[Decca SXL 6322] ヴィルヘルム・バックハウス (Wilhelm Backhaus) - ブラームス: ピアノ協奏曲2番

録音時83歳という巨匠、バックハウスが、まるで壮年期のような力感と深い洞察力で奏でるブラームス。これは単なる演奏記録ではなく、音楽史に刻まれた一つの奇跡と言えるでしょう。

地味で、凄みは無いですが、年齢を重ねた事で到達できるある種の境地を感じます。

目次

Wilhelm Backhaus - Brahms: Piano Concerto No. 2

Decca - SXL 6322

SXL6322

レコードの初出はED2、マトリクス1W/1Wです。
録音は、1967年4月14日から18日にかけて、ウィーンの伝説的な録音会場であるゾフィエンザールで行われました。

バックハウスを支えるのは、指揮がカール・ベーム (Karl Böhm)、そしてウィーン・フィルハーモニー管弦楽団という、最高の布陣。

プロデューサーのレイ・ミンシャル (Ray Minshull) とエンジニアのマイケル・メイルズ (Michael Mailes) というDeccaの名チームが、その場の空気感までも見事に捉えています。  

この演奏の核心は、83歳のバックハウスが聴かせる音楽の深さです。
評論家のジェレミー・リー (Jeremy Lee) が「20歳の若者のように弾いている」と評したように、その技巧は衰えを知らず、力強い打鍵と情熱的な推進力に満ちています。

若き日にブラームス本人に会ったというバックハウスならではの、揺るぎない確信が音の隅々にまで宿っています。ベームとウィーン・フィルの演奏は「温かさと正確さ」を兼ね備え 、一つの巨大な交響詩のような一体感があります。

白眉は第3楽章でしょうか。ベームの「霊感に満ちた」指揮に応え、バックハウスも詩的な一面をのぞかせます。  ブラームスのピアノ協奏曲第2番の決定盤の一つとして、今なおその価値を失っていません。

リヒテルのような雷鳴のごとき演奏とは異なる、堂々とした風格と深い知性に裏打ちされた「大人のブラームス」を求める方には、これ以上ない一枚です。

名演だけにその後その再発盤も多くありますが、CDは西ドイツプレスの414 142-2をオススメします。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次