Challenge Recordsはジャズ・クラシックを中心に展開するレーベルで、SACDも多く手掛けています。
アーティスト主導型のレーベルで、制作プロセス全体においてアーティストの意向が重視されています。
同レーベルは作品、音質ともに玉石混交の印象がありますが、このリナス・ロスによるヴァイオリン協奏曲集は、演奏面、音質ともに高い完成度です。
レコードもリリースされたので、SACDと比較してみました。
目次
Linus Roth - Shostakovich: Violin Concerto No. 2, Tchaikovsky: Violin Concerto
Challenge Classics - CC72840

チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲ニ長調のオリジナル版を世界初録音しています。
一番の違いは第2楽章でミュートを外さないことです。作曲家の本来の意図を反映し、より叙情的な表現になっています。他にも細かい違いがいくつかありますが、違和感を感じずすんなり聴くことができました。
ショスタコーヴィチの2番は、病に冒された晩年の作品です。指揮者のトマス・ザンデルリンクは親しい友人であり、晩年のショスタコーヴィチをよく知る人物でもあったそうです。
他の演奏と比べると落ち着いて緻密な印象を受けましたが、作曲家の心情を考えると、この演奏が正当派なのかもしれません。
SACDのほうが全体を俯瞰しているような印象で、LPは没入感があります。
演奏がとても良いので、どちらも惹き込まれます。
このレコードは昨今の新譜でもかなり高額な部類になると思いますが、素晴らしい内容なので演奏が気に入ったら入手をオススメします。

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