[Eterna 825 433] ハンス・リヒター=ハーザー 、ヘルベルト・フォン・カラヤン - ブラームス: ピアノ協奏曲第2番

数あるブラームスのピアノ協奏曲第2番の名盤の中に、静かながらも確固たる輝きを放ち続ける一枚があります。それが、ドイツのピアニスト、ハンス・リヒター=ハーザーとヘルベルト・フォン・カラヤンが唯一の共演を果たしたこのレコードです。旧東ドイツのEternaレーベルからリリースされた本作は、廉価盤のようにも思えますが、その溝に刻まれているのは、実に格調高い演奏です。

目次

Hans Richter-Haaser - Brahms: Piano Concerto No. 2

Eterna - 825 433

Eterna 825 433

このレコードの音源は、1958年5月に英コロムビア (Columbia) からリリースされた、SAX 2328と同一のものです。このオリジナル英国盤は、盤面中央のレーベルが青と銀で彩られた通称「ブルー/シルバー・ラベル」で知られ、オーディオファイル垂涎の的となる高音質盤として、現在でも高値で取引されています。

主役であるハンス・リヒター=ハーザーは、派手さとは無縁ながら、その質実剛健で構築的なピアニズムが高く評価されたドイツ音楽のスペシャリストです。彼の弾くブラームスは、まさに「ドイツ的」という言葉がふさわしい、がっしりとした骨格と威厳に満ちています。しかし、その無骨さの中には深い内省と叙情性が秘められており、特に緩徐楽章での静謐な美しさは聴く者の心を捉えて離しません。この重厚かつ滋味深いピアノは、エミール・ギレリスと並び称されるべきブラームス弾きの至芸と言えます。

伴奏を務めるカラヤンとベルリン・フィルの演奏も実に聴きものです。後年の華麗なスタイルとは一味違う、独奏者に寄り添いながらも鋭敏で力感あふれるサポートを展開しており、この唯一の共演がいかに特別なものであったかを物語っています。

このEterna 825 433は1974年にリリースされたステレオ盤です。オリジナルの英国盤とはマスタリングが異なり、こちらのエテルナ盤はよりレンジが広く、すっきりとした音像が特徴です。オリジナル盤が持つ重厚感とはまた違った、ドライで実直なサウンドは、リヒター=ハーザーのピアニズムの核心を違った角度から照らし出してくれる魅力があります。

オリジナル盤 [SAX 2328] は入手困難ですが、このエテルナ盤でも演奏の素晴らしさは十分に堪能できます。ドイツ音楽の神髄に触れたいと願う方、そしてギレリスやバックハウスといった巨匠たちの名盤を聴き込んできた方にこそ、ぜひ手に取っていただきたい一枚です。

Angel盤ですが、同じ演奏です
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次