1970年代初頭、南米ベネズエラから世界へ向けて放たれた、鮮烈で新しい音楽の波がありました。
その名は「オンダ・ヌエバ(Onda Nueva=新しい波)」。その創始者である音楽家アルデマーロ・ロメロが、コロンビア・レコードからリリースしたアルバムです。
Aldemaro Romero And His Onda Nueva
Columbia - KC 31253

アルデマーロ・ロメロはクラシックの素養を持ちながら、ジャズやラテン音楽など多様なジャンルで活躍したベネズエラの国民的音楽家です。
1968年、自国の伝統的な3拍子の舞曲「ホローポ(Joropo)」を、ピアノ・ベース・ドラムというジャズの基本編成と、ボサノヴァの洗練されたハーモニーを用いて再構築するという画期的な試みに成功します。これが「オンダ・ヌエバ」の誕生です。この新しいサウンドは、カラカス音楽フェスティバル(1971〜1973年)を中心に国際的なムーブメントへと発展していきました。
本作は、その国際的な注目の高まりのなかで制作された、世界市場、特にアメリカを意識した戦略的な一枚です。特筆すべきは、プロデューサーにマイルス・デイヴィス(Miles Davis)の「カインド・オブ・ブルー」やデイヴ・ブルーベック(Dave Brubeck)の「タイム・アウト」を手がけた伝説のプロデューサー、テオ・マセロ(Teo Macero)を迎えている点でしょう。録音はニューヨークのCBSスタジオで行われ、ベースにホルヘ・ロメロ、ドラムスにフランク・エルナンデスが参加しています。
収録曲も「It's Impossible(Somos Novios)」や「And Still I Love Her(Carretera)」など、英語詞の楽曲が中心です。
洗練された都会的な響きと、南米大陸の風を感じさせる独特の浮遊感が特徴的です。便宜上ソフトロックのカテゴリーに入れられることもありますが、ボサノヴァやラテン要素を上手く取り込みつつ、あくまでも軽くまとめた印象です。今聴くと、やや計算された印象も受けます。
CDは裏ジャケットが、レコードのジャケットになっています。
ブリザ・ブラジレイラの同シリーズには、同じように正面が小さいジャケットで裏面にオリジナルを配した作品がいくつかあります。この配置の趣旨は定かではありませんが、内容は素晴らしいものばかりです。
Roon
SACD
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