Wilhelm Backhaus - Brahms: Piano Concerto No. 2

1967年、録音時83歳を迎えていたヴィルヘルム・バックハウス (Wilhelm Backhaus) が、カール・ベーム (Karl Böhm) 指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団と共演したブラームスのピアノ協奏曲第2番。派手さや凄みとは無縁ながら、長いキャリアを経て到達した深い境地を感じさせる演奏です。

目次

Wilhelm Backhaus - Brahms: Piano Concerto No. 2

Decca - SXL 6322

SXL6322

レコードの初出はED2、マトリクス1W/1Wです。録音は1967年4月14日から18日にかけて、ウィーンのゾフィエンザールで行われました。プロデューサーはレイ・ミンシャル (Ray Minshull)、エンジニアはマイケル・メイルズ (Michael Mailes)。使用マイクにはNeumann M50やKM53などが含まれ、テープマシンはStuder C37が2台使われています。

バックハウスは1884年ライプツィヒ生まれ。少年時代にオイゲン・ダルベールが弾くブラームスの2つのピアノ協奏曲を、作曲者ブラームス自身の指揮で聴いたとされています。その経験が、晩年のこの録音にどれほど影響を与えたかは定かではありませんが、テクストへの揺るぎない確信が演奏の隅々にまで宿っています。

Classics Today誌は、バックハウスの演奏について「見せびらかしの要素は一切なく、揺るぎない洞察力がある」と評しています。内声部の処理の明晰さ、とりわけ緩徐楽章での声部の導き方が見事で、この長大な作品を自然な流れのうちに聴かせます。ベームとウィーン・フィルも温かさと正確さを兼ね備えた伴奏で、ピアノと一体となった演奏を作り上げています。

白眉は第3楽章でしょうか。チェロの美しい独奏に続き、バックハウスが詩的な一面をのぞかせます。リヒテルのような雷鳴のごとき演奏とは異なる、堂々とした風格と深い知性に裏打ちされた、いわば「大人のブラームス」です。ブラームスのピアノ協奏曲第2番の名盤の一つとして、今なおその価値を失っていません。

名演だけにその後の再発盤も多くありますが、CDは西ドイツプレスの414 142-2をおすすめします。