バッハの無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータは、ヴァイオリン独奏作品の最高峰として数多くの録音が残されています。
その中でもNathan Milsteinが1973年に録音したDG盤は、第18回グラミー賞(Best Classical Performance, Instrumental Soloist Without Orchestra)を受賞し、同曲の決定的名盤として広く知られています。
Nathan Milstein - Bach: Sonatas and Partitas for Solo Violin
DG - 2709 047

録音は1973年2月、4月、9月にかけて、ロンドンのコンウェイ・ホールおよびウェンブリーのブレント・タウン・ホールでセッション収録されました。
バランス・エンジニアにはKlaus Hiemannが起用されています。室内楽に適した暖かく明瞭な響きの中で、ヴァイオリンの質感がリアルに捉えられた優秀録音です。
当時70歳を迎えていたMilsteinは、1716年製ストラディヴァリウス「Maria Teresa」を使用しています。ライナーノーツに収録されたインタビューでは、経験を重ねた今の自分には以前よりうまく弾けないレパートリーはない、と語っています。1954〜56年のEMI旧録音が持つ燃え立つような技巧とは対照的に、本作ではより深く内省的で洗練された気品が漂います。
端正でありながら男性的な力強さも備えた演奏で、同曲の録音として最も支持者の多い一枚と言えるでしょう。グラミー賞のほか、Prix Mondial du DisqueやPrix de l'Union de la Presse Musicale Belgeも受賞しています。聴いていると、Karl Suskeの無伴奏にも通じる端正さが感じられます。
SACDハイブリッド盤はタワーレコード(2017年発売)とエソテリック盤(ESSG-90276/77、2023年発売)がそれぞれリリースされています。
参考: [タワレコ] J.S.バッハ: 無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ(全曲) BWV.1001-BWV.1006
Roon
SACD
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