この無伴奏のレコードを買うまで、ウート・ウーギ (Uto Ughi) という音楽家を全く知りませんでした。
彼はイタリアを代表するヴァイオリニストの一人です。この無伴奏は、録音年月日や場所、プロデューサーといった詳細なクレジットはジャケットには記載されていません。
Uto Ughi - Bach: Sonata No. 2, Partita No. 2
RCA - RL 31576

このレコードは1981年にリリースされたRCAイタリアプレスです。ウーギはバッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタとパルティータを複数録音していますが、レコードとしてはこのソナタ第2番とパルティータ第2番のみで、全集は存在しないようです。
彼の演奏は、情熱を前面に押し出すようなタイプではなく、一つひとつの音を丁寧に描写する、正統派のスタイルだと感じます。楽曲の構造を明晰に捉え、端正に音楽を構築していく様子は見事ですが、一方で、聴き手の心をぐっと掴むような強烈な引力は少し控えめかもしれません。
その印象を左右しているのが、録音の質です。音像は非常に鮮明でクリアですが、教会の会堂で録られたような豊かな響きは少なめです。個人的には、もう少しマイクが離れたオフ気味の録音のほうが、バッハの無伴奏が持つ孤高の雰囲気に合っているように感じます。このクリアで直接的なサウンドは、ある意味で1980年代らしい録音の特色と言えるかもしれません。
壮大な「シャコンヌ」を含むパルティータ第2番においても、その端正なアプローチは一貫しています。熱っぽさよりも、構築美や各変奏の描き分けの巧みさが際立つ演奏です。このレコードは、燃え上がるような情熱とは異なる、美しさや知的な構成力を強く感じます。
ちなみに、ウーギは90年代にCDで全集をリリースしています。そちらはまだ聴けていませんが、このレコードでの演奏からどのように深化、あるいは変化したのか、聴き比べてみるのも面白いかもしれません。

コメント