[DG 2531 275] ダニエル・バレンボイム (Daniel Barenboim) - プロコフィエフ: ピーターと狼 (Prokofiev: Peter and The Wolf)

音楽史に輝く数多のレコードの中に、演奏や録音の素晴らしさだけでなく、その背景にある物語によって特別な価値を持つ一枚が存在します。

伝説のチェリスト、ジャクリーヌ・デュ・プレ (Jacqueline du Pré) が、夫ダニエル・バレンボイム (Daniel Barenboim) の指揮のもと、その声を永遠に刻み込んだ、感動的な記録です。

目次

Daniel Barenboim - Prokofiev: Peter and The Wolf, Leopold Mozart: Toy Symphony

DG - 2531 275

2531 275

メインとなるのは、セルゲイ・プロコフィエフ (Sergei Prokofiev) の音楽物語「ピーターと狼」です。

指揮はダニエル・バレンボイム、演奏はイギリス室内管弦楽団 (English Chamber Orchestra) という理想的な布陣ですが、この盤を唯一無二の存在たらしめているのは、ナレーターを務めたジャクリーヌ・デュ・プレの存在でしょう。

1973年に難病である多発性硬化症の診断を受け、チェリストとしてのキャリアを絶たれた彼女が、音楽の世界に残した貴重な録音。その声は、音楽評論誌「MusicWeb-International」が「少し古風で、意図的に重々しい」と評したように、威厳と深みに満ちています。

バレンボイムの指揮は、そんなデュ・プレの語りに優しく寄り添うように、格調高くもやや遅めのテンポで進められ、夫婦の深い絆を感じさせます。

例えば、10年後の1990年に録音されたスティング (Sting) がナレーターを務めたアバド盤 [DG 429 396-2] が、ポップで現代的な解釈であるのに対し、このバレンボイム盤はあくまでクラシカルで落ち着いた品格を保っています。

カップリングには、かつてはフランツ・ヨーゼフ・ハイドン (Franz Joseph Haydn) の作品とされていましたが、現在ではヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト (Wolfgang Amadeus Mozart) の父、レオポルト・モーツァルト (Leopold Mozart) の作とする説が有力な「おもちゃの交響曲」を収録。

こちらはバレンボイムとイギリス室内管弦楽団による、遊び心にあふれた楽しい演奏を堪能できます。

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