前回の続きです。
新規で導入した、UniFi Dream Router(以下、UDR)を使って、オーディオ用のネットワークを構築します。
ネットワークオーディオを考える場合、ネットワークプレーヤー、Roonサーバー、NASなど、オーディオ関連の機器を1つのグループとして、オーディオ用スイッチにつなぎます。
ルーターとスイッチは有線接続が好ましいですが、ルーターの設置場所とオーディオルームが離れている場合、有線で接続できず無線にするしかない場合も考えられます。
拙宅の場合、リビングにルーターがあり、オーディオ部屋は隣ですが、LANの屋内配線をしていないため、現状は無線を使用しています。
ルーターとスイッチを有線、無線でつなぐ場合のそれぞれの最適解を考え、比較してみました。
ネットワークオーディオのルーター設定を考える
事前準備
1. VLANでオーディオ専用ネットワークを分割する
オーディオ専用のセグメントを用意します。
セグメントとは、192.168.A.XX Aの部分です。通常は異なるセグメント間では通信はできませんが、UDRの場合、初期設定では、異なるセグメント間でも接続ができます。
別項で設定します。
設定画面→ネットワークで、新規のネットワークを作成します。
2. オーディオ専用のWi-Fiを作成する
次に、オーディオ用のWi-Fiも作成します。
理由は、オーディオ用ネットワーク上の機器をスマホやタブレットで操作したいからです。
また、オーディオ用ネットワークに無線でつなぐ場合も、隔離できます。
3. オーディオ専用ネットワークを隔離する
UDRの場合、初期設定では異なるVLAN間でも接続できますので、隔離する設定です。
Network → セキュリティ → トラフィックとファイアウォールルールからエントリの作成で、新しいルールを作成します。
タイプ: LANイン
名前: 任意で、日本語名も可
デフォルトのネットワークが、オーディオ用のネットワークにアクセスできないようにします。
事前準備はこれで完了です。
有線と無線の比較
A. 有線接続
まず、理想的な接続方法として、ルーターとオーディオ用スイッチを有線接続する場合です。
UDRの場合、イーサネットポート毎に、VLANの設定ができます。
オーディオ用スイッチへ接続するポートをオーディオ専用ネットワークに設定。
UDRは、使わないイーサネットポートをOFFにすることができるので、使わないポートは停止します。
コントローラーとして使うタブレットのみ、Wi-Fiをオーディオ専用ネットワークへ接続します。
経験上、Wi-Fi接続する機器が増えるほど、音が悪くなります。
ルーターとスイッチを無線接続
有線で接続できない場合の最適解を考えます。
今回は、中継器と、メッシュWi-Fiを使う場合で比較しました。
本来はWi-Fiが届きにくい場合に、どちらかを使って電波の受信環境を改善する製品ですが、今回はオーディオ専用ネットワークとして、音質のみに焦点を当てて検証します。
無線接続時は、UDRに有線接続する機器が無いため、事前にUDRのイーサネットポートは全てオフにしています。
メッシュWi-Fiと中継器の違い
- メッシュWiFi
メインルーターと複数のサテライトルーター(電波を中継する機器)を利用して網目状のネットワークを構築する技術。
サテライトルーターがメインルーターの分身となるため、その仕組み上、どこで接続しても、通信速度や安定性はメインルーターの近くと同程度。 - 中継器
電波を中継する役割を持った機器。
中継器はあくまでも電波を中継するだけなので、Wi-Fiとの接続台数が増えるとメインルーターに負荷がかかり、通信速度や安定性が低下する傾向がある。
B. メッシュWi-Fiで接続
メッシュWi-Fiのサテライトとして、姉妹ブランドのAmpliFiHDを使用しました。
UDRとは姉妹ブランドですが、専用アプリもそれぞれ異なります。
どちらも直感的に使いやすく、設定は難しくないと思います。
メッシュWi-Fiなので、サテライトもメインルーターと同じように振舞います。
サテライトのWi-Fi機能を止めることはできません。
C. 中継器で接続
中継器としては、NECのWG1200CRを使用しました。
NEC製品は、親機のメーカーに関わらず使用できること、Wi-Fi受信のみで、送信を止めることができる点が気に入っています。
今回は、UDRのWi-Fi信号を受信するだけで、自身はWi-Fiを送信しない設定としています。
比較結果
A. 有線、B. メッシュWi-Fi、C. 中継器の音質比較を行いました。
比較条件
ONU、ホームゲートウェイ、UDR、メッシュWi-Fi、中機器の電源はGAN電源および PRaT sound製のトリガーケーブル、のびねこ、めがねこを使用。
全てのイーサネットケーブル間には、Baaske社製 LANアイソレーターを使用。
有線接続時の、UDRとオーディオ用スイッチ間のイーサネットケーブルは10m。
オーディオ用ネットワークのWi-Fiにはタブレット1つのみ使用。
結果を発表します。
A ≧ C >>>> Bという感じでした。
ルーターとスイッチを有線接続する場合、間にLANアイソレーターを使わなければ、中継器経由と同じレベルに感じました。LANアイソレーターを使うと有線の方が少し良いです。
屋内配線の引き回し状況によっては、中継器経由の方が有利な場合もあるかも。
メッシュポイントは明らかにレベルが落ちました。
自身が無線信号を送信することで、ノイズの影響が出るのではないかと予想しています。
現状、有線の方がわずかに良い結果となりましたが、工事をしてLANケーブルを引っ張るほどの大きな差は無いので、しばらく中継器を使う方法で行きます。
いずれの方法でも、サブスクのハイレゾ、ローカルのDSD256などを再生しても音飛びの経験はありません。
有線と無線のオーディオ用ネットワークについて まとめ
- ネットワークオーディオ機器は、オーディオ用スイッチに接続し、その他の機器と隔離するのが望ましい。
- ルーターとスイッチの接続は、有線が理想的だが、環境によっては無線接続も検討する必要がある。
- UniFi Dream Router (UDR)などを使用して、VLANでオーディオ専用ネットワークを分割することができる。
- オーディオ専用のWi-Fiを作成し、操作用デバイスを接続することで、メインネットワークと分離できる。
- オーディオ専用ネットワークを他のネットワークから隔離することで、安定性と音質の向上が期待できる。
- 無線接続の場合、中継器とメッシュWi-Fiの2つの選択肢がある。
- メッシュWi-Fiは安定性が高いが、音質面では劣る可能性がある。
- 中継器は、Wi-Fi受信のみで送信を停止できる製品を選ぶことで、ノイズの影響を軽減できる。
- 今回の音質比較では、有線 ≧ 中継器 >>>> メッシュWi-Fiの順となった。
- LANアイソレーターの使用で、有線接続の音質がさらに向上する。
- 電源の品質が音質に影響を与え、特に無線接続時は中継器の電源が重要。
- UDRを使用することで、ネットワークの送受信量を可視化し、最適化が可能。
- LANアイソレーターを1つだけ使用する場合は、オーディオ用スイッチの手前に設置するのが効果的。
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