1986年、ジャズとエレクトロニクスを融合させた都会的なサウンドの佳作を2枚発表し、突如として姿を消したユニット「モンド・ケイン (Mondo Kane)」。その短い活動期間ゆえに、このプロジェクトは多くの謎に包まれてきました。
Mondo Kane

モンド・ケインの音楽性を語る上で最も重要な事実は、そのプロデュースを、かのストック・エイトキン・ウォーターマン (Stock Aitken Waterman, 以下SAW) が手掛けたという点にあります。カイリー・ミノーグやリック・アストリーをスターダムに押し上げ、「ユーロビート」の代名詞となるSAW。
彼らがキャリアの初期、1986年に手掛けたこのプロジェクトは、彼らのディスコグラフィーの中でも異色の輝きを放っています。
当時、彼らはヒットチャートを席巻するポップなサウンドを確立する一方で、より洗練されたジャズやソウルへのアプローチを模索していました。その実験の場として生まれたのが、モンド・ケインだったのです。
モンド・ケインは、ポップ職人集団SAWが、その才能を異なるベクトルで発揮した奇跡的なプロジェクトでした。結局、この試みは商業的な大成功にはつながらず、わずか2枚のシングルで終了してしまいます。しかし、80年代という時代の空気感と、作り手たちの音楽的探究心が見事に結晶化したそのサウンドは、30年以上が経過した今も色褪せることはありません。
どちらのシングルも7インチと12インチでリリースされていますが、収録曲の多い12インチ盤の入手をおすすめします。
「New York Afternoon」が特に有名ですが、もう一方の「An Everlasting Love In An Ever-Changing World」(通称:青盤)も、甲乙つけがたい内容です。
どちらもタイトル曲をミックス違いで3種類収録しています。
ジャズの要素を取り込んだ80年代打ち込み系。ネオアコ界隈でも取り上げられることの多い作品です。洗練されたポップスを好む方には特におすすめの作品です。
- New York Afternoon [1986]
Lisson Records - DOLEQ 2 (12") / DOLE 2 (7")
A1. New York Afternoon (Extended Version)
A2. New York Afternoon (Little Samba Mix)
B1. New York Afternoon (Nip On Mix)
B2. Manhattan Morning
ボーカルには、ブリティッシュR&B/ジャズ界の重鎮、ジョージィ・フェイム (Georgie Fame) を迎えています。
- An Everlasting Love In An Ever-Changing World [1986]
Lisson Records - DOLEQ 6 (12") / DOLE 6 (7")
A1. An Everlasting Love In An Ever-Changing World (The Doop De Do Song) (A Foggy Day In London Town Mix)
B1. An Everlasting Love In An Ever-Changing World (The Doop De Do Song) (Instrumental)
B2. An Everlasting Love In An Ever-Changing World (The Doop De Do Song) (Radio Mix)
リードボーカルを務めたのは、元ワム!のバッキングボーカルであり、当時スタイル・カウンシルに在籍していたディー・C・リー (Dee C. Lee)。
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