[Decca SXL 6291] イシュトヴァン・ケルテス (Istvan Kertesz) - ドヴォルザーク: 交響曲9番「新世界より」

イシュトヴァン・ケルテスがロンドン交響楽団と成し遂げた、史上初のステレオによるドヴォルザーク交響曲全集は、レコード史に燦然と輝く偉業です。今回はその中で、9番を紹介します。

交響曲9番「新世界より」は、ウィーンフィルとの1回目の録音 (SXL 2289) の方が有名ですが、2回目の録音である本作も名演です。

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Istvan Kertesz - Dvorak: Symphony No. 9

Decca - SXL 6291
SXL6291

この記念碑的な録音は、1966年1月にロンドンの伝説的な録音会場、キングスウェイ・ホール (Kingsway Hall) でセッションが行われました。これは、1963年から続けられた世界初のドヴォルザーク交響曲全集録音という、壮大なプロジェクトを完成させるための最後のセッションの一つでした。

指揮台に立ったのは、当時まだ30代だったハンガリー出身の俊英イシュトヴァン・ケルテス (Istvan Kertesz)。そして、プロデューサーのレイ・ミンシャル (Ray Minshull) と、”Decca Sound” の礎を築いた伝説的エンジニア、ケネス・ウィルキンソン (Kenneth Wilkinson) という黄金のチームです。

ケルテスが紡ぎ出す音楽は、生命力に満ち溢れています。

彼の「新世界より」は、感傷に流されることなく、常に前へ進む強靭な意志と若々しいエネルギーを感じさせます。特に、ロンドン交響楽団 (London Symphony Orchestra) の機能美を最大限に引き出したアンサンブルの明晰さは見事であり、リズムの切れ味や各楽器の鮮やかな音色、終楽章のクライマックスへ向かって燃え上がるような高揚感は、まさに圧巻の一言です。

この全集はバラ売りされており、ED1は7番と8番だけです。その他の作品は本作をふくめてED2が初出です。

1回目の録音 (SXL 2289)はオリジナルレコードを持っていないので純粋な比較はできませんが、この2回目の録音の方が、金管楽器がやや前面に出た鮮やかな音に感じます。

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