[Connoisseur Society CS-263] マニタス・デ・プラタ (Manitas De Plata) - フラメンコ・ギター (Flamenco Guitar)

魂を直接揺さぶるような強烈な熱量を放つギターアルバムがあります。パブロ・ピカソ (Pablo Picasso) が「私よりも価値のある男」とまで評した伝説のギタリスト、その衝撃的な記録が本作です。

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Manitas De Plata ‎- Flamenco Guitar

Connoisseur Society - CS-263

cs263

このアルバムの主役であるマニタス・デ・プラタ(「銀の手」の意)、本名をリカルド・バリャルド (Ricardo Baliardo) は、1921年にフランス南部のジプシー・コミュニティに生まれました。

驚くべきことに、彼は楽譜の読み書きができず、生涯にわたって正規の音楽教育を受けることのなかった、完全な独学のギタリストでした。彼の音楽は、アカデミックなフラメンコとは一線を画す、ジプシーの血と魂そのものからほとばしる、生々しく情熱的な響きに満ちています。

1960年代初頭まで、彼は「ジプシー以外のために演奏しない」という掟を守り、その存在は一部の芸術家や写真家の間でのみ知られる伝説でした。その才能を世界に知らしめるきっかけとなったのが、本作に収められた1963年の歴史的な録音でした。

写真家のルシアン・クレルグ (Lucien Clergue) の説得により、プロデューサーのアラン・シルヴァー (Alan Silver) が録音機材を携えて南フランスのアルルを訪問。コンサートホールではなく、古い礼拝堂でセッションは行われました。これは、彼の演奏の持つ独特の雰囲気と響きを、ありのままに捉えるための選択だったのでしょう。

その音楽は、ジャン・コクトー (Jean Cocteau) やサルバドール・ダリ (Salvador Dalí) といった錚々たる芸術家たちを虜にし、特にピカソは彼の熱烈なファンであったことが知られています。

このアルバムが世界にリリースされるや否や、マニタス・デ・プラタの名は一躍世界的なものとなり、カーネギーホールをはじめとする檜舞台で喝采を浴びることになるのです。本作は、無名のジプシーギタリストが、世界的なスターダムへと駆け上がるまさにその瞬間を捉えた、ドキュメンタリーとしての価値も計り知れません。

高音質で知られる米コニサー盤ですが、本作の魅力は「録音の良し悪しなど気にならない」、そう思わせるほど、このギターはひたすらにかっこ良いです。

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