[One Little Indian TPLP045] センセーション (Sensation) - バーガー・ハビット (Burger Habit)

1993年のイギリス、ブリットポップ前夜の喧騒の中で、たった1枚のアルバムを残して姿を消したバンドがいました。それが今回ご紹介するセンセーション (Sensation) です。どこか頼りなく、少し気だるい雰囲気をまといながらも、一度聴くと耳から離れない不思議な魅力を持った作品です。

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Sensation ‎- Burger Habit

One Little Indian - TPLP045

TPLP045

デンマークのGangwayの後期エレポップ時代を、よりギターポップに寄せたようなサウンドが特徴です。

センセーションの前身は、1989年に結成されたソウル・ファミリー・センセーション (Soul Family Sensation) です。当時隆盛を誇ったシカゴ・ハウスに触発された彼らは、ジョニー・メール、ガイ・バットソン (Guy Batson)、そしてリードボーカルのジェリサ・アンダーソン (Jhelisa Anderson) を中心に、クラブミュージックとポップスを融合させたサウンドを展開。1991年にリリースされたアルバム「ニュー・ウェーブ (New Wave)」は、当時のインディー・ダンスシーンを象徴する作品の一つでした。

個人的には、The day you went awayという曲がお気に入りでした。

しかし、ジョニー・メールの音楽的ルーツはさらに深く、ソウル・ファミリー・センセーション以前にはメトロ・トリニティ (Metro Trinity) というバンドに在籍していました。このバンドは、12インチシングル「ダイ・ヤング (Die Young)」を一枚残したのみですが、その儚く美しいサウンドは一部のネオアコースティック・ファンからカルト的な人気を誇っています。

どの時代もそれなりの良さがあるバンドだと思います。

ネオアコから出発し、ハウスミュージックの洗礼を受け、そして再びギターサウンドへと回帰したジョニー・メール。その変遷の末にたどり着いたのが、センセーションの音楽です。一聴すると「へぼくてダサい」と感じるかもしれません。

しかし、その少しずれた感覚のメロディや気だるいボーカルには、クラブミュージックのグルーヴが確かに息づいており、それが独特の中毒性を生み出しています。

ネオアコからクラブへの接近というと言い過ぎかもしれませんが、この絶妙なバランス感覚は、後のスピアミント (Spearmint) や、フレンチポップのフェニックス (Phoenix)、タヒチ80 (Tahiti 80) といったバンドへの橋渡しを担ったと感じます。

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