清涼飲料水のノヴェルティーとして作られたアルバム。この作品がリリースされた当時(1963年)のヒット曲12作品が収録されています。完全に彼女の作品として消化されているのはさすがだと思います。
オリジナルはどの位、レアなのか知りません。私が持っているのは、7インチ付の2003年の再々発盤です。LPもCDもディスクユニオンのレーベルです。
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Blossom Dearie - Sings Rootin’ Songs
Diwthegarden - DGLP-1

ブロッサム・ディアリーは、その「少女のよう」とも評される可憐なウィスパー・ヴォイスが最大の魅力ですが、彼女の本質は卓越したピアニストであり、知性とウィットに富んだジャズ・ミュージシャンである点にあります。事実、彼女のコード・ヴォイシングはビル・エヴァンスにも影響を与えたと証言されているほどです。本作ではピアノを弾いていませんが、アルバム全体を貫く洗練されたアレンジからは、彼女の音楽家としての確かな耳を感じ取ることができます。
本作は、当時のヒット曲をボサノヴァや軽快なジャズでカバーした内容です。特にアントニオ・カルロス・ジョビン作の「Desafinado」や、ヘンリー・マンシーニの「Days of Wine and Roses」といった名曲の解釈は秀逸。力で押すのではなく、ささやくように、それでいて的確に楽曲の核心をつく彼女の歌声は、聴き手に親密な空間を提供してくれます。商業的なプレッシャーから解放された企画盤であったからこそ、かえって彼女のリラックスした表現が引き出されたのかもしれません。
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