですが、ヤフオクやメルカリなどで入手できます。
ノイズ除去能力は高いと思いますが、オーディオに使うと情報量まで削がれる感じがします。
TV関係を繋いでいるタップ、パソコン系のタップ、ルーターや電話機のあるタップなどの大元に使用しています。
この製品も6Aまでしか対応していませんので、消費電力の大きなTVには向きません。
Greenwave - Dirty Electricity Filter
測定結果5.4
Greenwaveは、Entechと同様ノイズ測定器を出している会社です。
そして、自社でノイズフィルターも販売しています。
"当社のノイズフィルターを使うと、こんなにノイズが減りますよ。"
と分かりやすい販売スタイルです。
同じ会社の測定器で良い結果が出るのは当たり前ですが、Entechの測定器てもノイズが減るのを確認できました。
Dirty Electricity Filterは、本国から直販で買うのが安いです。
4個単位で送料が上がるシステムなので、4個とか8個買うのがお得です。
表示されている送料のほかに、関税が発生します。
2PINタイプと3PINタイプがあり、違いはアースピンの有無だけだと思います。
記載が無いので確証は持てませんが、感覚的にコモンモードノイズに対しては効果が無いように感じます。
ただ、ノイズ除去能力が高いことに加えて、耐電流も大きいので100Vのエアコンに使えるのはメリットが大きいです。
私はエアコン2つ、洗濯機、NAS用の12V 12.5Aのスイッチング電源に使っています。
オーディオ用には効き過ぎる感じがありますが、オーディオ以外に使った時の塩梅が丁度よいです。
自宅はオーディオ用は別分電盤にしてそこにもノイズ対策しています。
それでもはっきりわかる効果を感じました。
- 高性能なEMIフィルター技術:建物の配線に存在する汚れた電気のレベルを効果的に低減
- オーディオ性能の向上:S/N比、全域のクリアさ、音場の立体感が改善
- 使いやすさ:コンセントに差し込むだけで即効性のある効果を得られる
- 多用途性:オーディオ機器だけでなく、家電製品全般に使用可能
- 高い耐電流性能:100Vのエアコンなど、大電流を必要とする機器にも使用可能
- 安全性:UL認証済み、RoHS準拠で有害物質を含まない
- コモンモードノイズへの対応:現状では効果が限定的な可能性がある
- 価格と入手性:本国からの直接購入が推奨され、関税も発生する
オーディオ用 ノイズカットに素晴らしい効果
直接これから電源を取るのも良いですが、挿したコンセントでノーマルノイズが上がるか下がるかを測り、下がるところに複数を家でさすのが効果的です。(中にはノイズが上がるコンセントもあります)
ハイエンドと呼べるオーディオシステムで直接的なノイズカットも導入して音楽を聴いていますが、Greenwaveを1,2Fのコンセントに使い、オーディオのS/N、全域のクリアさ、音場の立体感が明らかに良くなりました。(直接挿しているのは冷蔵庫のみです)
Amazonより引用
Audio Prism - Quiet Line
測定結果5.3
空きコンセントに刺すノイズフィルターの先駆け的製品です。
オーディオ機器よりも、ホットカーペットとか、パソコンとかノイズの発生源に使う方が吉の製品です。
我が家では出番が無くて、使っていない部屋の空きコンセントに刺しています。
ノイズフィルター比較表
Panasonic BL-PST15 | サンワサプライ KT-180 | コトヴェール SFU-005-3P | TDK ANF-106 | Greenwave Dirty Electricity Filter | Audio Prism Quiet Line | |
---|---|---|---|---|---|---|
測定値 | 96.6 | 74.7 | 10.1 | 6.6 | 5.4 | 5.3 |
入力数 | 1 | 2 | 1 | 1 | 1 | - |
サージプロテクト | 無し | 有り | 有り | 無し | 無し | - |
定格 | 1500W | AC125V・15A 1500W | 5A 125V | 6A 125VAC | AC120V・15A | - |
備考 | アースピン着脱可能 コモンモードノイズ対策 | 2P/3P仕様選択可能 | ||||
購入 | Amazon | Amazon | Amazon | 廃盤 | Amazon | 廃盤 |
オーディオ ノイズフィルター まとめ
- 現在入手可能なノイズ測定器としてGreenWaveのEMIメーターを推奨
- クリーン電源の種類:フィルター方式、リジェネレーター方式、バッテリー方式
- コトヴェールSFU-005-3Pはオーディオ用途で人気、音質向上効果が高評価
- Greenwave Dirty Electricity Filterは高い性能と多用途性が特徴
- オーディオノイズフィルターの効果は単純なノイズ除去能力だけでなく、音質への影響も考慮が必要
- フィルター方式は音場が広がりやすいが、音楽情報も削がれる可能性がある
- リジェネレーター方式は波形をきれいにするが、ノイズ除去効果は限定的
- バッテリー方式は独立性が高いが、インバーターノイズの影響に注意が必要
- オーディオノイズフィルターの選択は、機器の消費電力や使用環境に応じて最適なものを選ぶことが重要
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