この記事は、Roonの全体像を解説する「Roonとは?仕組み・Roon Ready・始め方・使い方を解説」の関連記事です。

Roon Serverをどのハードウェアで動かすかは、安定性と運用スタイルに直結します。
専用PCやNucleus、NASとそれぞれ選択肢がありますが、この記事ではSynology NASに絞って、実際にDS720+で10TB強のライブラリを運用している立場から、メリットと現実的な性能を説明します。
結論:NASはRoon Serverの「ベスト」か?
先に結論を述べます。NASが万人にとって絶対的なベストとは言えません。レスポンスの速さだけを追求するなら、専用PCに軍配が上がります。
しかし、数千枚を超える音楽ライブラリを持ち、データの安全性も確保し、さらにRoon以外の用途にも使いたいという要求を持つユーザーにとって、Synology NASは有効な選択肢の一つです。
高速化の具体的な手順については別記事で解説しています。

私がRoon ServerにSynology NASを選んだ3つの理由

理由1:Roon専用機にせず「柔軟なオーディオハブ」として使える
Roonは素晴らしいですが、LuminなどのUPnP環境で再生して比較したいと思うこともあります。専用PCのRoon OSでは難しいこの共存が、NASなら簡単です。
私はRoon Serverと同時にUPnPサーバー「MinimServer」もインストールしています。LinnやLuminといったRoonとUPnP両対応のプレーヤーで、気分や用途に応じて再生方法を使い分ける運用が可能です。
Roonであれば、自宅のライブラリを外出先で再生できる「Roon ARC」も使えます。

理由2:ネットワーク負荷を最小限に抑える構成
Roon Serverを動かす機器と音楽ファイルを保存するストレージが別々の場合、再生のたびにネットワーク上に大きなデータが流れます。NASをRoon Serverとして使えば、サーバーが音楽ファイルにローカルで直接アクセスするため、ネットワーク帯域を消費しません。地味ながら安定性に影響する重要なポイントです。
理由3:NVMe SSDの活用による速度向上
Synologyの上位モデルはNVMe SSDスロットを搭載しています。この活用方法は、メインストレージの種類によって変わります。
HDD運用の場合:NVMeをキャッシュとして設定することで、Roonのデータベースやアートワークなど頻繁にアクセスするデータが高速化されます。HDDベースのライブラリでは、SSDに近い体感速度が得られるため、この構成は有効です。
SSD運用の場合:私はSSD 8TB×2枚で運用していますが、NVMeをキャッシュとして使っても体感できる改善はほぼありませんでした。そこでNVMeをキャッシュではなく独立ボリュームとして使い、そこにRoonのデータベースを配置することで大幅な高速化を実現しています。この手順はこちらで詳しく解説しています。
Synologyならではの強み:ファイルシステム「Btrfs」
SynologyのNASを選ぶもう一つの理由が、先進的なファイルシステム「Btrfs(バターエフエス)」です。オーディオファンにとってのメリットは2つです。
- データの自己修復機能
長期間の保存で発生するデータ破損(ビット腐敗)を自動で検知・修復します。大切な音楽ファイルがいつの間にか壊れていた、という状況を防げます。 - スナップショット機能
ライブラリの状態を任意のタイミングで保存できます。設定ミスやランサムウェアの被害があっても、健全だった状態に復元できます。
Roon ServerにおすすめのNAS比較
Roon Serverを快適に動かすには、一定のCPUパワーとメモリが必要です。実績のあるモデルを比較します。(2025年7月現在)
| モデル名 | DS723+ | DS720+(筆者使用) | DS923+ | TS-464 | AS6704T |
| メーカー | Synology | Synology | Synology | QNAP | ASUSTOR |
| CPU | AMD Ryzen R1600(2コア) | Intel Celeron J4125(4コア) | AMD Ryzen R1600(2コア) | Intel Celeron N5095(4コア) | Intel Celeron N5105(4コア) |
| GPU | なし | Intel UHD 600 | なし | Intel UHD Graphics | Intel UHD Graphics |
| メモリ(標準) | 2GB DDR4 ECC | 2GB DDR4 | 4GB DDR4 ECC | 8GB DDR4 | 4GB DDR4 |
| ベイ数 | 2 | 2 | 4 | 4 | 4 |
| M.2スロット | 2 | 2 | 2 | 2 | 4 |
| Amazon | 完了 | Amazon | Amazon | Amazon |
DS720+とDS723+:Roon Server視点での比較
私が現在運用しているのはDS720+(Intel Celeron J4125搭載)です。その後継機が現行モデルのDS723+です。
純粋なCPU処理能力では、DS723+に搭載されたAMD Ryzen R1600がDS720+のCeleron J4125を約40%以上上回ります。Roonのデータベース検索やアートワーク表示といった操作の応答性において、この差は確実にプラスに働きます。
感覚的にアルバム枚数が3,000枚を超えてくると、DS720+では動きが鈍くなると感じます。現状はアルバム7,000枚・曲数10万ほどですが、もっさりと感じることはあるものの音が途切れるなどのトラブルはなく普通に運用できています。
ただし、オーディオ的な視点では話が少し複雑です。DS723+のAMD Ryzen CPUはDS720+のIntel Celeronと違い、内蔵GPU(iGPU)を持っていません。「GPUを搭載したPCの方が音が良い」というのがRoon Serverの定説となっており、この点はDS723+の悩ましいところです。
新規で導入を検討されるなら、CPU処理能力の向上による快適さを重視してDS723+をおすすめします。ただし、GPUが音質に与える影響については、ご自身の判断で。
参考:私のDS720+運用構成

NAS本体:Synology DS723+
私はDS720+を使用していますが、今から購入されるなら後継機のこちらがおすすめです。
ストレージ:SSD 870 QVO 8TB × 2台
当時SSD 8TBの選択肢はあまりなかったので、これを選びました。SSDの大容量化・低価格化はここ数年頭打ちになっている印象です。
増設メモリ:PC4-21300 DDR4-2666 8G
純正の指定は4GBですが、8GBを積んでいます。純正メモリがDDR4-2666だったので同じタイプを選びました。DS723+の場合は純正16GBが良いと思います。
NVMe SSD:NVMe WDS500G3B0C-EC
2枚装着できます。現在はキャッシュではなく独立ボリュームとして使用し、そこにRoonのデータベースを配置しています。この構成への移行手順は別記事で解説しています。
ノイズ対策
メモリなどのノイズ対策にTDKのフレキシールドを使用しています。PC系のノイズ対策によく効きます。導通ありのタイプもあるので注意してください。
参考: ノイズ抑制シート "フレキシールド" IFLシリーズ
振動対策
筐体およびHDDの振動対策として、オトナシート・セルダンパー・レアルシルトを適材適所で使用しています。
電源の換装
電源は12Vの4PINタイプです。FSPのスイッチング電源FSP150-AHAN1を改造して使っています。
まとめ
数千枚規模のライブラリを持ち、データの安全性も重視し、Roon以外の用途にもNASを活用したいと考えているなら、Synology NASは検討の余地があります。レスポンス速度だけを求めるなら専用PCですが、柔軟性・拡張性・データ保護の総合力においてSynology NASは有力な選択肢の一つです。
大容量ライブラリで動作が重くなってきた場合の高速化については、こちらで詳しく解説しています。

Roonの仕組みや導入方法など、基本から使い方まではこちらでまとめています。

DS723+
DS720+(筆者使用)
DS923+
TS-464
AS6704T