本作は1968年に英Deccaよりステレオ盤(SXL6363)とモノラル盤(LXT 6363)としてリリースされました。
英デッカで言えば、60年代後半は最後のワイドバンドであるED3のレコードが多い中、なぜかこの作品はED1です。このレコードはED2は見かけません。ED1/3/4しか見た事が無いです。
私が所有しているDeccaのレコードではこれが最後のED1です。
ED1って何?という方は、こちらもご覧ください。

Claudio Abbado - Mendelssohn: Symphonies Nos. 3 & 4
Decca - SXL 6363

メンデルスゾーンの交響曲3番「スコットランド」と、4番「イタリア」です。指揮は当時30代半ばであったクラウディオ・アバド、管弦楽は名門ロンドン交響楽団です。
録音は1968年2月6日から8日にかけて、ロンドンのキングスウェイ・ホールで行われました。プロデューサーはジョン・モードラー、そしてエンジニアはケネス・ウィルキンソンが(クレジットはありませんが)担当したとされています。
この卓越したサウンドが、若きアバドの音楽性を完璧に引き立てています。
「スコットランド」では、作品の持つ憂いを、ホールの自然な残響が見事に増幅させていると感じます。繊細で、特に弱音部の美しさが素晴らしいです。
「イタリア」では、対象的に明るさと喜びに満ちた、躍動感あふれる演奏です。「そよ風のようで、屈託がない」と評されることが多い解釈は、軽やかな気分にさせてくれます。
アバドは後年、DGレーベルで同曲の再録音を行っていますが、この1968年のDecca盤は、円熟とは違う、若き天才がまさに才能を開花させようとする瞬間の、輝きを感じます。
一般的にはDGの方が有名かもしれませんね。
両曲とも大御所の名録音がたくさん出てますので、アバドを1番手としては紹介できませんが、名演かと思います。
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