Sirima - …A Part of Me

シリマ(Sirima Nicole Wiratunga)は、スリランカ人の父とフランス人の母を持ち、1964年にイギリスで生まれた歌手です。幼少期をスリランカで過ごした後イギリスで育ち、18歳でパリに渡ってからは地下鉄駅でのストリートミュージシャンとして活動を続けました。1987年、ジャン=ジャック・ゴールドマンとのデュエット曲「Là-bas」がフランスのチャートで2位を記録し、一躍注目を集めています。

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Sirima - ...A Part of Me

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1989年にCBSからリリースされた本作は、シリマにとって唯一のソロアルバムです。プロデューサーのフィリップ・ドゥレトレと共に制作され、全10曲を英語で収録。うち5曲がシリマ単独の作曲、残り5曲が共作という構成で、アルバムジャケットのデザインやミュージックビデオの脚本も本人が手がけています。

音楽的にはポップスを軸にしつつ、フォーク、スムーズ・ジャズ、ファンク、ソウルの要素が融合した多彩なアレンジが特徴です。ドラムにマヌ・カッチェ、ベースにピノ・パラディーノといった一流のセッションミュージシャンが参加しており、1980年代後半のメジャーレーベルらしい質感のプロダクションの中に、シリマの多国籍なバックグラウンドが自然と滲み出ています。「I Need to Know」ではジャン=ジャック・ゴールドマンがコーラスとして参加しています。

息子に捧げた子守唄「Kym」や、スタジオでのライブ録音によるタイトル曲「A Part of Me」など、楽曲ごとに異なる表情を見せるアルバムですが、全編を通じて感じられるのは、自由と独立を重んじたシリマの人間性そのものです。

しかし、アルバムのリリースからわずか3週間後の1989年12月7日、シリマはパートナーであったミュージシャンに殺害され、25歳でこの世を去りました。成功によって自分から離れることを恐れた末の凶行でした。遺された息子キムは母方の祖母のもとで育てられています。2021年にはフランスでドキュメンタリー「Elle s'appelait Sirima」が制作され、その音楽と生涯が改めて注目されました。

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