アクティブフェーダー Neumann W444a

人生で初めて「アクティブフェーダー」を導入しました。Neumann w444aです。

w444a

これまでオーディオシステムにおいて、スピーカーやパワーアンプは頻繁に交換してきましたが、プリアンプだけは不動の存在でした。音質に不満はなかったものの、唯一にして最大の欠点がボリュームの微調整が利かない点でした。

特に深夜、レコードを小さな音で楽しみたい時に、どうしても音が大き過ぎるのです。
使用しているパワーアンプは10W程度の出力ですが、高能率なスピーカーと組み合わせると、ボリュームを少しひねるだけで相当な音量が出てしまいます。この問題は、以前のスピーカーでは許容範囲でしたが、現在のシステムでは限界だと感じていました。

そんな悩みを解決してくれたのが、このw444aです。

正直に言えば、空間の広がりや音場の奥行きといった、いわゆるハイファイ的な要素では以前のプリアンプに軍配が上がります。昔は、スピーカーの存在が消え、部屋の壁の向こう側から音楽が展開するようなサウンドを好んでいました。

しかし、このフェーダーが持つ「弱音時の再生バランスが全く崩れない」という美点は、私のオーディオに対する考え方を少し変えてくれました。小さな音量でも、音楽の構成や熱量がしっかりと伝わってくる。これは、オーディオ的な快楽よりも、純粋に音楽に没頭したいという現在の目標に完璧に合致するものでした。

このw444aは1970年代の西ドイツで、放送局の厳しい要求に応えるために開発されたプロ機材です。Neumannをはじめ、Telefunkenといったメーカーは、IRT(放送技術研究所)が定めた共通規格のもとでモジュールを製造していました。w444aもその一つで、心臓部にはHaufe(ハウフェ)製の高品質なトランスや、バージョンによってはディスクリート構成のオペアンプ(OA12)が搭載されています。そのローノイズで安定した動作は、小音量でも大音量でも音楽の芯を失わない、という放送品質の証左なのです。

候補としてはTelefunkenのフェーダーもありましたが、最終的にはショップで聴かせていただいたw444aの印象が決め手となりました。以前Neumann製のアクティブスピーカーを使った経験もありますが、個人的にはこのフェーダーの方がはるかに好印象です。

現在のシステムは、決して派手なハイファイサウンドではありません。しかし、とても「普通の音」で音楽を鳴らしてくれるようになったと感じます。気が付けば、一部を除いてドイツ製品ばかりになっていましたが、それは音楽の本質を実直に追求する設計思想に、無意識のうちに惹かれていた結果なのかもしれません。

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