[フォノイコライザー] Fidelix - LEGGIERO|使用レビュー

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結論から言うと、Fidelix LEGGIEROは「漆黒の静寂から、音楽だけが浮かび上がる」ような、圧倒的なSNを体験できるフォノイコライザーです。

その評価の高さは耳にするものの、「実際の音はどうなのか?」「自分の好みに合うのか?」と、試聴できずに悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

この記事では、私がLEGGIEROをシステムに導入してから数年間じっくりと聴き込んできた経験に基づき、以下の点について掘り下げていきます。

圧倒的な静寂を生む核心技術の秘密

他の製品と比較した、率直な音質の印象

25種類のEQカーブの考え方と活用法

購入前に知っておきたい注意点

目次

LEGGIEROの音質を支える核心技術

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名前の由来 ー 「軽快優美」に込められた思想

製品名である「レジェーロ」は、イタリアの音楽用語で「軽快優美に」を意味します。

これは、力強い表現と軽やかな表現という、両立が難しいとされる音楽表現を一台で実現するという設計思想の表れです。実際にこの言葉通りの軽やかで品のある音です。

圧倒的な静寂を生む「V-I-V方式」

LEGGIEROの心臓部が、「V-I-V方式」です。

これは、初段でカートリッジからの微弱な電圧信号を一度「電流」に変換し、後段で再び「電圧」に戻して増幅する方式です。この構成こそが、MC入力において-156dBVという極めて低い入力換算ノイズを達成できる技術的な核心です。レコード盤の無音部分が、ざわつきのない「漆黒の静寂」として感じられるのは、この回路技術の恩恵に他なりません。

インピーダンス「1GΩ入力」

そして、カートリッジの性能を解放する「1GΩ入力」です。

底面のディップスイッチを操作することで、MC入力のインピーダンスを一般的な330Ωから、異次元とも言える1GΩに設定できます。この極めて高い入力インピーダンスは、カートリッジに電気的な負荷をほとんど与えず、発電機構を一切拘束しません。

その結果、カートリッジは最も自由な状態で信号を送り出すことができ、特に鉄芯MCカートリッジであっても、まるで空芯MCカートリッジのような「漂う空気感」や「微細な音の再現」が可能になります。

音質傾向

特筆すべきは、やはりノイズフロアの低さです。

SN比は驚異的に高く、以前使っていた電池駆動のSutherland PH3Dと比較しても、背景の静けさは同等以上。それでいて、消え入るような弱音の情報量はLEGGIEROの方が一枚上手だと感じます。

音の印象をひと言で表すなら「繊細かつ広大」。一つひとつの音が非常に丁寧に描かれ、広大な空間にスッと溶けていくような心地よさがあります。

Sutherlandは力強い躍動感のある表現を得意としていましたが、LEGGIEROはそれとは対照的です。そのため、ジャズやロックなどでゴリゴリとした力強さを求める方には、少しあっさりとした印象に感じられるかもしれません。これは優劣ではなく、純粋な音楽表現の方向性の違いです。

イコライザーカーブについて

50Hz以下のレベルを5段階に、2kHz以上も5段階に変えられ、この組み合わせによって、RIAA、SP、AES、NAB、FFRR、OLD RCA、COLUMBIAのカーブに対応予定です。2個のスイッチはセンター位置でRIAAなので、50Hz以下が2dBステップ、2kHz以上が1dBステップのトーンコントロールとしても実用的に使えます。

http://fidelix.jp/technology/noise2.html

LEGGIEROは25種類のイコライザーカーブに対応していますが、これは古いレコードの規格に厳密に合わせるためだけの機能ではありません。むしろ、「高品位なトーンコントロール」として積極的に活用するのが、この機能を最も活かす考え方だと捉えています。

  • 50Hz以下を5段階(±4dB)
  • 2kHz以上を5段階(±2dB)

この2つのツマミを基準のRIAAカーブ(センター位置)から調整することで、「少し録音の古いレコードの高域を明瞭にする」「低域が膨らみがちな盤をタイトに引き締める」といった音質補正が可能です。

