【初心者向け】10Mマスタークロックジェネレーターの選び方ガイド

10M Master Clock

10Mマスタークロックの効果と選び方を解説。音質向上のメカニズムや正弦波・矩形波の違い、水晶・ルビジウムの特徴を紹介。予算別おすすめモデルを紹介し、接続方法やケーブル選択のポイントも解説。オーディオ初心者から中級者向けの実用的なガイド。

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【意訳】John Swensonによるマスタークロックの論文 Uptone AudioのJohn Swenson氏のマスタークロックに関する論文の意訳。正弦波と矩形波、インピーダンス、ケーブル、フィルターについての考え方

前回の続きです。
実際に予算別にお勧めの製品を紹介します。50万以下の製品に絞りました。

目次

マスタークロックジェネレーターとは

マスタークロックジェネレーターは、オーディオシステムの同期を制御する重要な機器です。高精度のクロック信号を生成し、デジタルオーディオ機器に供給することで、ジッターを低減し、音質を向上させる効果があります。

マスタークロックジェネレーターの効果

一般的に以下のようなメリットがあります。

  • 音像の明確化
  • 音場の広がりの改善
  • ノイズの低減
  • 全体的な音質の向上

10Mマスタークロックジェネレーターの選び方

クロック自体の精度や、低ノイズで安定しているなど、基本的なクオリティーが高いことはもちろん重要です。
同じ価格帯の製品A、製品Bがあったときに比べるポイントとして紹介します。

正弦波と矩形波で選ぶ

コスト重視であれば、正弦波のクロックを使い、10MHz帯域外をフィルターで取り除きます。

矩形波の場合は、入力側の矩形波-正弦波コンバーターの性能にも左右されます。つまり、入力側の性能も求められます。
ケーブルもしっかりとした性能のモノを選びます。また、50Ω/75Ωのインピーダンスマッチングを正しく行います。

水晶とルビジウム

ルビジウムが高級クロックの代名詞だった時代もありますが、ルビジウムは時間経過とともに性能が劣化してしまう欠点があり、民生機器では使用されるケースが少なくなりつつあります。

現在は位相ノイズの少ないもの重要視するので、時間軸精度の高いルビジウムの需要が減りました。

ただ、性能の良いルビジウムでしか出ない音があるのも事実だと思います。
今回紹介するものは全て水晶を採用しています。

接続方法

マスタークロックジェネレーターは、BNCケーブルを使用してデジタルオーディオ機器に接続します。接続する機器のワードクロック入力端子に接続してください。

インピーダンス(50/75Ω)を留意する必要があります。
また、BNCではなくSMA端子を採用している機器もあります。

10Mマスタークロック 予算別おすすめモデル

私は、手頃な正弦波のクロックを入手し、フィルターを通す方式を採用しています。

フィルターは推奨されているMini-Circuits BLP-10.7+を購入しました。海外の方が安いですが送料を考えて日本の代理店から購入しました。
参考: ミニサーキットヨコハマ

購入した10MHzマスタークロックは、中古のWOCXOのMorion MV89Aを載せた製品です。
ヤフオク!で購入しました。出力は50Ω x2系統でオーダーしました。

電源は12VのACアダプターです。窒化ガリウムのアダプターに、PRaT sound製のトリガーケーブルを使用しています。

マスタークロックはクロックの精度も大切ですが、位相ノイズを少なくすることがとても重要で、それは電源と振動の影響も受けやすいです。電源はできるだけ良質なものが好ましいです。

使用する機器の電圧に合わせたトリガーケーブルを用意します

DCケーブルのノイズフィルターも効果があります。
参考: JSPC AUDIO - DCラインコンディショナー DLC10

ガレージメーカーは無責任にお勧めしにくいのでメーカー製品を紹介します。

Aune Audio - XC1 [43,910円]

Aune Audio - XC1

アウネオーディオは中国のブランドで、ヘッドフォンアンプやD/Aコンバーターなどをリリースしています。
中古のOCXOを搭載したガレージ製品と同等以下の価格設定ですが、仕様は本格的です。
以前より価格が上がりましたが、実売5万円以下で購入できます。

正弦波と矩形波出力を各2系統用意しています。

正弦波 矩形波

3万円未満でこのグレードアップは大変な価値です。感動します。
ハイレゾ音源でなくてもここまで向上するとは思いませんでした。
クロック入力のある機器をお持ちの方にはぜひ試していただきたいです。

引用元: 価格コム

アマゾンで3万円を切ったので、ダメ元で購入しました。
システムはgustard A22 & topping A90,DDCにgustard U18
ヘッドホンはsony Z1R、テクニカ SR9。
DDCを入れて、これで最終=沼から卒業と思ってましたが、
いやはや10Mクロックジェネレーター入れると変わりますねー。
うっすらとした靄が取れ、スッキリしますが情報量は増えます。
分離が良くなりますね!

