英デッカにおけるピアノ独奏の録音は、意外とそれほど多くありません。複数枚をリリースしているピアニストとしては、カーゾン、バックハウス、カッチェン、後期ではアシュケナージやルプーなどが挙げられます。デッカで女性ピアニストの独奏盤はきわめて少なく、本盤はその貴重な一枚です。
Varda Nishry - Rameau, Ravel, Franck: Piano Recital
Decca - SXL 6194

イスラエル出身のピアニスト、ヴァルダ・ニシュリー(1935–1995)によるフランス・ピアノ作品集です。ラモーの「シクロプ」「トゥールビヨン」「めんどり」、ラヴェルの「ソナチネ」と「道化師の朝の歌」、フランクの「前奏曲、アリアと終曲」を収録しています。
ニシュリーはパリ国立高等音楽院でラザール・レヴィに師事しました。レヴィはアルフレッド・コルトーの後任としてパリ音楽院のピアノ科教授を務めた名教育者です。さらにマグダ・タリアフェロ、クラウディオ・アラウといった20世紀を代表する巨匠たちからも薫陶を受けています。
録音は1965年4月13日から14日にかけて、スイス・ジュネーブのヴィクトリア・ホールで行われました。プロデューサーはジョン・モードラー、エンジニアはジェームズ・ロックが担当しています(いずれもレコード上のクレジットはなし)。1966年2月に英国デッカからステレオLPとしてリリースされ、初出はいわゆるED2ラベルです。モノラル盤はLXT 6194としてリリースされています。
デッカにおけるニシュリーの録音はきわめて少なく、SXLシリーズではこの1枚のみ、ほかにSDDで1枚を残したのみです。晩年の1997年にはイスラエルで「Musica Judaica」と題したCDをリリースしており、パウル・ベン=ハイムやシュテファン・ヴォルぺらのユダヤ音楽作品をライヴ録音しています。
演奏はおおらかで太い音色が印象的で、同じフランス系レパートリーを得意とするセシル・ウーセと比較すると、やや異なる方向性が感じられます。デッカとエテルナというレーベルのカラーの違いも楽しめる一枚です。
Roon
SACD
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