[Odeon SMOFB 3933] ドリス・モンテイロ (Doris Monteiro) - Agora

ブラジル人シンガー、ドリス・モンテイロ (Doris Monteiro) による1976年作。

このアルバムは発表以来、その芸術的価値が高く評価され続けており、ブラジル国内だけでなく国際的にも人気を博しています。特に、日本では2002年と2016年にCDが再発されています。

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Doris Monteiro - Agora

Odeon - SMOFB 3933

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ドリス・モンテイロ(Adelina Dóris Monteiro, 1934-2023)は、50年以上にわたり活躍したブラジルを代表する歌手であり、女優です。彼女のキャリアは、ボサノヴァが誕生する以前の1950年代、「ラジオ歌手」の時代に始まり、1951年には初の78回転レコードでデビューを飾ります。  

モンテイロの功績を語る上で欠かせないのが、その独特なヴォーカル・スタイルです。当時のブラジル音楽シーンでは、感情を豊かに表現するドラマティックでパワフルな歌唱法が主流でしたが、モンテイロはそれとは一線を画し、抑制の効いたクールで軽やかな歌声で、その洗練された表現はブラジル音楽界に新風を吹き込みました。  

レコーディングは、リオデジャネイロにあるEMIオデオン・スタジオで行われました。ここはサンバの黎明期から数々の歴史的名盤を生み出してきた、ブラジル音楽の聖地とも言える場所です。プロデューサーにはミルトン・ミランダとヘナート・コヘーア、エグゼクティブ・プロデューサーにジョアン・ヂ・アキーノという業界の重鎮が名を連ねており、このアルバムがオデオン・レーベルにとって極めて重要なプロジェクトであったことが窺えます。

「Agora」(ポルトガル語で「今」を意味する)というタイトルは、この活力に満ちた時代の空気を捉えようとする、作り手たちの明確な意志の表れかもしれません。  

このジャンルとしてはCDでも十分検討している音質だと思います。ただし、初めてLPの音を聴いた時は、エネルギー感の違い以上に、音数の多さに驚きました。このレコードは私が産まれた年、1976年のリリースです。この時代くらいまでが、アナログの優位性がハッキリ分かるギリギリのラインだと思います。

例えば2004年にリリースされたマリアヒタの1stはCDの方が好ましいと感じます。デジタル、アナログ録音の違い以上に、カッティングの技術、盤の材料の違いなどが原因だと思っています。

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