引用元: 価格コム

TEAC - CG-10M [148,000円]

CG-10M

Esotericの弟ブランドのような立ち位置の製品です。
TEACブランドとしてもRoon ReadyおよびUPnPに対応したネットワークプレーヤーを出すなど、この分野でも意欲的な製品をリリースしています。

国産大手でまともなネットワークプレーヤーを出しているのは、ティアック位だと思います。

出力は50ΩBNCx4系統
正弦波

ひと晩経過で十分効果があるのがわかりました。従来わずかにあった低音の混濁がなくなって、いろいろな音が聴こえてくるようになりました。結果、ピアノの音が特に良くなった感じがします。ピアノはやはりいかに澄んだ低音が出るかが大切なようです。当方はDSD512変換をかけてwav.を再生していて、これだけアップコンバートすれば多少のクロック変動は目立たないだろうと思っていましたが、それは誤りでした。DSD変換をしていてもクロックの精度が上がると違いははっきりわかります。

引用元: 価格コム

NMODE - X-CL3MKII [160,000円]

X-CL3MKII

NMODEはかつてシャープで1bitアンプの技術開発をされていた方が起業したメーカーです。現在も1bitデジタルアンプの製造販売も行っています。

このクロックは10MHzの他、DDSで分周した44.1Khz-768kHzまで出力できる多機能なモデルです。別の高性能な10MHzマスタークロックを入力するための10MHz入力も備えています。
矩形波

外部クロックは対応製品が限られるのと、情報が少ない為微妙に敷居が高いですが、やってみると効果が実感できるためハマります。ネットでは色んな表現を見ますが、個人的には音の分離が進むのに一体感が損なわれない、という感想を持っています。

引用元: 価格コム

X-CL3MKⅡ単体での音の評価は出来ないので、クロックを送る相手機器CDプレーヤー(K-03X)との総合評価になります。
X-CL3MKⅡのクロックをK-03Xに送ると、K-03Xは本来の音質を保ちながら、表現力が向上しナチュラルな雰囲気で定位感も良くなります。
各楽器の微妙なニュアンスが聴き取れ、今までのK-03Xよりも生々しく、リアル感が増しました。

引用元: 価格コム

MUTEC - REF10 nano [オープンプライス 実勢価格260,000円前後]

画像

REF10の半分の高さとし、出力端子を減らし、電源を簡素化した戦略的モデル。
別途、15VのDC電源入力を備えていますので、強化電源を使えば、REF10超えも狙えるかもしれません。

出力端子は50Ω/75Ω各2系統ずつ。
出力端子毎にON/OFFの設定ができる他、グランドループによるハムノイズを避けるため、出力段全てに、ガルバニック絶縁が施されている。
矩形波

SOULNOTE - X3 [350,000円]

soulnote x-3

SOULNOTEは日本のブランドで、外部マスタークロックで、DACとプレーヤーまで完全同期させる"ZERO LINK"提唱メーカーです。

この理想的な伝送方式は、大元になるマスタークロックの性能に大きく左右されるのは言うまでもありません。SOULNOTEのゼロリンクの評価は、このクロックがあってこそです。

出力が一系統しかなく、しかもSMA端子、サイズが大きいなど、運用のしにくさはありますが、音質は相当良いと思いました。
音質だけでいえばREF10より有利だと思います。

我が家にはスペースが無いので導入の候補外ですが…。
矩形波

プリメインアンプ、スピーカーがS-3referenceに対して力不足かと思いますが、大満足です。
S-3Ver2.0でCD再生、PCとUSB接続でAmazon MusicHDを聴いていた時は中低音が目立ちドンシャリ感がする音でしたが、X-3導入し有償でS-3referenceにしてから、特にAmazon MusicHDの音が良い方向に変化し、CD再生の音は広がり解像度が増し、演奏とヴォーカルの位置関係が見えるような感じになりました。
その後、Z-3とオーディオハブなどを追加導入し、CD,SACDをDSD128で5.6MHz 1bit 音源にリッピングしてネットワークレンダラーアプリfidataを使用して聴いてます。ハブとZ-3はメタルLANケーブルで接続するより、SFP光LANケーブルで接続したほうが音の解像度が増します。ヴォーカル、演奏楽器の細かい音の余韻がより良く素晴らしくなります。

