Marden Hill - Cadaquez

前にLouis Philippeを紹介していますが、el Recordsを語る上で本作は外せません。1980年代後半の英国インディーシーンにおいて異彩を放ったレーベル「el Records」。その美学の集大成ともいえるのが、Marden Hillが1988年に発表したデビューアルバム「Cadaquez」です。

60年代のスパイ映画音楽やラウンジ・ジャズを大胆に解体・再構築した独創的なサウンドは、後の渋谷系ムーブメントの源流の一つとなりました。ネオアコから他ジャンルへの橋渡し的な役割を担う作品でもあります。

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Marden Hill - Cadaquez

EL - ACME 13

ACME13

Marden Hillは、Mark Danielsを中心に、異父兄弟のMatt Lipsey、Charlie Phillips、Pete Moss、Ian Smithで結成されたグループです。

バンド名は、メンバーが育ったハートフォードシャーのジョージア様式の邸宅「Marden Hill」に由来します。もともとバンド名は「Sixty Minute Man」でしたが、el Records主宰のMike Alwayから変更を求められたというエピソードが残っています。

el Recordsは、Cherry Red Recordsの傘下としてMike Alwayが1984年に設立したレーベルです。レーベル名はルイス・ブニュエルの映画に由来し、60年代のヨーロッパ映画やラウンジ・ミュージックへの深い愛情を、アートワークを含めたトータル・パッケージで表現していました。商業的な成功には恵まれなかったものの、日本ではCorneliusやPizzicato Fiveといった渋谷系アーティストに多大な影響を与え、Kahimi Karieの「Mike Alway's Diary」(作曲:小山田圭吾)にその名が刻まれるほどの存在でした。

本作のタイトル「Cadaquez」は、Salvador Dalíら多くの芸術家が集ったスペインの港町カダケスに由来し、レーベルの芸術的で夢想的なコンセプトを象徴しています。当時最新のサンプリング技術を駆使し、60年代スパイ映画のスコア、ラウンジ・ジャズ、サーフ・ロックといった過去のサウンドを解体、新しいポップミュージックとして再構築しました。軽快なヴィブラフォン、怪しげなフルートの旋律、アルバム全体を貫く一体感が、まるで架空の映画を観ているかのような世界へと誘います。

London Pavilionのシリーズもそうですが、このレーベルの場合、オリジナル盤と再発盤の違いが分かりにくいです。

当時はレコード屋のコメント(オリジナル、再発)を信じて買っていましたが、ジャケットはほとんど同じで区別がつきません。

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右がオリジナルです。比較すると色味が違いますが、単体で判断するのは難しいです。
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ラベルが分かれば簡単です。ここでも右がオリジナルです。

今ではオリジナルでも大した価格ではありませんが、無造作に買うと大抵はリイシューを購入することになると思います。

元々音質で語る作品ではないので、再発でも問題ないでしょう。CDもジャケ違いを含めてかなりの数が出ており、2006年にはPolydor Japanから紙ジャケ仕様で再発されています。

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