[DG 2709 047] ナタン・ミルシテイン (Nathan Milstein) - バッハ: 無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ

ヴァイオリン音楽の金字塔、バッハの「無伴奏ソナタとパルティータ」。

その数ある名盤の中でも、巨匠ナタン・ミルシテインが晩年の円熟期に到達した至高の境地を刻み込んだのが、1975年にグラミー賞を受賞したドイツ・グラモフォン盤です。

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Nathan Milstein - Bach: Sonatas and Partitas

DG - 2709 047

2721 087

この記念碑的な録音は、1973年から1974年にかけて、ロンドンのコンウェイ・ホールにてセッションが行われました。プロデューサーにはドイツ・グラモフォンのベテラン、ヴェルナー・マイヤー (Werner Mayer) を、そしてバランス・エンジニア(トーンマイスター)には、後に生涯功労賞を受賞する伝説的な名匠クラウス・ヒーマン (Klaus Hiemann) を起用した万全の布陣です。

コンウェイ・ホールが持つ、室内楽に最適な暖かくも明瞭な響きは、ヒーマンの卓越した技術によって余すところなく捉えられました。その結果生まれたサウンドは、ヴァイオリンの質感をリアルに伝えながらも、決して冷たくなることのない「クリアでありながら暖かいアンビエンス」 を実現しています。  

当時70歳を迎えていたミルシテインの演奏は、まさに円熟の極み。彼はライナーノーツの中で音楽評論家リチャード・フリード (Richard Freed) に対し、「今の私には経験という付加価値があるのだから、以前よりもうまく弾けないレパートリーなどありません」と語ったとされます。その言葉通り、若き日のEMIへの旧録音(1954-56年)が持つ燃え立つような技巧とは異なり、本作は、より深く、内省的で洗練された気品が漂います。  

ある種の境地に達した演奏です。最大公約数的には、支持者がもっとも多い作品の1つではないでしょうか。

男性的な力強さもありますが、基本的には端正な演奏。解釈はそれぞれ異なりますが、一番好きなズスケの無伴奏にも近い雰囲気を感じます。

タワレコからSACDも発売されています。

参考: [タワレコ] J.S.バッハ: 無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ(全曲) BWV.1001-BWV.1006

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