引用元: 価格コム

MUTEC - REF10 [オープンプライス 実勢価格415,000円前後]

MUTEC REF10

MUTECはドイツのメーカーです。USBのリクロック&DDC機能も備えたMC3+USBという製品が一部で人気になりました。本製品はMC3+USBへも接続が可能な10M出力固定モデルです。

インピーダンスは75Ωと50Ω専用出力をどちらも備えています。
矩形波なので、両方のインピーダンス出力を持っているのは合理的ともいえます。

また、通常接続しない端子はリターンロスがあるのでターミネーターで終端が理想ですが、本製品は設定で使わない端子をON/OFFまでできます。

このクラスになると、ある程度のハイエンド製品につないでも外部クロックの恩恵がはっきりとわかります。さらに上位モデルのREF10 120SEは背景が静かです。比べると両者でも結構違います。
矩形波

10Mマスタークロックジェネレーター比較表

画像
Aune Audio
XC1

画像TEAC
CG-10M
画像NMODE
X-CL3MKII
画像
MUTEC
REF10 nano
画像SOULNOTE
X3
ref10MUTEC
REF10
定価43,910円148,000円160,000円OPEN
実勢26万前後
350,000円OPEN
実勢41.5万前後
クロックOCXOOCXOOCXOOCXOOCXOOCXO
精度周波数精度<1ppm周波数精度
+/-0.1ppm
非公表周波数精度
< ± 0.01 ppm
非公表周波数精度
< ± 0.01 ppm
波形正弦波/矩形波正弦波矩形波矩形波矩形波矩形波
出力50Ω BNC x450Ω BNC x450Ω BNC x450Ω BNC x2
75Ω BNC x2
50Ω SMA x150Ω BNC x2
75Ω BNC x6
出力レベル>7dBm0.5Vrms5.0Vpp2 Vpp1.0Vpp2 Vpp
サイズ mmW145 x H45 x D171W290×H84.5×D248.7W420 × H73 × D260W198 × H44 × D300W430 × H111 × D376W198 × H88 × D300
電源アダプター内蔵アダプター内蔵内蔵内蔵
備考正弦波と矩形波の出力を搭載アナログメーターで発振安定状態を表示44.1~768KHzの周波数出力も可能15V DC外部電源を使用可能SCカット超低位相雑音OCXOを採用-166dB 以下というノイズフロアを実現
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10MHz マスタークロックジェネレーター比較表

ケーブルについて

矩形波の場合はマスタークロックと入力側のインピーダンスをそろえる必要があります。

また、高い周波数帯で減衰の少ないケーブルを選択します。一部のメーカーでSMA端子を採用しているのは、従来のBNC端子よりも高周波特性が良いので理にかなっています。

多くのオーディオメーカー製ケーブルは75Ωです。
50Ωの製品は多くはありませんが、有名どころを紹介しておきます。

Abendrotの10Mクロックは高過ぎて紹介しませんが、デジタルで最も衝撃を受けた製品の1つです。

正弦波の場合はインピーダンスのマッチングはそれほど重要ではありません。もちろん、そろえられる方が良いです。
通常は高周波特性よりもシールド特性を重視しますが、Mini-Circuitsのようなフィルターを使う場合はケーブルもこだわらなくて良いそうです。

マスタークロックジェネレーター まとめ

  • マスタークロックジェネレーターとは、オーディオシステムの同期を制御し、音質を向上させる重要な機器
  • マスタークロックジェネレーターの効果:音像の明確化、音場の広がり改善、ノイズ低減、全体的な音質向上
  • 選び方のポイント:正弦波vs矩形波、水晶vsルビジウム、インピーダンス(50Ω/75Ω)の選択
  • 接続方法:
    BNCケーブルを使用し、機器のワードクロック入力端子に接続
    一部SMA端子を採用する製品もあり
  • ケーブル選択:矩形波の場合はインピーダンスマッチングが重要、正弦波はやや寛容
  • 低予算の場合:正弦波クロックにMini-Circuitsのフィルターを組み合わせるのがおすすめ
  • 高級機との組み合わせ:矩形波クロックと高品質ケーブルで最高の音質を追求可能
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