CD化された時に、直ぐに買った記憶がありますが見つかりません…。
TidalやQobuzでも聴けるのでまあ、良いのですが。
1960年代後半、サイケデリックの嵐が吹き荒れる音楽シーンに、彗星のごとく現れて消えた一人の天才少女がいました。わずか11歳にして、大人のシンガーを凌駕するほどの歌唱力で録音されたアルバム。
しかし、そのレコードは発売直後にレーベルが倒産するという悲運に見舞われ、長らく「幻の名盤」として語り継がれてきました。今回は、そんなリサ・ミラー (Lisa Miller) の唯一のアルバムを紹介します。
Lisa Miller - Within Myself
Canterbury - CLPS-1503

本作の主役であるリサ・ミラーは、決して単なる早熟な子供ではありませんでした。
彼女の母ケイ・ルイス (Kay Lewis) と叔母ヘレン・ルイス (Helen Lewis) は「ルイス・シスターズ」として活動するソングライター兼シンガーであり、リサは音楽一家に生まれ育ちました。その才能は早くから開花し、わずか8歳でモータウン (Motown) 傘下のVIPレーベルと契約、「リトル・リサ (Little Lisa)」としてシングルをリリースしています。
このアルバムが録音されたのは1967年。当時、彼女の母と叔母は、マテル社(バービー人形で有名)の創業者夫妻の息子、ケン・ハンドラー (Ken Handler) が設立したカンタベリー・レコード (Canterbury Records) でA&Rディレクターを務めていました。その縁でリサはレーベルと契約し、本作が制作されることになります。アルバムの楽曲とプロデュースのほとんどは、彼女の母と叔母が手がけました。
サウンドは、当時の流行であったサンシャイン・ポップとサイケデリアが融合した、きらびやかで洗練されたものです。しかし、このアルバムを唯一無二の存在にしているのは、リサの驚異的なボーカルに他なりません。11歳とは思えない力強く豊かな声で、複雑なメロディを堂々と歌い上げています。
しかし、この野心的なアルバムの運命はあまりにも残酷でした。
リリースからわずか数週間でカンタベリー・レコードが倒産。プレスされたレコードのほとんどはプロモーション盤として配布されたのみで、一般市場に出回ることはほぼありませんでした。こうして、本作は発売と同時に「失われた名盤」となったのです。
Fool On The Hill (Beatles)や、White Rabbit (Jefferson Airplane)のカバーもありますが、アルバムのタイトル曲でもある"Within Myself"が個人的なハイライトです。
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