1980年代後半から90年代初頭にかけて、英国インディー・シーンで唯一無二の輝きを放ったバンド、イースト・ヴィレッジ (East Village)。
彼らは、きらびやかなギター・サウンドと、どこか切なくも美しいメロディで、一部の熱心な音楽ファンの心を掴みました。商業的な成功とは無縁でしたが、その佇まいや美学は、日本のネオアコ・シーンにも大きな影響を与えました。活動期間は短く、残された作品は多くありません。本稿では、彼らの神髄であるシングル盤を中心に、その魅力を紐解いていきます。
East Village ー 珠玉のシングル作品群

- Cubans In The Bluefields [1988]
Sub Aqua – AQUA 212 (12") / AQUA 2 (7")
A1. Cubans In The Bluefields
A2. Break Your Neck
B1. Strawberry Window
B2. Kathleen
East Village名義での最初のリリースとなる記念すべき12インチシングル。ここから彼らの伝説が始まりました。タイトル曲の疾走感あふれるギターサウンドとキャッチーなメロディは、まさにネオアコ・アンセムと呼ぶにふさわしい名曲です。B面に収録された「Strawberry Window」の繊細な美しさも特筆すべき点で、この一枚で彼らのポテンシャルの高さを証明しました。アートワークも含めて完璧な作品。
- Back Between Places [1988]
Sub Aqua – AQUA 412 (12")
A1. Back Between Places
B1. Her Father's Son
B2. Precious Diamond Tears
このシングルで特筆すべきは、B面に収録された2曲です。「Her Father's Son」と「Precious Diamond Tears」は、単なるB面曲として片付けるにはあまりにも惜しいクオリティを誇り、彼らの楽曲の層の厚さを感じさせます。この一枚もまた、ジャケットの雰囲気と内容が見事に一致した傑作です。
- Freeze Out Flexi [1989]
Caff Corporation – CAFF 1 (Flexi)
A2. Freeze Out
- Circles [1991]
Heavenly – HVN 612 (12") / HVN 6 (7")
A1. Circles
B1. Here It Comes
タイトル曲「Circles」は、彼らの楽曲の中でも人気の高い、高揚感に満ちたギターポップ・ナンバーです。ギターのアルペジオが美しく絡み合いながら、どこまでも駆け上がっていくような展開が素晴らしい。B面の「Here It Comes」も、彼ららしい瑞々しい感性に溢れた佳曲です。
- Vibrato [1991]
Summershine – shine 014 7"
A1. Vibrato
B1. Violin
- Silver Train [1993]
Summershine – SHINE 37 CD (CDEP) / SHINE 37 (7")
1. Silver Train
2. Circles (Edit)
3. Black Autumn
4. Motorcycle Theme
アルバム ー スタジオ盤と必携の編集盤
- Drop Out [1993]
Heavenly – HVNLP3CD (CD) / HVNLP3 (LP)
1. Silver Train
2. Shipwrecked
3. Here It Comes
4. Freeze Out
5. Circles
6. When I Wake Tomorrow
7. Way Back Home
8. What Kind Of Friend Is This
9. Black Autumn
10. Everybody Knows
皮肉なことに、バンド解散後にリリースされた唯一のオリジナル・アルバムです。私自身、East Villageはシングルで聴きたいバンドだと考えているため、正直なところ、このアルバムはあまり聴き込んでいません。しかし、本作には「Silver Train」や「Circles」といった代表曲が収録されており、バンドの音楽性を俯瞰するには最適な一枚です。シングルで聴くのとはまた違う、アルバムとしての統一された世界観の中で彼らの楽曲に触れることで、新たな発見があるかもしれません。
- Hotrod Hotel [1994]
Summershine - SHINE CD6 (CD)
- Her Father's Son
- Vibrato
- Cubans In The Bluefields
- Break Your Neck
- Precious Diamond Tears
- Kathleen
- Meet The Wife
- Go And See Him
- Strawberry Window
- Here It Comes
- Back Between Places
バンド解散後にオーストラリアのレーベルからリリースされた、キャリア初期の音源を集めた傑作コンピレーションです。内容は、アルバム未収録のシングル曲や貴重なB面曲に加えて、当時未発表だったデモ音源3曲も収録しており、まさに「実質上のシングル編集盤」です。初心者にはまずこの一枚をおすすめします。
Episode Four ー 前身バンドの貴重な記録

- Strike Up Matches
Lenin And McCarthy Records – LENM 001T (12")
A1. Strike Up Matches
A2. It's A Sunday Morning
B1. This Year's Prospect
B2. A Good Time
East Villageの前身バンド、Episode Fourが唯一残した12インチシングル。
当時、私はこのレコードを4万円ほどで購入しました。高価な買い物でしたが、後悔は一切ありません。正直なところ、音楽的な完成度で言えば後のEast Villageの作品群に軍配が上がります。しかし、この作品には、バンドが持つ初期衝動のきらめきと、後のサウンドへと繋がる原石のような魅力が詰まっています。
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