セリア・ネルゴール(Silje Nergaard)は1966年ノルウェー生まれのジャズ・ポップシンガー。
1983年、17歳の時にモルデ国際ジャズフェスティバルの即興セッションに飛び入り参加して注目を集め、翌年にはデビューシングルをリリースしています。Lifetime Records時代には英語詞によるジャズ・ポップ作品を3枚発表しましたが、同レーベルを離れた後、ノルウェーの独立系レーベルKirkelig Kulturverksted(KKV)から初のノルウェー語アルバムとなる本作をリリースしました。
Silje Nergaard – Brevet
Kirkelig Kulturverksted - FXLP 149

「Brevet」は、それまで英語詞のジャズシンガーとしてキャリアを築いてきたネルゴールが、あえて母国語であるノルウェー語で歌うことを選んだ意欲作です。
KKV創設者エリック・ヒレスタッドが率いるレーベルの方向性のもと、プロデューサーのUlf W. Ø. Holandとギタリストのニルス・E・ヴィニョール(Nils E. Vinjor)が共同プロデュースを担当しています。作曲はネルゴール自身が手がけ、歌詞はJan Eggum、Ole Paus、Håvard Rem、Kristin A. Sandbergといったノルウェーの詩人・ソングライターたちが提供しました。
バックを務めるのは、後にBugge Wesseltoft名義でヨーロッパのジャズシーンを牽引することになるイェンス・ブッゲ・ヴェッセルトフト(キーボード)、ビョルン・シェレミール(ベース)、ペール・リンドヴァル(ドラムス)。ジャズの枠にとらわれず、フォークやポップスの要素が溶け合った質の高いサウンドが展開されます。アコースティック楽器の温かみを活かしつつ、一つひとつの音が丁寧に配置され、ネルゴールの繊細なボーカルを包み込むようなアレンジが印象的です。
本作はデジタル録音が主流となった1995年の作品であり、CDフォーマットで最適な音質を発揮するよう丁寧にミキシングされています。
LPに大きなアドバンテージがあるわけではありませんが、2018年に初めてアナログ化された本盤は、ノイズが少なくクリアでありながら、デジタル音源特有の硬さが和らぎ、音の輪郭がより自然に感じられます。
ノルウェー語の美しい響きとともに、良質なボーカル作品をじっくり楽しみたい方におすすめの一枚です。