Aki Yashiro - Songs Around Midnight UCJJ-9005

2012年、八代亜紀が初の本格的なジャズアルバム「夜のアルバム(Songs Around Midnight)」を発表しました。

プロデュースとアレンジを手掛けたのは、元ピチカート・ファイヴの小西康陽です。CDはSHM-CD仕様(UCCJ-2105)で同年10月にリリースされ、翌2013年にはLP盤(UCJJ-9005)が限定で発売されています。レーベルはユニバーサル傘下のEmArcy。

八代の所属レコード会社である日本コロムビアの協力のもと、ユニバーサルミュージックからの発売となりました。

目次

八代亜紀 - 夜のアルバム(Songs Around Midnight)

EmArcy - UCJJ-9005(LP)
EmArcy - UCCJ-2105(SHM-CD)

UCJJ-9005

八代亜紀のジャズとの接点は、少女時代にまで遡ります。小学5年生の頃、父が買ってきたジュリー・ロンドンのレコードに触れ、同じハスキーヴォイスを持つ歌手の存在に勇気づけられたことが歌手を志すきっかけとなりました。

1960年代半ば、15歳で熊本から単身上京し、銀座のナイトクラブでジャズスタンダードや歌謡曲を歌い始めたのがキャリアの出発点です。1971年に演歌歌手としてデビューして以降、押しも押されもせぬ存在となりましたが、本人はクラブシンガー時代を「歌手としての原点」と語っています。

本作で小西康陽が目指したのは、現代的なハイファイサウンドではありません。

八代がキャリアをスタートさせた1960年代の銀座のクラブが持つ、煙がくゆるような空気感の再現です。リバーブを排したドライな音像、一発録りに近いという緊張感に満ちたレコーディングスタイルが採用され、ギターを中心とした最小限の編成で、八代のハスキーヴォイスを前面に押し出しています。「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」「サマータイム」「枯葉」といったジャズスタンダードに加え、「五木の子守唄〜いそしぎ」「ワン・レイニー・ナイト・イン・トーキョー」など邦楽ナンバーも織り交ぜた全12曲の構成です。

ただし、LP盤の音質については注意が必要です。コンセプトとして意図的にドライで抑制された音作りが施されているため、ちあきなおみや石川さゆりの優秀録音盤のような鮮度や情報量を期待すると、肩透かしを食らう可能性があります。

八代亜紀には過去のライブ盤などに音質面で優れた作品も多いだけに、オーディオ的な観点からは物足りなさが残ります。選曲やアレンジも、熱心なジャズファンよりは演歌ファン寄りの印象で、八代の持つ歌唱力を十分に活かしきれていない感が否めません。ジャケットの雰囲気は素晴らしいだけに、惜しい一枚です。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次