個人的には正相/逆相の切り替え機能の方が欲しかったと感じることもありますが、この柔軟な音質調整機能は、様々な状態のレコードを楽しむ上で非常に実用的です。

購入前に知っておきたい注意点

素晴らしい音質を持つLEGGIEROですが、いくつか知っておくべき注意点もあります。

  • 電源部が熱くなる
    独立した外部電源は、使用中にそれなりに熱を持ちます。放熱スペースを確保できる場所に設置することをおすすめします。ちなみに私は、使用しない時は電源を切るようにしています。
  • 電源ON/OFF時のポップノイズ
    音質を優先した設計のため、電源の投入・切断時に小さなポップノイズが出ることがあります。アンプのボリュームを絞ってから操作すると安心です。
  • 電源ケーブルは着脱式ではない
    電源ケーブルは本体直付けのため、ケーブル交換による音質調整はできません。

まとめ ー LEGGIEROはレコード体験をどう変えるか

Fidelix LEGGIEROは、長年アナログ再生に深く向き合ってきた私が自信をもっておすすめできる一台です。

  • 圧倒的な静寂性
    レコード盤のノイズを極限まで低減し、音楽だけがクリアに浮かび上がります。
  • 繊細かつ広大な表現力
    埋もれていた微細な音や空間の響きを鮮やかに描き出します。
  • 多様なレコードへの対応力
    25種類のEQカーブと1GΩ入力で、様々なカートリッジとレコードの魅力を引き出します。
  • アナログ体験の深化
    音楽への没入感を高め、一枚一枚のレコードの価値を再発見させてくれます。

繊細な表現、広大な空間の広がり、そしてノイズレベルの低さ。これらが一体となることで、ふだん聴いているレコードからも新しい発見があるはずです。

Fidelix - LEGGIERO
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総合評価
( 5 )
メリット
  • 超ローノイズ設計:-156dBVの超低ノイズ性能により、出力電圧0.1mVクラスのカートリッジでもノイズレス再生が可能
  • 優れたSN比:点音源的な音質と広大なサウンドステージを実現
  • MMとMCの両カートリッジに対応し、それぞれで高品質な音楽再生を実現
  • 細かな設定:入力インピーダンスの切り替えやイコライザーカーブの選択が可能で、様々なレコードに最適化可能
  • アナログらしい音色:やわらかく、聴いていて心地よい音質を提供

MC用のフォノイコライザーとして購入しました。MC専用に設定できるのでMCカートリッジ

のパフォーマンスを最高に引き出せるのではと思います。また、イコライジングが最新録音盤から旧作盤MONOまで対応でき、また補正できるのがよいです。どちらかといえばアナログらしい音色で、やわらかく、聞いていてほっとします。ますますアナログにはまり込んでくようで、レコードばかり買っています。

引用元: Joshin web

1ギガΩで受けた時の音にも興味がありましたがイコライザーカーブを選択できるフォノイコを探していたところ、この商品は細かく設定できるので購入しました。

前から不満のあったROLLING STONES/Let It Bleed(UK Orig mono)がステレオ針でも良い音で聴けます。必ずしもFFRRの位置でなくても自分の好み(当方はHigh/FFRR,Low/RIAAが好みです。)で聴けるのが良いです。

また、ヌケの悪い80年代の国内アーティストの盤がかなり改善されます。高域の情報量が増えるだけでなく、低域は力強くなります。ベースとバスドラの描き分けも良く出来ています。

もちろん、音の良い盤はさらに良くなります。PINK FLOYD/狂気(UK Orig Solid Blue)の冒頭の心臓の鼓動(の様な音)が鳴った時には思わずスピーカーの間を見つめてしまいました。

テクニクスSL-1200MK5+デノンDL-103からまさかこんな音が聴けるとは思っていませんでした。絶対に安い買い物です。出てきた音に値段をつけるなら倍以上になると思います。

引用元: Joshin web
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コメント

コメント一覧 (2件)

  • pippinさま
    有益な情報ありがとうございます。
    フォノイコのモノ化はいずれやってみたいです。

  • 友人がLEGGIEROを2台モノ使いで使っているのですが、1台で使う時と空気感がガラッと変わって大変驚きました。機会があったら是非試されると良いと思います。試聴した印象では、1台には戻れないと感じました。

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