1968年にキャピトル・レコードからリリースされた、ソフトロックの名盤として語り継がれる一枚です。洗練されたコーラスワークと豪華な作家陣による楽曲群は、発売から半世紀以上を経た今なお色褪せない魅力を放っています。
私が初めて買ったのはCDでしたが、当時はむしろCDのほうが廃盤で見つかりづらかった記憶があります。CDもレコードも、その後何度か再発されています。
Four King Cousins - Introducing…
Capitol Records - ST 2990

フォー・キング・カズンズは、1930〜40年代に人気を博したボーカル・グループ、キング・シスターズ (The King Sisters) の娘たちによって結成されました。
彼女たちはABCテレビのバラエティ番組「ザ・キング・ファミリー・ショー (The King Family Show)」や、NBCのサマー・シリーズ、「ジョナサン・ウィンターズ・ショー (The Jonathan Winters Show)」への出演を経て、1968年にキャピトルとの契約に至ります。特にティナ・コールは人気ドラマ「パパ大好き (My Three Sons)」のケイティ役としてもお茶の間に知られていました。
プロデュース、アレンジ、指揮を務めたのは、彼女たちの従兄にあたるレックス・デ・アゼヴェード (Lex de Azevedo) です。彼は彼女たちの声質とイメージに合わせ、同時代のヒット曲を厳選しました。しかし、本作がリリースされた1968年当時の若者文化はサイケデリック・ロックが全盛で、彼女たちの健全で清廉な佇まいは当時のトレンドとは乖離していました。キャピトルがシングル・カットによる大規模なプロモーションを行わなかったことも重なり、商業的な成功には至りませんでした。時代に媚びない洗練された雰囲気こそが、本作をのちにソフトロックの名盤として再評価させた要因といえるでしょう。
収録曲はバカラックやビートルズなど当時のヒット曲を網羅したカバー集ですが、企画盤的な軽さはまったくありません。
アルバムのハイライトは、ビーチ・ボーイズのカバー「神のみぞ知る (God Only Knows)」です。ブライアン・ウィルソン (Brian Wilson) とトニー・アッシャー (Tony Asher) による傑作を、女性コーラスならではの優美さで再構築し、原曲の雰囲気を損なうことなくよりソフトでドリーミーな世界観に仕上げています。
ソフトロック・ファンにとって重要なのは、ロジャー・ニコルス (Roger Nichols) の作品が2曲取り上げられている点でしょう。「Love So Fine」の軽快さも魅力的ですが、アルバムの最後を飾る「I Fell」が圧巻です。ロジャー・ニコルスとポール・ウィリアムスによるこの楽曲は、美しいメロディラインと切ない歌声が融合した佳曲です。
A1. This Girl's In Love With You
2. It's All In The Game
3. Walk On By
4. California Nights
5. Let's Get Away From It All
B1. I Wanna Be Free
2. Good Day Sunshine
3. God Only Knows
4. Love So Fine
5. Here, There And Everywhere
6. I Fell
ソフトロックには曲単位で素晴らしい作品は数多くありますが、アルバム全体で隙のない一枚は意外と少ないです。本作はその貴重な例外といえます。