前にLouis Philippeを紹介していますが、ELを語る上で(語りませんが)この作品は外せません。
1980年代後半の英国インディーシーンにおいて、ひときわ異彩を放つレーベル「él Records」。
その美学の集大成とも言えるのが、マーデン・ヒルが1988年に発表した本作です。単なる音楽アルバムという枠を超え、「架空のスパイ映画のサウンドトラック」とも評される本作は、後の渋谷系ムーブメントの源流の一つとなりました。
ネオアコから他のジャンルへの橋渡し的な役割を担う作品だと思います。
Marden Hill - Cadaquez
EL - ACME 13

マーデン・ヒル (Marden Hill)は、マーク・ダニエルズ (Mark Daniels) とクリストファー・ベマンド (Christopher Bemand) を中心としたスタジオ・ユニットです。
彼らが所属したél Recordsは、主宰者マイク・オールウェイ (Mike Alway) の美学が徹底された特異なレーベルでした。60年代のヨーロッパ映画や、ラウンジ・ミュージックへの深い愛情を、音楽だけでなくアートワークを含めたトータル・パッケージで表現。本作のタイトル「カダケス」も、サルバドール・ダリ (Salvador Dalí) ら多くの芸術家が集ったスペインの港町に由来し、レーベルの持つ芸術的で夢想的なコンセプトを象徴しています。
本作の音楽性は、まさに「レトロ・フューチャー」。当時最新のサンプリング技術を駆使し、60年代のスパイ映画音楽、ラウンジ・ジャズ、サーフ・ロックといった過去のサウンドを大胆に解体、そして全く新しいポップミュージックとして再構築しました。
軽快なヴィブラフォン、怪しげなフルートの旋律、作品を通した一体感など、まるで架空の映画を観ているかのような世界へと誘います。この「サウンドで情景を描く」手法が、後のコーネリアス (Cornelius) など日本の渋谷系アーティストに多大なインスピレーションを与えたことは間違いありません。
London Pavilionのシリーズもそうですが、このレーベルの場合、オリジナル盤と再発盤の違いが分かり難いです。
当時はレコード屋のコメント (オリジナル、再発) を信じて買っていましたが、ジャケットはほとんど同じで区別がつきません。


今ではオリジナルでも大した価格では無いですが、無造作に買うと大抵はリシューを購入することになると思います。
元々音質で語る作品では無いので、まあ再発でも良いと思います。
CDもジャケ違い含めてかなりの数が出ています。
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