[Polydor 2424 236] ダイアン・テル (Diane Tell) - Chimères

カナダ・ケベック出身のシンガーソングライター、ダイアン・テル (Diane Tell) の1982年作。フランス語圏のポップミュージックが北米の洗練されたサウンドと出会って誕生したアルバム。心地よいメロディと緻密なアレンジによる普遍的なポップアルバムです。

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Diane Tell - Chimères

Polydor – 2424 236

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本作の成功は、1980年の前作「En flèche」に収録された「Si j'étais un homme (もし私が男なら)」のフランスでの大ヒットがベースにあります。この成功により、彼女は予算も含めたアーティストとしての選択権を手にしました。次なるステップとして目指したのは、単なるヒットの再生産ではなく、サウンドプロダクションを徹底的に追求した、より普遍的なポップスの創造でした。  

自らプロデュースにも名を連ね 、ケベックとニューヨークのスタジオで録音 、マスタリングは名匠テッド・ジェンセン (Ted Jensen) に託すなど 、万全の布陣で制作に臨みました。

このアルバムの音楽的な核となっているのは、当時隆盛を極めたアメリカ西海岸の「ウェストコースト・サウンド」、すなわちAORやソフトロックと呼ばれるスタイルです 。音楽監督カール・マーシュによる都会的で緻密なアレンジと、ケベックのジャズ・フュージョン・グループ UZEB のドラマー、ポール・ブロシュをはじめとする一流ミュージシャンによる卓越した演奏に支えられた、質の高いポップスです。

エレクトリック・ピアノの浮遊感が心地よい「Mon ami-e」に代表される楽曲群は、フランス語の優雅な響きと、緻密に構築されたウェストコースト・サウンドが見事に融合した「フレンチAOR」の金字塔として、高く評価されています。その完成度は、カナダでのゴールドディスク獲得や、MIDEM(国際音楽産業見本市)での最優秀アルバム賞受賞という結果にも表れています 。  

AORやソフトロックのファンはもちろん、スティーリー・ダン (Steely Dan) のような緻密な音楽を好む方、上質なポップミュージックを求める方、非英語圏の音楽に問題ない方におすすめです。

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